建設業許可とは?登録にかかる費用や種類、更新方法を解説

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これから建設事業をスタートしたいと考えている方は、事前に行政から建設業許可を取得しなければなりません。しかし、建設業許可がどのようなものかわからないとお悩みの人も多いでしょう。

そこで本記事では、建設業許可の役割や登録費用について解説したのち、申し込み方法や更新方法の手順についてわかりやすく解説します。

建設業許可とは

建設業許可とは、建設業を営む際に必ず取得しておかなければならない許可のことです。行政に許可を申請することで、次のような番号を付与され工事業務の受注が可能となります。

第〇〇〇〇〇〇号(6ケタの番号)

なかでも、次のような事業をスタートする場合には、あらかじめ建設業許可を申請しなければなりません。

  • 土木工事
  • 建築工事(大工やとび、石工などを含む)
  • 電気工事
  • 管工事
  • 板金工事
  • 機械工事
  • 通信工事
  • 造園工事
  • 解体工事
  • 清掃施設工事

上記の事業はあくまで一例です。公共施設や土地、建物のに関わる「工事」をするほとんどの場合には建設業許可が必要になると覚えておきましょう。また、建設業許可は建設業法にも次のように記載されています。

建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業法第3条の規定に基づき、建設業の許可を受けなければなりません。

引用:国土交通省「 建設業許可(建設業法第3条)」

なお、建設業法に違反すると3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されます。営業停止といった命令を受けることもあるため、十分に注意してください。

建設業許可が必要ない工事の条件

軽微な建設工事という条件にあてはまれば、建設業許可を取得する必要がありません。

ここで言う「軽微な建設工事」とは、1件の工事における請負代金が建築一式工事以外の場合にあっては500万円未満、建築一式工事にあっては1,500万円未満または延べ面積が150㎡未満の木造住宅の工事が該当します。

上記の条件にあてはまれば、建設業許可を取得しなくとも工事を請け負えます。ただし将来的に大きな金額の業務を受注する予定があるのなら、現在軽微な建設工事に対応しているとしても、早めに建設業許可を取得しておくことをおすすめします。

建設業許可の取得に必要な資格一覧

建設業許可は、誰でも自由に取得できるものではありません。安全かつ計画的な工事を実施できる証明となる次のような資格が必要です。

  • 施工管理技士
  • 技術士
  • 建築士
  • 設備士

上記の4項目は、あくまで工種ごとに共通している資格の名称を指しています。「解体工事には1級土木施工管理技士が必要」というように工種ごとに求められる資格要件が違う点に注意してください。

また、資格のみならず、実務経験や講習への受講が条件になっている場合もあります。初めて建設業許可の取得をするという方は、役所等に相談をするのがおすすめです。

建設業許可の取得・更新にかかる費用

これから建設業許可の取得・更新をしようと動き始めた方向けに、関係する費用項目を整理しました。

許可手数料

建設業許可にかかる費用は「知事許可」「大臣許可」によって手数料が変化します。

まず1つの都道府県で建設工事を実施する場合には、知事からの許可を取得しなければなりません。費用は9万円が目安であり、後述する大臣許可の費用よりも安価です。

続いて2つ以上の都道府県で事業を展開したい場合には、大臣からの許可を取得しなければなりません。広い範囲で事業を実施するため、費用は15万円が目安となります。

また上記に合わせて次のような費用がかかることに注意してください。

  • 登記事項証明書:600円
  • 残高証明証:800円
  • 住民税:300円
  • 印鑑証明書:300円
  • その他の証明書:300円
  • 身分証明書:300円
  • 納税証明書:400円

合計すると、約3,000円ほどの追加費用がかかるイメージです。つまり、1つの都道府県で事業をする際には約9万3,000円、2つ以上の都道府県で事業をする際には約15万3,000円がかかると覚えておきましょう。

更新・維持費用

建設業許可は、一度取得したら終わりではなく継続的に更新費用・維持費用の支払いが必要です。

まず更新費用については5年に1回ペースで一律5万円を支払わなければなりません。更新するタイミングは自分たちで把握する必要があり、もし更新期日を超えてしまうと建設業許可が取り消されてしまうので十分に注意してください。

続いて維持費用は、行政書士に管理や手続きを任せた場合等にかかる費用です。なお、行政書士に依頼をした場合には、本記事で紹介した許可手数料や更新費用とは別に委託費用がかかる点に注意してください。金額についても利用する行政書士で違うため、事前に見積もりを取得しておくことをおすすめします。

建設業許可の取得・更新の手順

これから建設業許可の取得・更新をしようと考えている人向けに、それぞれの手続きに必要な手順をまとめました。はじめて手続きを実施するという方は、ぜひ参考にしてみてください。

建設業許可を取得する手順

まず建設業許可を新たに取得する際には、次の手順を踏まなければなりません。

  1. 取得する建設業許可の種類を決める
  2. 建設業許可取得の要件を確認する
  3. 許可申請のための書類を作成・収集する
  4. 許可行政庁に申請をして審査をうける
  5. 建設業許可通知書を受けて申請が完了する

一般的には1〜2週間で手続きを完了できます。比較的早く許可申請の結果が通知されるため、急いでいる場合にも問題なく取得が可能です。ただし、必要書類がわからないなど、手続きに時間がかかる場合もあるため、なるべく行政書士といったプロに相談したうえで手続きを進めるのがよいでしょう。

建設業許可を更新する手順

5年に1回のペースで実施しなければならない建設業許可の更新は、次の手順で進めていきます。

  1. 管轄の役所に更新について事前相談する
  2. 申請に必要な書類を作成・収集する
  3. 管轄役所に申請する

基本的には、許可申請と似た手続きを実施します。必要書類なども大きくは変わらないため、1~2日で更新を終えられるケースもあると覚えておきましょう。

建設業許可の検索方法

建設業許可の申請をクリアすると、国土交通省に申請した企業の情報が登録され、特定の番号が付与されます。このとき、建設業許可の状況などを定期的に調べたいと考えている方は、国土交通省が提供している「建設業者 検索」というページを利用するのがおすすめです。

建設業者 検索」のページでは、商号や企業の名称から簡単に許可情報を検索できます。以下に検索で確認できる情報を整理しました。

  • 許可を受けている行政庁の地域
  • 許可番号
  • 商号または名称
  • 代表者名
  • 営業所の名称
  • 所在地

また企業名をクリックするとさらに詳しい内訳を確認できます。有効期限や許可を受けている項目も含めて検索できるため、建設業許可を取得した後は定期的にページを確認しておくことをおすすめします。

まとめ

建設業許可は、建設工事に関わる事業を始めたい方が取得すべき許可です。小規模な工事など一部の例外を除けば、ほとんどの工事会社が取得を求められるため、本記事で紹介した費用や手続きの手順などを参考にしながら、申請の準備を進めてみてください。

また、建設業許可を取得せずに特定の業務を実施すると、罰則・罰金や業務停止といった命令を受ける点に注意してください。安定して建設工事の事業を続けるために、申請・更新を忘れないように気を付けましょう。