国土交通省発表、建設工事受注が4年連続増、民間工事が牽引し受注総額8.9%増加
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国土交通省は2025年1月31日、大手建設会社50社を対象とした2024年度(令和6年度)の建設工事受注動態統計調査の結果を発表しました。この調査は、建設業界の動向を詳しく把握するため、公共機関や民間からの受注状況を分析したものです。
総額は18.7兆円、4年連続の増加
2024年度の建設工事受注総額は18兆7,396億円となり、前年度と比べて8.9%増加しました。これにより、業界全体の受注総額は4年連続のプラス成長を達成。そのうち国内建設工事は17兆9,922億円(前年度比7.6%増)となり、こちらも4年連続の増加となっています。
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民間工事が牽引、サービス業などが好調
民間工事の受注額は13兆2,024億円で、前年度比8.4%増を記録しました。特に以下の業種からの受注が増加に貢献しています。
・サービス業:企業の設備投資意欲の回復を反映
・製造業:工場や研究施設の建設需要が増加
・情報通信業:インフラ整備需要が拡大
一方で、以下の業種からの受注は減少傾向となりました。
・金融業、保険業:オフィスビルなどの需要が一服
・卸売業、小売業:商業施設の建設需要が低下
・不動産業:マンションなどの開発案件が減少
公共工事も堅調な伸び
公共工事の受注額は4兆2,398億円で、前年度比5.8%増となりました。内訳をみると、国の機関からの受注が2兆9,754億円(同12.6%増)と2年連続で増加。一方、地方の機関からの受注は1兆2,644億円(同7.3%減)と減少に転じました。
建築・土木とも増加基調
工事の種類別でみると、建築工事は12兆6,223億円(前年度比7.0%増)で4年連続の増加。主な増加要因は以下の通りです。
・住宅建設の需要回復
・教育・研究・文化施設の整備増加
・その他建築物の需要拡大
一方で、以下の施設は減少しました。
・医療・福祉施設
・娯楽施設
・倉庫・流通施設
土木工事は6兆1,173億円(前年度比12.9%増)で2年連続の増加となりました。以下の分野で特に伸びが顕著でした。
・道路整備事業
・治山・治水関連工事
・港湾・空港施設の整備
海外工事も大幅増加
海外での工事受注も好調で、7,475億円(前年度比53.0%増)を記録。特に土木工事は4,967億円と前年度の2倍以上(同101.4%増)となり、建築工事の2,508億円(同3.7%増)を上回りました。
今後の展望
今回の調査結果から、建設業界全体が着実な成長を続けていることが分かります。特に民間工事の増加は、企業の設備投資意欲の回復や、デジタル化に伴うインフラ整備需要の高まりを反映したものと考えられます。
また、公共工事も国の機関からの受注を中心に増加しており、社会インフラの整備や更新需要が継続していることを示しています。海外工事の大幅な伸びは、日本の建設技術に対する国際的な評価の高さを表すものといえるでしょう。
建設業界は、国内外のインフラ整備や維持管理において、今後も重要な役割を果たすことが期待されています。特に、防災・減災対策やデジタルインフラの整備など、社会の要請に応える形での需要は、引き続き堅調に推移すると予想されます。
出典情報
国土交通省リリース,建 設 工 事 受 注 動 態 統 計 調 査 報 告 ( 大 手 50社 調 査 ) ( 令 和 6年 12月 分 、 令 和 6年 計 ) に つ い て,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001859662.pdf