【2025年最新】一級土木施工管理技士とは?受験資格・申し込み方法・合格率・二次試験対策を解説

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著者:上野 海

土木工事の仕事に携わる際に取得したいのが「一級土木施工管理技士」という資格です。しかし、受験資格や申し込みの流れがわからないとお悩みの方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、一級土木施工管理技士の概要を説明したのちに、試験対策の方法や資格取得のメリットを解説します。

一級土木施工管理技士とは?

一級土木施工管理技士は、建設現場の責任者として働くために欠かせない国家資格です。

大規模工事や公共工事の場合、国土交通省が次のように一級土木施工管理技士の配置を義務付けています。

主任技術者監理技術者
対象工事下請代金総額が4,500万円以上の元請工事(建築一式工事は7,000万円以上)下請工事または左記以外の元請工事

参考:国土交通省「技術者制度の概要」

現場作業員という立場ではなく、工事現場全体を統括・マネジメントできる「管理者」としてのキャリアを築きたいなら、非常に価値のある資格です。

また土木施工管理技士という資格の概要から知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてください。

資格が役立つ仕事

一級土木施工管理技士の資格を取得すれば、次のような仕事に携われます。

  • 建設現場の工程・品質・安全の管理
  • 施工計画書の作成および工程の進捗管理
  • 公共事業での技術者配置

通常、現場作業員が対応できない業務です。業務のメインを担当するため、特にゼネコンや中小の建設会社では確実に取得しておきたい資格だと言えます。

また上記は、建設というジャンルで欠かせない仕事です。建設の概要を詳しく知りたい方は、こちらの記事をチェックしてみてください。

一級土木施工管理技士補との違い

一級土木施工管理技士の資格とは別に、一級土木施工管理技士補があります。この「補」と名称のつく資格はあくまで一次試験に合格した証明となる資格であり、国家資格である技士とは次のポイントが異なる点に注意しなければなりません。

項目一級土木施工管理技士補一級土木施工管理技士
保有者の位置付け学科試験合格者実地試験も合格した有資格者
実務経験不要(または少ない)一定の経験年数が必要
現場配置不可監理技術者・主任技術者として配置可能
転職市場での評価中程度高評価(求人多数)

実務経験や実地試験を経て初めて「技士」となります。責任のある役職に就くためには、必ず一級土木施工管理技士を取得する必要があります。

受験前に知っておきたい受験資格と試験概要

一級土木施工管理技士を目指す方向けに、受験資格や試験概要をわかりやすくまとめました。

一級土木施工管理技士の受験資格(学歴・実務経験)

受験資格は「学歴&実務経験」の組み合わせで決まります。例えば、高学歴であれば短期間で受験可能ですが、学歴がない場合は実務年数が長く求められるイメージです。

参考として以下に、受験資格の特徴をまとめました。

一次試験
(学科)
二次試験
(実地)
令和7年度中における年齢が19歳以上の者(平成19年4月1日に生まれた者も含む)当条件を満たしたうえで以下の〇に該当するもの
2級 第二次検定の合格後の実務経験5年以上
2級 第二次検定合格後の特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
1級 第一次検定合格後の実務経験5年以上
1級 第一次検定合格後の特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
1級 第一次検定合格後の監理技術者補佐としての実務経験1年以上
技術士第二次試験合格後の実務経験5年以上
技術士第二次試験合格後の特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上

参考:全国建設研修センター「1級土木施工管理技術検定」

「自分が受験できるのか不安だ」という方は、まず過去の職歴と学歴を照らし合わせて判断しましょう。実務経験の証明書類が必要になるので、事前準備も忘れないように気を付けてください。

学科(一次)試験と実地(二次)試験の違い

一次試験は知識力、二次試験は実務力を測るものです。それぞれ内容や合格基準が大きく異なります。

試験区分内容合格基準特徴
学科試験(一次)選択式・マークシート(施工管理・法規など)60%以上幅広い知識が必要
実地試験(二次)記述式(経験記述、施工管理力)配点非公表、総合評価実務経験が問われる

筆記だけで終わりではなく、一次試験合格後は実地試験があります。二次試験では、現場経験を的確に表現できるかどうかが合格のカギとなります。

試験の流れと申し込み方法【2025年最新】

2025年における一級土木施工管理技士の資格申し込みの概要を整理しました。

一次・二次試験のスケジュール

一級土木施工管理技士の試験は、年1回ペースで行われます。以下に2025年最新のスケジュールをまとめました。

項目時期(予定)
受験申込受付2025年3月中旬〜4月上旬
学科試験実施(一次)2025年7月上旬
合格発表(一次)2025年8月中旬
実地試験(二次)2025年10月上旬
合格発表(二次)2026年1月上旬

申し込み期間は約1か月しかありません。公式サイトで最新日程を確認し、余裕をもって申し込みを済ませましょう。

一級土木施工管理技士の申し込み手順

以下に、一級土木施工管理技士の申し込み手順をまとめました。

  1. 申込用紙を購入する(2025年2月21日より販売※書面申込の場合)
  2. 必要書類を準備する(実務経験証明書・顔写真・受験票など)
  3. インターネットで仮申し込みをする(または書面申請)
  4. 郵送で書類を提出する
  5. 受験票を受領する

なかでも注意すべきなのが「実務経験証明書」に記載する内容です。内容を曖昧に書いたり、記入ミスがあったりすると、受付不可になる場合もあるので気を付けてください。

インターネット申し込みと書類提出の違い

一級土木施工管理技士の受験申し込みは、受験者の区分(新規・再受験や受験資格の新旧)に分けて、インターネット申込と書面申込を選べます。​

なお、インターネット申込か書面申込かで、必要書類や受験費用(12,000円)の支払方法が違う点に注意してください。

合格発表と結果の確認方法

一級土木施工管理技士の合格発表は、公式サイトと郵送で通知されます。発表日を把握し、すぐに確認できるようにしておくことが大切です。

  • 一次試験:2025年8月中旬
  • 二次試験:2026年1月上旬

発表日はWebサイトが混み合うこともあるので、余裕をもって確認するか、郵送通知を待つのがよいでしょう。

一級土木施工管理技士の合格率と難易度

一級土木施工管理技士の合格率は、おおよそ30~40%前後とされており、難易度は「やや高め」です。以下に2024年(令和6年)時点の一次試験・二次試験の合格率の履歴と難易度を整理しました。

年度学科試験合格率実地試験合格率総合難易度
2024年度44.4%41.2%中~高

なお合格率が低いときは30%台まで下がった年度もあります。時期によって難易度が変化する点に注意してください。

一級土木施工管理技士の試験対策

まず一次試験(学科)を受験する際には「過去問演習」がもっとも効果的です。出題範囲は法律・施工管理・構造力学など多岐にわたりますが、出題傾向は毎年似ており、過去問対策が得点力を高められるでしょう。

また、二次試験(実地)の合否を左右するのが、経験記述のクオリティです。骨子法と呼ばれる「伝わりやすい文章の書き方」なども重要視されることから、出題される問題の課題を探り出し、論理的かつ簡潔に文章を書く練習を繰り返しましょう。

まとめ

一級土木施工管理技士は、建設業界でのキャリアアップ・年収アップ・転職成功のすべてに直結する国家資格です。

受験資格や試験制度はしっかり事前確認することはもちろん、過去問対策と経験記述対策が合格のカギを握ります。現場の管理を担う役職に就けるため、ぜひこの機会に一級土木施工管理技士を目指してみてください。