【2025年版】土間コンクリートとは?費用相場・施工手順・厚みの基準までプロが解説

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Category:コラム土木

著者:上野 海

土間コンクリートは、住宅の駐車場・庭・玄関アプローチなどで広く使われる舗装手法です。しかし、具体的な施工手順や定められている基準がわからないとお悩みの人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、土間コンクリートの概要を説明したのち、施工手順、厚み基準、DIYでの施工可否や失敗例まで、土間コンクリートに関する疑問を網羅的に解説します。

土間コンクリートとは?

土間コンクリートとは、住宅の外構や駐車場、玄関アプローチなどに設置されるコンクリートです。シンプルな見た目ながら、耐久性が高く施工性に優れるため、多くの住宅や施設で採用されています。

しかし「普通のコンクリートとどう違うの?」「モルタルとは別物?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。そこで本項では、そもそも「土間」とは何か、そして土間コンクリートと他の舗装材との違いについて、わかりやすく解説します。

また屋外で使われる舗装材にはスタンプコンクリートというものもあります。詳しくは以下の記事をチェックしてみてください。

そもそも「土間」とは?

「土間」とは、コンクリート・モルタル・タイルなどで仕上げた、地面に接する床部分のことです。かつては「土のままの間」を意味し、土足で歩ける作業場のような意味で使われていましたが、現在では舗装された床も含めて「土間」と呼びます。

(参考:内閣府「防災情報のページ|用語集」

たとえば、以下のような場所が現代の「土間」に該当します。

  • 車を停めるためのコンクリート敷き駐車場
  • 玄関ポーチのステップ周り
  • ウッドデッキの下地部分

以上より「土間」とは特定の空間を指す建築用語であり、「土間コンクリート」とはその空間の床をコンクリートで仕上げた状態を意味します。

通常のコンクリートやモルタルとの違いとは?

土間コンクリートは、屋外の床仕上げとして設計され、強度・厚み・表面仕上げが専用設計されています。そのため、次のように、通常のコンクリートやモルタルとは、材料構成自体が違います。

項目土間コンクリートコンクリートモルタル
用途駐車場・玄関・屋外床柱・梁・基礎など構造体仕上げ・補修・下地
材料構成セメント+砂+砂利+水
(ワイヤーメッシュなども使用)
セメント+砂+砂利+水
(鉄筋も使用)
セメント+砂+水
厚み約10〜15cm設計による
(30cm以上など)
数cm程度

たとえば、構造用コンクリートは、建物の柱や梁などの構造体に用いられるのが一般的であり、厚みや鉄筋の設計が厳格に定められています。

一方で、土間コンクリートは荷重・耐候性に合わせて柔軟に調整されます。また、モルタルには砂とセメントしか含まれず、骨材(砂利)を含むコンクリートとは用途が異なるのが主な違いです。

上記のうち、通常の鉄筋が用いられたコンクリートについて興味がある方は、以下の記事もチェックしてみてください。

土間コンクリートの厚みの基準

土間コンクリートは地盤状況や、車両荷重の条件などによって厚みや構造などが少しずつ変化します。参考として厚みの一例を整理しました。

用途推奨厚み理由・備考
歩行者のみの庭・通路7〜10cm程度軽い荷重に対応、砂利下地+ワイヤーメッシュ併用推奨
普通車を駐車する駐車場10〜12cm程度車両の荷重に耐える厚み、鉄筋補強が望ましい
2t車・配送車など中型車の進入15cm以上地盤強度が重要。砕石+配筋を必ず併用
重機が入る工場や倉庫20cm以上+鉄筋設計RC床設計レベル。構造設計者の監修が必要

なお、厚みが不十分だと表面が割れたり、車両の重さに耐えられなかったりと、施工不良の原因になります。設計検討をしたうえで適切な厚み以上を確保することが重要です。

土間コンクリートを歩けるまでの時間はどれくらい?

土間コンクリートは、目的や用途によって、養生にかかる時間が変化します。以下に、養生の目安期間を整理しました。

用途養生期間
人が歩く程度2日程度(48時間)
※気温が低い場合は5日程度
完全硬化までの期間28日程度

参考:セメント協会「圧縮強度」

また、気温が高い夏場は乾燥が早く、冬場や湿度の高い日は時間がかかる傾向があります。養生不足はひびわれ(クラック)や表面剥離のリスクを高めるため、天候に応じた調整が欠かせません。

土間コンクリートのメリット・デメリット

土間コンクリートは、住宅外構や店舗で使用されていますが、向き不向きがある点に注意しなければなりません。

参考として以下より、土間コンクリートを採用するメリットと、注意すべきデメリットを紹介します。

メリット(耐久性・メンテ性など)

土間コンクリートは、耐久性・清掃性・コストパフォーマンスが高い舗装材です。

コンクリートは強度が高く、日差しや雨にも強い素材であるため、屋外使用に適しています。また、砂利やアスファルトと比較して、雑草が生えにくく掃除もしやすいのも魅力です。

美観を維持しつつ、長期間使用できることから、外構・庭・駐車場の施工素材として非常に優れています。

デメリット(ひびわれ・施工コストなど)

