【2024年】主要建設資材需給・価格動向調査の最新動向!物価指数の推移と将来予測を解説

2024年11月、新たに主要建設資材需給・価格動向調査の結果が公表されました。今回の調査で、建築資材の需要・共有および価格はどのように変化したのでしょうか。

本記事では、主要建設資材需給・価格動向調査の結果をもとに、最新の動向や過年度からの変化を解説したのち、今後どのような変化が起きるのか将来予測を紹介します。

2024年最新の主要建設資材需給・価格動向調査結果

出典:国土交通省「主要建設資材需給・価格動向調査結果(令和6年11月1~5日現在)」

2024年11月1〜5日にかけて実施された「主要建設資材需給・価格動向調査」の結果より、建設資材の需要・供給・価格は次の通りとなります。

  • 価格動向:横ばい
  • 需給動向:均衡
  • 在庫状況:普通

グラフを見ても特に過年度からの大きな変化はなく、安定した需要と供給を維持している状況です。建設資材を海外からの輸入に頼っている日本ですが、世界情勢が不安定化している現在でも、資材関連の問題は起こっていません。

主要建設資材需給・価格動向調査の過年度からの変化

より詳しく調査の推移を見ていくために、過年度の同月(11月)調査における結果の動きを以下に整理しました。

出典1:国土交通省「~主要建設資材需給・価格動向調査(令和6年11月1~5日現在)の結果~」

出典2:国土交通省「~主要建設資材需給・価格動向調査(令和5年11月1~5日現在)の結果~」

出典3:国土交通省「~主要建設資材需給・価格動向調査(令和4年11月1~5日現在)の結果~」

出典4:国土交通省「~主要建設資材需給・価格動向調査(令和3年11月1~5日現在)の結果~」

出典5:国土交通省「~主要建設資材需給・価格動向調査(令和2年11月1~5日現在)の結果~」

価格動向で横ばいと回答した都道府県の推移

主要建設資材需給・価格動向調査における「価格動向」の5か年推移を下表にまとめました。

2024年11月2023年11月2022年11月2021年11月2020年11月
セメント414464544
生コン3739214444
骨材38~4638~4528~3543~4644~46
アスファルト合材43~4521~2211~1316~1945
異形棒鋼394428034
H形鋼354026035
木材33~3734~4019~351~843~45
石油444036043

(都道府県数)

2022年11月時点で一時的に「均衡」という回答が減り、「やや価格が上昇している」と回答した都道府県が増加しています。主にロシア・ウクライナによる戦争の影響を受けての価格高騰だと考えられるでしょう。

ただし一過性の高騰だったことから、2023年11月以降は、過年度と同様の価格帯に落ち着きました。

需給動向で均衡と回答した都道府県の推移

主要建設資材需給・価格動向調査における「需給動向」の5か年推移を下表にまとめました。

2024年11月2023年11月2022年11月2021年11月2020年11月
セメント4340434444
生コン4243464645
骨材37~4440~4542~4441~4639~45
アスファルト合材38~4237~4439~4444~4743~44
異形棒鋼3941463543
H形鋼3336382343
木材28~3635~4036~409~1142~47
石油4444474645

(都道府県数)

建設資材の需給動向においては、特に大きな変動は起きていません。

ただし2021年11月において、異形棒鋼・H形鋼・木材の3点で「ややひっ迫している」と回答した都道府県が増えました。新型コロナウイルスにおける規制の緩和や東京オリンピックの開催など、建設業の動きが活発化する時期だったことが関係していると想定されます。

在庫状況で普通と回答した都道府県の推移

主要建設資材需給・価格動向調査における「在庫状況」の5か年推移を下表にまとめました。

2024年11月2023年11月2022年11月2021年11月2020年11月
セメント
生コン
骨材15~2113~1925~2719~2531~40
アスファルト合材
異形棒鋼121310940
H形鋼11119438
木材10~118~913~170~336~42
石油

(都道府県数)

在庫状況の推移においては、2023年・2024年の割合が減っているような数値に見えますが、単純に回答者数が少ないため数値として除外されているのが原因です。

全体の傾向をみても特段大きな変動は起きていませんが、需給動向の傾向と同じく、2021年11月に異形棒鋼・H形鋼・木材が「やや品不足」に陥っています。理由についても、需給動向と同じように「新型コロナウイルスにおける規制の緩和」「東京オリンピックの開催」など、建設業の動きが活発化したことが関係していると考えられます。

主要建設資材需給・価格動向調査に影響を与えるポイント

直近の調査結果では、主要建設資材需給・価格動向に大きな変化はありませんでした。しかし今後、大きな推移変動が起こる可能性もゼロではありません。

そこで建設関連企業向けに、主要建設資材需給・価格動向に影響を与えるポイントを2つ紹介します。

海外からの輸入に依存している日本

資源が少ない日本は、建設資材を含むさまざまなものを海外からの輸入に依存しています。しかし、輸入のみに依存すると次の影響を受けやすい点に注意が必要です。

  • 世界的な病気の流行による貿易の停滞
  • 戦争・紛争問題

例えば新型コロナウイルスがまん延したときには、一時的に輸出入が停滞して、日本全体が打撃を受けました。また輸入している国々で戦争が起こった際には、有無を言わさず輸出入が停止されるケースも少なくありません。

もしもの輸入トラブルに備え、自国における木材の生産や、輸入国の分散化に力を入れることが重要です。

資源の枯渇

有限である自然の原料を利用してつくる建築資材は、いつか枯渇する未来が待っています。また資源が枯渇に近づくにつれ、価格高騰のリスクが高まることから、いかに少ない資源で建設業界を維持するのかがカギを握ります。

そこで今求められている対策なのが、循環型社会の実現です。古い建築物・建造物を取り壊す際に出た「廃棄物」をリサイクルし、新たな資材として利用できる仕組みをつくり出すことで、輸入する資材の数を減らせます。

実際に日本建設業連合会でも、コンクリート材の再資源化率99%以上、木材の再資源化率97%以上を目指すなど、再資源に着目した取り組みがスタートしている状況です。

主要建設資材需給・価格動向調査の将来予想

過去からの傾向をみても、主要建設資材需給・価格動向調査の結果は、今後も安定して横ばい・均衡・普通といった水準を維持し続けると考えられます。また時事的な問題により一時的な変動はあるものの、時間の経過とともに安定した水準に戻ると想定できるでしょう。

しかし、一時的な材料費の高騰といった影響を受け、経営を続けられなくなる企業があるのも事実です。今後、起こるかもしれない不測の事態に備えるためにも、将来予測やビジネスストックの増加を生み出せるDX化などに力を注ぐ必要があるでしょう。

まとめ

新型コロナウイルスやロシア・ウクライナ戦争などによる影響で高騰していた材料価格も落ち着き、主要建設資材需給・価格動向調査は従来通りの水準を取り戻している状況です。

しかし、今後も安定が続くとは限りません。もしものトラブルに備えて不要なコストの縮減対策を始めるなど、生産性向上のための建設DXに役立つ取り組みをスタートすることが重要です。