竹中工務店が量子技術で教育施設改革、授業とキャンパス設計を短時間で実現する未来型設計

掲載日：2025年03月01日

竹中工務店（社長：佐々木正人）は、教育施設向けに画期的な技術を開発しました。この技術は量子コンピュータを活用して、大学や高校、専門学校などの教育機関における最適なカリキュラム実施案を算出し、それに基づいた校舎の新築・改修計画を提案するものです。

量子技術が教育現場の課題を解決

教育施設では、カリキュラムに合った校舎づくりが経営効率化の重要なカギです。しかし従来、大規模な大学では1学期に500以上の授業が行われるため、カリキュラム案の作成には数か月もかかっていました。

竹中工務店が開発した技術では、量子アニーリング技術を使って、わずか10時間程度でカリキュラム案を作成できます。量子アニーリングとは、量子コンピュータの計算方式の一つで、膨大な組み合わせの中から最適解を高速で見つける技術です。

この新技術により、教育施設には以下のようなメリットがもたらされます。

・多様なシミュレーションの実現: 建物の条件を様々に変えた複数のカリキュラム案を短時間で比較検討できます。

・迅速な意思決定: 計画初期段階から効率的に施設整備を検討できるため、プロジェクトが加速します。

・教育ニーズへの対応: 学校側の教育方針や将来ビジョンを的確に反映した校舎計画を立案できます。

・投資効果の最大化: 必要な施設規模を正確に算出し、限られた予算で最大の教育効果を発揮します。

この技術の実施プロセスは、以下の8ステップで構成されています。

1.現状把握: 教育施設の現状とカリキュラム実施上の制約を確認します。

2.データ収集: 教員情報、授業計画、施設情報などの詳細データを入手します。

3.構想立案: 教室数や定員についての施設構成案を考案します。

4.データ整理: 収集したデータをプログラムで解析できる形式に変換します。

5.プログラム調整: 教育施設の特性に合わせてプログラムを修正・テストします。

6.シミュレーション実行: 量子コンピュータでプログラムを実行し、最適案を算出します。

7.フィードバック反映: 教育施設からの意見を取り入れて再調整します。

8.計画立案: 最終的な施設構成案をもとに具体的な整備計画を作成します。

作成した複数の施設案を、以下の観点から評価し、最適な計画を選びます。

1. カリキュラムの整合性

必修授業の時間割重複を避けるなど、カリキュラムとして破綻がないことを確認します。同一教員が同時に複数の授業を担当することがないよう調整し、特別な設備が必要な授業には適切な教室を割り当てます。

2. 学びやすさへの配慮

授業間の移動距離を最小化し、関連する授業の教室を近接させることで、学びの連続性を高めます。また、授業内容に適した教室サイズや設備の割り当ても重視します。

3. 施設の効率的な活用

教室の空き時間を最小化し、スペースを無駄なく使うことで、教育施設全体の稼働率を高めます。特殊設備を持つ高コストな教室の使用効率を最大化し、施設投資の費用対効果も向上させます。

竹中工務店は今後、この技術をさらに発展させ、個別の校舎だけでなくキャンパス全体の最適化も視野に入れた提案を行っていきます。複数の学部棟や研究施設、図書館などを含めたキャンパス全体での動線や施設利用パターンを分析し、総合的な効率性と利便性を高める取り組みを進めます。

この革新的な技術により、従来は膨大な時間と労力がかかっていた教育施設の整備計画が大幅に効率化されます。量子コンピュータの力で、未来の教育環境づくりに新たな可能性が広がり、日本の教育施設の進化を加速させていくでしょう。

株式会社竹中工務店リリース,量子コンピュータを用いた教育施設整備計画の最適化技術を開発カリキュラム案のシミュレーションを基に、施設にとって最適な新築・改修案を提案,https://www.takenaka.co.jp/news/2025/02/04/