大林組、資源循環データプラットフォームmyUpcyclea導入で建設資材の環境負荷を可視化
大林組は、建設資材の環境負荷低減と資源の有効活用を目指し、画期的な取り組みを開始しました。フランス・パリに本社を置くUpcyclea社が開発した資源循環データプラットフォーム「myUpcyclea(マイアップサイクリア)」を日本企業として初めて導入し、建設資材の循環利用を本格的に推進していきます。
目次
建設業界が直面する課題
建設業界では、環境負荷の低減が重要な課題となっています。大林組はこれまで、既存建物の構造材を活用した建物のリノベーションやコンバージョン、耐震改修などを積極的に実施してきました。しかしながら、内装材や設備機器については、仕様や寸法の違い、施工時の生産性低下などの問題から、そのほとんどが廃棄物として処理されるか、リサイクル処理に回されているのが現状です。
革新的なプラットフォーム「myUpcyclea」の導入
このような課題を解決するため、大林組は世界300社以上での導入実績を持つmyUpcycleaの活用を決定しました。このプラットフォームは、建設資材に関する様々な環境データを統合的に管理し、以下のような機能を提供します。
環境性能の可視化
建設資材のCO2排出量、水使用量、循環性、安全性などを数値化し、比較可能な形で提示します。これにより、リユースによる環境負荷削減効果を具体的に把握することができます。
デジタル製品パスポートの活用
建設資材の詳細な環境性能情報をデジタル化し、トレーサビリティを確保します。これにより、資材の品質状況や履歴を正確に追跡することが可能になります。
AIマッチング機能
解体現場から発生するリユース可能な建設資材と、新築工事現場での需要をAIが効率的にマッチングします。これにより、資材の無駄を最小限に抑えることができます。
実証実験の実施計画
大林組は、2024年9月から2025年3月にかけて、以下の項目について実証実験を行います。
・建設資材の詳細データ入力
・環境データの数値化と活用方法の検証
・資材の環境情報データベースの構築
・外部システムとの連携
実証実験は、大林組が管理する解体現場と、技術研究所新実験棟の建設現場で実施されます。この期間中に得られた知見をもとに、課題の抽出と解決策の検討を進め、2025年4月以降、段階的に適用現場を拡大していく計画です。
期待される効果と今後の展望
myUpcycleaの導入により、以下のような効果が期待されています。
・建設資材の循環利用の促進
・環境負荷の大幅な削減
・建物ライフサイクル全体の最適化
・お客様の脱炭素化支援
・ESG報告データの整理
大林組は、この取り組みをさらに発展させるため、サプライチェーンを構成する企業や関連団体との連携も積極的に推進していきます。これにより、「Obayashi Sustainability Vision 2050」で掲げる「地球・社会・人」のサステナビリティの実現を目指します。
用語解説
・リユース可能性
建設資材が品質面、機能面において他の建設現場での再利用が可能であり、かつ再利用することで環境負荷の削減効果が見込める状態を指します。
・安全性評価
建設資材の原材料に含まれる物質の人体への影響を評価する指標です。有害物質の含有の有無を確認し、安全性を確保します。
・建物ライフサイクルマネジメント
建設資材の製造から、建物の建設、使用期間中の維持管理、最終的な解体に至るまでの全過程において、CO2排出量をはじめとする環境負荷を総合的に評価・管理する手法です。
出典情報
出典:株式会社大林組リリース情報,仏 資源循環データプラットフォーム「myUpcyclea」を活用し、建設資材の循環利用推進に向けた取り組みを開始,https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20241023_1.html