国土交通省、前払金の使途拡大を恒久化へ、建設業の資金繰り支援強化策

国土交通省は2025年4月2日、同省が発注する公共工事における前払金の使途拡大措置を恒久的に実施することを発表しました。この取り組みは、前払金の早期支払いを通じて工事の速やかな進行を促し、経済効果の早期実現を図ることを目的としています。
前払金制度とは
公共工事では、発注者である行政機関が工事着手前に請負金額の一部を前払いする「前払金制度」を採用しています。これにより建設業者は資材調達や人件費などの初期費用を確保しやすくなり、円滑な工事遂行につながります。
恒久化される使途拡大の内容
国土交通省は、2016年4月1日以降に新たに締結された工事請負契約(国庫債務負担行為に係るものを含む)について、前払金の使途を拡大する特例措置を実施してきました。今回の決定により、2025年度(令和7年度)以降もこの措置が継続されることになります。
使途拡大の具体的な内容としては、前払金を「現場管理費および一般管理費等のうち、当該工事の施工に必要な費用」にも充てることができるようになります。ただし、これらの目的に使用できる前払金は、前払金総額の25%(100分の25)を上限としています。
既存契約への適用も可能
すでに請負契約を締結している工事についても、この使途拡大措置を適用することが可能です。ただし、適用にあたっては当該契約における前払金の使用に関する規定の変更が必要となるため、発注者への相談が求められています。
建設業界への影響
この措置の恒久化により、建設業者は工事に関連する幅広い費用に前払金を活用できるようになります。これまで資材費や労務費などに限定されていた前払金の使途が拡大されることで、より柔軟な資金運用が可能となり、企業の資金繰りの改善につながると期待されています。
経済効果への期待
国土交通省はこの措置を通じて、公共工事の円滑な進行と早期完成を促進し、それによる経済効果の早期発現を目指しています。公共工事は地域経済の活性化や雇用創出にも大きく貢献するため、この取り組みが経済全体にもたらす波及効果にも期待が集まっています。
制度活用のポイント
建設業者がこの制度を活用する際は、以下の点に注意する必要があります。
・前払金の使途拡大は2016年4月1日以降に締結される契約が対象
・一般管理費等への充当は前払金総額の25%まで
・既存契約に適用する場合は契約内容の変更が必要
国土交通省による前払金の使途拡大の恒久化は、建設業界の資金繰り改善と公共工事の促進を図る重要な施策です。このような取り組みを通じて、公共インフラ整備の効率化と建設業の健全な発展が進むことが期待されます。建設業に携わる企業は、この制度変更を十分に理解し、効果的に活用することで事業運営の安定化につなげることができるでしょう。
建設業界への期待と社会的意義
建設業界では慢性的な資金繰りの課題が指摘されており、特に中小企業においては工事着手時の資金確保が大きな負担となっていました。今回の措置により、そうした課題の緩和につながることが期待されています。また、公共工事の円滑な実施は社会インフラの整備・更新を促進し、国民生活の安全確保にも寄与します。
国土交通省では今後も、建設業の生産性向上や働き方改革を推進するための各種施策を展開していく方針です。前払金制度の改善はその一環として、建設業界の持続可能な発展を支える重要な取り組みとなっています。
出典情報
国土交通省リリース,国土交通省発注工事に関する前金払の使途拡大について~特例措置を恒久化~,https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo13_hh_000001_00285.html