メリットの多い土間コンクリートですが、施工ミスや天候の影響を受けやすい、クラック(ひびわれ)の発生リスクがあるといった欠点もあります。

たとえば、正しい施工と養生がなされていない場合、乾燥・温度変化・地盤沈下などにより「収縮クラック」が発生することがあります。特に、鉄筋や伸縮目地を設けないと、広い面積に施行した土間コンクリートほど、ひびわれリスクが高まります。

また、ほかにも次のようなリスクがあります。

  • 表面仕上げや勾配設定などの技術が必要である
  • すべり止め対策を施さなければ、雨天時にスリップしやすい
  • 完全固化に時間がかかる(理想は28日)

トラブルや後悔を回避するためには、施工業者選びや設計段階での配慮を行うことが欠かせません。

コンクリートのひびわれについて、その原因を詳しく知りたい方は以下の記事もチェックしてみてください。

土間コンクリートの施工手順

土間コンクリートの施工は「見た目」や「厚み」だけでなく、正しい工程で進めることが耐久性や美観を左右する重要なポイントとなります。以下に、一般的な施工フローをまとめました。

  1. 下地作成
  2. 型枠設置
  3. 砕石敷き
  4. 転圧
  5. 配筋(ワイヤーメッシュなど)
  6. 打設
  7. 仕上げ
  8. 養生
  9. 完成

なお、施工のなかで養生不足が起きると、クラック・表面の剥がれといったリスクがあります。また、排水勾配不足といった施工不良で、雨水が溜まりやすい、また滑りやすい土間コンクリートとなってしまう点に注意して施工しなければなりません。

土間コンクリートの費用相場【2025年最新版】

土間コンクリートは、プロ業者に依頼した場合、1㎡あたりの相場は約6,000〜12,000円(税込)が目安です。

なお設置する土間コンクリートの厚みや施工面積などによって手間賃(人件費)や材料費が変動するため、単価が次のように変動します。

施工内容相場(税込)備考
基本施工(10㎡未満)約10,000〜12,000円/㎡小面積は単価が高め
標準施工(10〜50㎡)約8,000〜10,000円/㎡最も依頼が多い価格帯
大面積施工(50㎡以上)約6,000〜8,000円/㎡単価は下がるが合計費用は高額
オプション(刷毛引き)+500〜1,000円/㎡仕上げ方法によって追加費用あり
オプション(目地入れ)+500円/本程度ひびわれ防止のスリット加工

上記の相場はあくまで一例です。施工業者によって見積価格が変わるため、詳細な金額を知るためには、相見積もりを取ることが欠かせません。

DIYで施工しないほうがいい理由【よくある失敗例】

土間コンクリートをDIYした場合、前述した費用相場よりも安く施工できます。しかしDIYでは、施工経験や道具の有無により、次のような取り返しのつかない失敗につながることも珍しくありません。

  • 養生不足でひび割れが発生した
  • 排水勾配が確保できず水たまりができた
  • 道具不足で表面仕上げが汚くなった
  • 材料が足りず仕上げが分割打ちになった
  • 施工後に剥がれや剥離が起きた

コンクリート系の施工は、プロでも段取りを間違えば失敗します。材料・人手・気温・天気をすべて計算した上で打設しないと、DIYで適切な強度の土間はできないため、経験豊富なプロに任せたほうが安心です。

よくある質問【FAQ】

土間コンクリートと普通のコンクリート、どちらを選べばいい?

「土間コンクリート」は屋外床や駐車場など、地面に接する仕上げ用のコンクリートです。一方、構造用コンクリートは柱や基礎に使われる強度重視の材料となります。場所や目的に応じて選ぶのが基本で、駐車スペースや庭には土間コンクリートが向いています。

土間コンクリートは雨の日でも施工できるの?

雨の日の施工は水分過多で表面が流れたり、強度不足を引き起こすリスクがあるため、おすすめできません。特に打設後すぐに雨が降るとクラックや仕上げ不良の原因になります。天気予報を見て晴天が2〜3日続くタイミングで施工するのが理想です。

DIYでやるとどれくらい安くなる?

DIYで施工すれば、業者依頼に比べて1㎡あたり2,000〜4,000円ほど安く済む場合があります。ただし、工具レンタル費や養生資材などが別途必要で、仕上がりに差が出やすい点も考慮が必要です。施工に不安がある場合はプロに任せるのが無難です。

表面仕上げに種類はある?

代表的な仕上げには、ツルツルに仕上げる「金鏝仕上げ」、滑り止め効果のある「刷毛引き」、意匠性の高い「洗い出し」「スタンプ仕上げ」などがあります。用途や見た目の希望に応じて選ぶことができ、価格や滑りやすさにも差があります。

まとめ

土間コンクリートは、外構や駐車場などの屋外に使用できる実用的な舗装材です。

耐久性・コスト・メンテナンス性のバランスに優れているため、長期的にきれいな状態を維持できます。ですが一方で、施工には適切な厚み・排水勾配・養生など多くの注意点があります。

DIYなどで失敗して、やり直しが発生した場合には解体・再施工の費用がかかることも少なくありません。少しでも不安がある方は、外構専門業者などに依頼するのが確実です。