AIエージェントとは|生成AIとの違いやサービス事例

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著者:小日向

トレンドワード:AIエージェント

AIエージェント」についてピックアップします。自律的に行動まで行えるAIとして、幅広い分野での活用が始まっています。本記事ではAIエージェントの活用事例や、生成AIとの違いについて分かりやすくご紹介します。

AIエージェントとは|自立行動できる優れ者

AIエージェントとは、特定の目的やタスクを実行するために設計された人工知能システムのことを指します。ユーザーの指示や要望に応じて情報の収集・分析を行うだけでなく、「自律的に行動を起こす」といった段階まで行うのが特徴です。

AIエージェントは効率的な作業を支援するためのツールとして、幅広いビジネス分野での利用が始まっています。ニーズに合ったAIエージェントを活用することで、効率や成果を大幅に向上させられます。

AIエージェントと生成AIの違い

AIエージェントと生成AIの主な違いは、下表の通りです。

AIエージェント生成AI
目的タスクを遂行し、意思決定や行動を実行すること新しいデータやコンテンツを生成すること
動作の仕組み外部環境を観察し、行動を計画・実行する学習済みモデルを利用してデータを生成する
自律性自律的に判断・行動する指示がない限り動作しない
応用範囲スマートホーム、ロボティクス、カスタマーサポートコンテンツ制作、デザイン、クリエイティブ作業

生成AIは創造的な作業が得意な反面、具体的な指示を出さないと動作できないという特性があります。そのため、画像の生成や建築設計といったクリエイティブな業務に適しています。

しかしAIエージェントであれば「週末に沖縄旅行に行きたい」と伝えるだけで「飛行機とホテルの空き状況の検索・タイムスケジュールの確認・実際の予約」といった一連の流れを自律的に行ってくれます。このように曖昧な指示にも的確な提案が可能なため、複雑なタスクを任せられるのが強みです。

AIエージェントの活用シーン|建設業にも応用

ここでは、AIエージェントの具体的な活用シーンをご紹介します。建設業にも応用可能なシーンも多く、今後の広がりが期待されます。

スマートホーム

AIエージェントは、住宅内の快適性やエネルギー効率を向上させるために使用できます。例えば照明や空調の自動制御を行うことで、住む方の行動パターンに基づいて最適な温度や明るさを調整してくれます。

また音声アシスタントとの連携によってカーテンや照明を操作したり、電力消費の最適化や再生可能エネルギーの活用を支援することも可能です。さらにアフターサービスとして、AIエージェントを活用した設備やシステムの異常検知やメンテナンスを遠隔で実施することもできると予想されます。

自動運転

車両や機械にAIエージェントが搭載されることで自律的な移動が可能になり、交通や物流の効率化を促進します。

特に建設現場においては、掘削機やブルドーザーの無人操作によって人手不足の解消にもつながります。さらにドローンとAIを活用して、正確な地形データを迅速に取得するといった活用法も考えられるでしょう。

カスタマーサービス

AIエージェントは、チャットボットや音声アシスタントとして顧客対応を効率化するのに役立ちます。24時間対応のカスタマーサポートによって、問い合わせやクレーム対応を迅速化できるのがメリットです。

特に建設業では住宅分野で一般のお施主様とのやり取りが生じますが、住宅やオフィスデザインの相談をチャット形式で受付することで顧客満足度の向上やトラブル防止に役立ちます。

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工場生産管理

AIエージェントによって生産プロセスを効率化することで、品質管理や生産性向上を支援できます。異常検知や稼働率の最適化を行うだけでなく、需要予測に基づき、材料や部品の調達を最適化するといった活用方法もあります。

プロジェクト進捗に合わせて必要な資材をタイムリーに配送することで、物流の効率化にも貢献可能です。

AIエージェントのメリット

ここでは、AIエージェントの主なメリットについてご紹介します。

細かい指示が不要

AIエージェントは生成AIとは違い、自律的に状況を判断して適切な行動を選択できます。そのため管理者が逐一指示を出す必要がなく、手間を省けるのがメリットです。

例えば建設現場での応用が進めば、作業工程をリアルタイムでモニタリングし、異常を自動的に検知すれば指示無しでアラートを発信するといった業務も可能になるでしょう。このように複雑なタスクをシステムが一貫して処理することで、効率が向上します。

生産性向上に役立つ

AIエージェントによって作業を迅速化することで、人間の負担を軽減できます。具体的にはスケジュール管理やメールの返信といった単純作業をAIが担当することで、より高度な業務に集中できるのが特徴です。

人的ミスの削減

基本的にAIエージェントはデータやルールに基づいて動作するため、人的なミスを最小限に抑えられます。精度の高い業務遂行が可能になれば、顧客満足度が向上します。

例えば建築設計分野ではAIエージェントが建築設計のデータチェックを行い、構造計算ミスを未然に防ぐことも可能と考えられます。ヒューマンエラーによる損失を回避することで、業務効率化が可能です。

