有料・無料の積算ソフトとの違いとは?概要から選び方まで解説
積算は、どのような工事でも必須の作業です。しかし、手作業での計算は時間が掛かることに加え、1つずつ対応しなければなりません。そのため、有料・無料の積算ソフトを導入したいという企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、有料・無料の積算ソフトについて詳しくみていきましょう。
目次
積算とは
積算とは、工事で発生する全てのコストを計算・予測する作業を意味する言葉です。たとえば、1つの工事だけでも次のような計算が必要となります。
- 建材の数量
- 労働力の単価設定
- 必要な設備の準備(リスク回避のための予算)
積算は工事現場ごとに発生する費用が異なる中で、工事の利益を確保するための作業といえるでしょう。
見積との違い
見積もりは主に外部に示すために、項目ごとの費用をまとめたものだといえます。対して、積算は自社の利益や予算を明確にするためのものです。そのため、目的が全く異なり、コストの詳細でいえば積算の方が詳しいといえます。
また、見積もりは取引相手に提示する契約・交渉の段階で使用するものです。積算は取引相手に見せる必要がなく、計画段階で使用するため、使用する段階も異なるといえるでしょう。混同しやすいため、順番は次のようになる点を把握しておくことが大切です。
- 見積もりを行う
- 見積もりに合わせて積算を行う
- 積算の結果をふまえて契約先にみせる見積書を作成する
ただし、積算は初期段階だけでなく、基本設計や詳細設計後、実施設計・施工中にも行う作業である点は知っておきましょう。
積算ソフトを導入する3つのメリット
積算ソフトを導入するメリットは以下のとおりです。
- 作業効率と精度の向上が期待できる
- シミュレーションが実施できる
- 報告書の自動作成ができる
手作業による計算データでは、ヒューマンエラーが起こりやすいといえます。しかし、積算ソフトの場合は、計算を自動化することが可能です。また、積算結果の精度が高いことに加え、条件ごとのシミュレーションまで算出できるため、業務効率の向上も図れるでしょう。
おすすめ積算ソフト3選(有料)
ここでは、おすすめの積算ソフトについてみていきましょう。
楽王
「楽王」は、アークシステム株式会社が提供している積算ソフトです。見積コピーや材料入力の効率化が図れるため、似たような案件を多数行っている場合には、スピード感のある処理が可能となります。
また、画面をある程度カスタマイズできるため、担当者次第でより効率的な積算ができる点もメリットの1つです。料金は8,800円からとなっており、複数の担当者がいる場合はより上位のプランを選ぶとよいでしょう。
ATLUS NEXT
「ATLUS NEXT」は、株式会社コンピューターシステム研究所が提供している土木工事特化の積算ソフトです。次のような機能がある点が評価されています。値段に関しては、問い合わせを行いましょう。
- Excel・PDFの電子設計書の取り込み・自動解析-解析したうえで、過去のデータから設計書に近い積算結果を生成する。金額の算出が楽になるため、業務時間の短縮・効率化が可能
- ナレッジBOX-積算に関するノウハウや知識を共有するためのクラウドデータベースがある。歩掛(作業日数や単位)ごとにデータが記録され、自治体ごとのポイントも情報がまとめられている。
とくに、ナレッジBOXは知識やスキルがベテランほどなかった人材でも、積算業務が可能となる点はメリットといえます。
Tetra21
「Tetra21」は株式会社日本オープンシステムズが提供する積算ソフトです。建築から設備工事まで対応でき、直感的な操作が可能な点が特徴です。小規模工事から大型工事まで対応できる見積書作成機能や同時編集機能、自動計算機能もあるため、積算業務の効率化が見込めるでしょう。
また、作成した見積データは保存しておけるため、会社の資産やノウハウとして活用することも可能です。
おすすめ積算ソフト2選(フリーソフト)
ここでは、無料の積算ソフトについてみていきましょう。
KENSEKI
建築物の内装工事向けのフリーソフトです。とくに、木造住宅に向いており、室数は60室まで登録できるため、中規模建築物であれば対応できます。また、壁や天井などに必要な材料の数量を拾いだすことに向いており、部材の登録も60種類まで対応可能です。
躯体積算シート
建設工事の中でも躯体の部材数量を計算する際に効率化できるフリーソフトです。Excelからの複写ができ、柱や梁などの部位ファイルを作ったうえでそこから計算することも可能です。ただし、数量計算そのものは作業者が行う必要があります。
BIM連携できる積算ソフト
BIMに連携できる積算ソフトには、以下のようなものがあります。
ソフトウェア | 特徴 | BIM連携機能 |
Autodesk Quantity Takeoff | 数量拾い、図面からの自動清算 | 他のAutodesk商品と連携。BIMデータ抽出 |
Bluebeam Revu | 図面のマークアップによる数量拾い、PDF図面の比較、集計が可能 | Revit、ArchiCADなど主要などからデータをインポートできる |
HELIOS | 構造計算から躯体などの計算ができる、仕上積算も可能 | Autodesk RevitやArchicadなどと連携できる |
積算ソフトの選び方
積算ソフトは、次のような基準で選びましょう。
- 自社の業務フローの改善点をみつける
- ソフトウェアに必要な機能や拡張性を比較する
- BIMと連携できるかどうか、使いやすいかどうかを判別する
価格帯に関しては、予算を予め決めておき、必要であれば複数社から見積を出してもらうことも大切です。また、ベンダーがどこまでサポートするのかも契約前に確認しておくと無用なトラブルを避けられます。
積算ソフトの活用事例
ここでは、積算ソフトの活用事例についてみていきましょう。
大規模商業施設にて積算ソフトの活用
ある企業では、大規模商業案件を新築する工事を担うことになりました。しかし、次のような問題があり、頭を抱えていました。
- 複数の設計図面と仕様書を管理する必要がある
- 資材価格と労務費の変動を把握し対応する必要図あった
- コスト管理の一元化とリアルタイムでの共有が必須だった
積算ソフトの導入によって、BIMから直接数量データを抽出できるようになり、クラウド上でデータ共有が可能になりました。また、コミュニケーションコストも削減でき、ヒューマンエラーも減少しました。
地域特化の住宅特化建設会社における積算ソフトの活用
ある地域に根ざした住宅建設会社では、見積作成に時間がかかったうえで、資料の整理もできていないという課題を抱えていました。また、積算担当者の退職が間近となっており、次の担当者に教える時間も確保できていない状況でした。
しかし、クラウドベースの積算ソフトを入れたことで、簡潔に見積作成が可能になり、担当者の時間も確保できるようになっています。また、修正があったとしても迅速な対応ができるようになり、保存したデータを活用して、後継の育成にも注力できるようになりました。