【令和7年】設計業務委託等技術者単価の最新情報!過年度からの推移や単価の動向を解説

国土交通省が発注する設計業務委託は、毎年更新される設計業務委託等技術者単価に基づいて積算費用を算出しなければなりません。そして令和7年3月より、新たな技術者単価が適用されることとなります。

そこでこの記事では、設計業務委託等技術者単価の概要を説明したのち、令和7年最新の技術者単価表および過年度からの推移について詳しく解説します。

設計業務委託等技術者単価とは

設計業務委託等技術者単価は、国土交通省が発注する設計業務の積算単価です。主に設計・測量・地質など、調査や設計の際にかかる人件費を算出する際に用います。

基本的には日額で技術者単価が設定されており、技術者の職種や人工に合わせて積算するのが特徴です。例えば、主任技術者が1人工、技術員が2人工だった場合には、次のように計算して積算をします。

  • 主任技術者:1人工×基準日額(最新の技術者単価を当てはめる)
  • 技術員:2人工×基準日額(最新の技術者単価を当てはめる)

なお設計業務委託等技術者単価には、時間外に発生する手当として「割増対象賃金比」も設定されています。基本的には設定されている基準日額の55〜65%増しとなっています。

設計業務委託等技術者単価の内訳

設計業務委託等技術者単価は、所定労働時間内8時間当たりの単価として設定されており、金額のなかには、次の費用がまとまっています。

  • 基本給相当額
  • 諸手当(通勤・住宅・家族・役職・資格など)
  • 賞与相当額
  • 事業主負担額(保険や手当)

つまり、従業員の給与=設計業務委託等技術者単価ではない点に注意が必要です。

令和7年度最新の設計業務委託等技術者単価の一覧表

令和7年2月14日、国土交通省より、令和7年3月から適用される設計業務委託等技術者単価が公表されました。参考として以下に、業種や職種ごとの設定単価を整理しました。

設計業務の設計業務委託等技術者単価

主に土木設計等に携わる設計業務では、技術者単価が次のように設定されています。

職種基準日額割増対象賃金比
主任技術者88,600円55%
理事・技術長77,500円55%
主任技師66,900円55%
技師(A)59,600円55%
技師(B)48,500円55%
技師(C)40,300円55%
技術員36,100円55%

参考:国土交通省「令和7年3月から適用する設計業務委託等技術者単価について」

全7職種における平均の単価は、59,643円です。前年度よりも5.2%も単価の上昇が起きています。

測量業務の設計業務委託等技術者単価

設計業務の前段階として必要になる測量業務では、技術者単価が次のように設定されています。

職種基準日額割増対象賃金比
測量主任技師60,600円55%
測量技師52,300円55%
測量技師補41,100円55%
測量助手34,900円55%
測量補助員28,700円65%

参考:国土交通省「令和7年3月から適用する設計業務委託等技術者単価について」

全5職種における平均の単価は43,520円です。前年度よりも9.3%増と、各業種のなかでも特に単価が増額されています。

航空・船舶関係業務の設計業務委託等技術者単価

航空写真の撮影やソナー調査などを実施する航空・船舶関係業務では、技術者単価が次のように設定されています。

職種基準日額割増対象賃金比
操縦士56,300円60%
整備士43,200円60%
撮影士48,200円55%
撮影助手36,400円55%
測量船操縦士38,300円55%

参考:国土交通省「令和7年3月から適用する設計業務委託等技術者単価について」

全5職種における平均の単価は44,480円です。前年度から3.2%増であり伸び率は低いものの継続的な単価の上昇が続いています。

地質業務の設計業務委託等技術者単価

設計業務の前段階で必要となる地質状況の調査・試験に対応する地質業務では、技術者単価が次のように設定されています。

職種基準日額割増対象賃金比
地質調査技師56,000円60%
主任地質調査員43,800円60%
地質調査員34,100円60%

参考:国土交通省「令和7年3月から適用する設計業務委託等技術者単価について」

全3職種における平均の単価は44,633円です。前年度から6.2%増であり、他業種のなかでも2番目に多く伸びています。

過年度からの設計業務委託等技術者単価の推移

参考:国土交通省「令和7年3月から適用する設計業務委託等技術者単価について」

令和7年3月から適用される設計業務委託等技術者単価は、過年度のなかでも最高値を出しています。全体平均の単価が49,570円であり、令和6年度と比較しても+5.7%(46,880円)と大きく伸びている状況です。

また単価が伸び悩んでいた平成24年度(31,248円)と比較した場合、約1.5倍もの単価の上昇が起きています。13年間連続で単価の上昇が起きていることも含め、冷遇されていた技術者の待遇が回復していると伺えます。

設計業務委託等技術者単価の将来予測【令和8年以降は?】

13年連続で上昇を続けてきた設計業務委託等技術者単価ですが、令和8年度以降もさらに上昇する可能性があります。では、どれくらいの増加が見込まれるのでしょうか。

まず過年度からの伸び率をみると、毎年平均3.0%〜5.0%程度の伸びが出ている状況です。また直近は5.0%程度の伸びが多いことから、令和8年においても同程度の伸びがあると予測できます。

よって令和8年度は、令和7年度の平均49,570円からさらに上昇し、最大52,049円(5%増)と、単価が5万円台に乗るのではないかと予想します。

詳しく上昇する見込みがある理由を説明するため、以下に2つの上昇要素をまとめました。

少子高齢化による技術者人材の不足

設計業務委託等技術者単価がかかわる土木業界では現在、少子高齢化によって担い手不足が続いています。

特に2025年は国内での人口割合をもっとも占める「団塊の世代」が後期高齢者になる年でもあり、これからさらに技術者人材の不足が起きると危惧されています。

そういったなかで技術者人材を確保するためには、労働問題の解決が欠かせません。その一環として技術者単価アップは新たな入職者を確保する理由になるほか、既存従業員の離職率を減らすきっかけとなります。

そのため、今後の土木業界では継続的に設計業務委託等技術者単価が上昇していくものと見込まれます。

円安問題の継続

グローバル化により発生している社会問題として、日本は円安の状態が継続化しています。現在は1ドル150円と大幅な円安が続いており、プライベート・ビジネスを問わず物価高が続いています。

なかには「現在の収入で生活できずに辞めてしまう人」「費用の関係で設計・測量・調査事業を継続できない企業」なども出てくることから、倒産や離職のリスクを下げるために、今後も設計業務委託等技術者単価の上昇で対抗していくと考えられます。

まとめ

設計業務委託等技術者単価は土木業界に従事する、設計者・測量者・調査員などの人件費を決める重要な指標です。

特に国や自治体などから業務を受注する企業の場合には、自由に人件費を決めにくいことから、設計業務委託等技術者単価の上昇・下落が従業員の生活やビジネスの継続のカギを握ります。

世の中の動向に合わせて単価が変化していくため、毎年更新される設計業務委託等技術者単価について、継続的に動向を追っていきましょう。