AIエージェントのデメリット・課題

AIエージェントはまだまだ新しい技術なので、デメリットや課題も残っています。

プライバシー保護対策

AIエージェントは膨大なデータを利用するため、個人情報や機密データの取り扱いに注意が必要です。例えばユーザーや企業データ、サイバー攻撃によるAIエージェントの不正利用といったトラブルが考えられます。

そのためデータ暗号化やアクセス制御を強化したり、プライバシー保護に特化したシステム設計を行ったりすることが求められます。

誤作動のリスクがある

AIエージェントはアルゴリズムやプログラムに基づいて動作するため、場合によっては誤作動や予期しない結果を引き起こすリスクがあります。

センサーの故障やデータの不正確さにより、誤った判断を下すといったトラブルの他、未知の状況に対する適応力不足も課題です。周囲の環境を誤認識することで不適切な行動を取ってしまうことを考慮して、人間による監視や緊急時の介入が可能な仕組みを設けることも必要です。

情報のデジタル整理・人材育成が必要

データの整理やデジタル化が不十分な場合、AIが正確な判断を下せません。またAIエージェントの導入後に従業員がシステムを理解し、効果的に使いこなすには適切な教育が必要です。

特に建設業ではまだ紙で情報をやりとりしている現場も多く、施工計画や資材情報がデジタル化されていない場合、AIが十分に機能しなくなってしまうのが課題です。そのため、BIMの導入等で情報をデジタル整理することが第一歩となります。

AIエージェントのサービス事例

ここでは、AIエージェントのサービス事例をご紹介します。ビジネス分野で幅広い活用が始まっており、今後急速に普及することが予想されます。

NEC|NEC AIエージェント

出典:NEC,NEC、高度な専門業務の自動化により生産性向上を実現するAIエージェントを提供開始,https://jpn.nec.com/press/202411/20241127_01.html,参照日2024.12.6

NECは、業務を自律的に遂行する「AIエージェント」を2025年1月より順次提供開始する予定です。独自の生成AI「cotomi」を活用し、ユーザーが入力した業務依頼を自律的にタスク分解して最適な業務プロセスを設計・実行する仕組みです。

サービス第一弾として、経営計画や人材管理、マーケティング戦略など、社内外の情報を包括的に検索し、意思決定が求められる業務のプロセスを自動化するシステムを提供します。

例えば「キャリア採用者の育成戦略を作りたい」と入力した場合、下記の流れを自律的に行います。

  • ①指示内容から最終成果物を「育成計画書」と設定
  • ②社内外の情報収集や分析、プログラムの生成・実行など、複数のタスクに分解
  • ③LLM、社内外の検索エンジンの呼び出し、図表の理解などのタスクを組み合わせた業務プロセスを設計
  • ④育成計画書を作成

これにより経営計画や人材管理、マーケティング戦略など、企業経営や業務運営に関わる高度な専門業務において、大幅な効率化が期待できます。

アクセンチュア|PWPバディ

出典:アクセンチュア,アクセンチュアとNVIDIA、企業のAI活⽤拡⼤にむけて、協業を拡⼤,https://newsroom.accenture.jp/jp/news/2024/release-20241009,参照日2024.12.6

アクセンチュアとNVIDIAは、企業の迅速なAI導入を支援するために協業体制を拡大しています。具体的には生成AIの新たな領域である「エージェントAIシステム」の導入を拡大し、企業の生産性向上と成長力強化を支援していく予定です。

2025年には、「PWP(ピアワーカープラットフォーム)」を全社展開することが決まっています。これはAIエージェントが各社員の「分身」となり、定型作業の代替やスキルのサポートを行う仕組みです。

将来的にはAIエージェント同士が対話を行うことで、営業や購買といった交渉分野も可能になるとしています。

博報堂|AIメディアプラニング

出典:博報堂,AaaS、AIエージェントとの対話を通じたメディアプラニングが可能に,https://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/service/20241205_36156.html,参照日2024.12.6

博報堂DYメディアパートナーズは、AIエージェントとの対話によって広告プランの作成・シミュレーション、スライド資料の自動作成が可能なシステムを開発しました。これによりユーザーの個別の事情に即したプランニングが可能になり、精度の向上に貢献しています。

具体的な機能は、下記の通りです。

  • ①AIエージェントとの対話インターフェース
  • ②AIエージェントのカスタマイズ機能
  • ③スライド自動作成機能

これにより精緻なプラニングと業務プロセスの効率化・高度化を実現させ、広告効果の最大化を目指します。

まとめ

AIエージェントは、生成AIよりも一歩進んだ技術として注目されています。自律的な判断や行動が可能になることで、さらなる業務効率化が期待できます。建設業においても、まずはデジタル化で情報を整理することが重要となるでしょう。