大成建設開発、CO2を再利用する床仕上げ材を大阪・関西万博のEARTH MARTに提供
大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、2025年に開催される大阪・関西万博において、環境に配慮した新しい床材を提供することを発表しました。同社が開発した特殊なコンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」が、小山薫堂氏がプロデュースを手がけるシグネチャーパビリオン「EARTH MART」の展示室に採用されることが決まりました。床材として使用される面積は約900平方メートルにも及び、多くの来場者が実際に歩いて体験できる規模となっています。
画期的な環境技術で実現するCO2削減
この新しいコンクリートの特徴は、工場や車から排出される排気ガスに含まれる二酸化炭素(CO2)を回収し、それを炭酸カルシウムという形で再利用する点にあります。このリサイクル技術により、通常のコンクリートを使用した場合と比べて、約13トンものCO2排出量を削減することができます。これは、一般家庭が1年間に排出するCO2の約4世帯分に相当する削減効果です。
4種類の環境配慮型コンクリートをラインナップ
大成建設が開発した環境配慮型コンクリート「T-eConcrete」シリーズは、これまでに4種類の製品を実用化し、多くの建設現場で使用されてきました。このシリーズの特徴は、コンクリートの主原料であるセメントの使用量を抑え、代わりに産業副産物(工場などで副次的に生まれる材料)を有効活用することで、環境への負荷を低減している点です。
製品には以下の4タイプがあります。
・建築基準法対応型:法律の基準に適合した基本モデル
・フライアッシュ活用型:石炭火力発電所から出る灰を利用
・セメント・ゼロ型:セメントを使用しない革新的な製品
・Carbon-Recycle型:CO2を再利用する最新技術を採用
万博での展示を通じた環境技術の普及
大成建設は、大阪・関西万博の会場を訪れる多くの人々に、この革新的な床材を実際に体験してもらうことで、環境技術についての理解を深めてもらうことを目指しています。来場者は展示室を歩くことで、環境に配慮した建材の実用性と快適性を直接確かめることができます。
脱炭素社会の実現に向けた総合的な取り組み
同社は、建設材料の環境負荷低減だけでなく、建物を建てる際のCO2削減や、完成後の建物の省エネ化など、さまざまな角度から持続可能な社会の実現に取り組んでいます。
具体的には、以下のような取り組みを行っています。
・低炭素型の建設材料の開発と実用化
・建設現場でのCO2排出削減の取り組み
・建物の運用時における省エネ技術の開発
・環境負荷を低減するサービスの提供
今後の展望
大成建設は、この環境配慮型コンクリートの技術をさらに発展させ、より多くの建設プロジェクトで活用することを目指しています。同社は、建設業界における環境負荷の低減を先導する立場として、今後も新たな技術開発と実用化を進めていく方針です。大阪・関西万博での展示を通じて、環境技術の重要性を社会に広く発信し、持続可能な未来の実現に貢献することを目標としています。
出典情報
大成建設株式会社リリース,大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「EARTH MART」に「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」を使用した床仕上げ材を提供,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2024/241211_10245.html