ゼネコンとはどんな会社?事業内容やDXへの取り組みを徹底解説
目次
ゼネコンとは
ゼネコンとは「ゼネラル・コントラクター」の略語で、大規模な建設プロジェクトを総合的に管理・実施する建設業者のことを指します。主にビルや道路、橋梁、ダム、工場などの大規模な建築物や、インフラの設計、施工、管理を行っています。
建設プロジェクトには基礎工事・内装工事・電気工事…といった多くの専門業者が関わるため、一つひとつ管理するのは大変な手間が掛かります。しかしゼネコンであれば一括で請け負うことが可能なので、発注者の手間を軽減できるのが特徴です。
ゼネコンとサブコンの違い
サブコンとは「サブ・コンストラクター」の略語で、大規模な建設プロジェクトにおいて専門的な工事を担当する下請け業者のことを指します。ゼネコンから特定の作業や工程を請け負い、実際の施工を行います。主に、下記のような工事業者が該当します。
- 電気工事:配線や電気設備の設置
- 空調・給排水工事:エアコン、換気システム、給排水設備の設置
- 内装工事:壁や床、天井の仕上げや家具の設置
- 設備工事:エレベーターやセキュリティシステムなどの設置
ゼネコンがプロジェクト全体を管理するのに対して、サブコンは特定の作業のみを担当するのが大きな違いです。そのためサブコンはゼネコンに対して技術的な専門知識や技能を提供し、現場での施工を実際に行うという関係性が成り立ちます。
サブコンの概要について詳しくは、下記記事をご覧ください。
ゼネコンと工務店・ハウスメーカーとの違い
ゼネコンが大規模な建設プロジェクトの管理・施工。ビルや公共施設を対象としているのに対して、工務店やハウスメーカーとは下記のような違いがあります。
まず「工務店」は地域に密着した建設会社で、主に個人住宅や中規模の建物の建設・リフォームを行います。ただし複数のエリアにまたがって展開している工務店もあり、必ずしも小規模な企業ではない場合もあります。
地域のニーズに即した住宅建設や、小規模な改築が得意です。そのため細かい要望に応じたオーダーメイドの家づくりが得意で、工期やデザインに対してフレキシブルに対応してもらえます。
一方で「ハウスメーカー」は、規格化された住宅を全国的に提供している大手メーカーが多いです。多くの場合、プレハブ工法や工場生産の住宅パーツを使用しています。あらかじめ用意された間取りやデザインプランの中から選ぶ形式が一般的ですが、個々の状況に応じてカスタマイズすることも可能です。
標準化されたプランにより工期が比較的短いのが特徴ですが、自由度は工務店に比べて低いことが多いです。個人住宅だけでなく、集合住宅や店舗併用住宅といった比較的大規模な建築物も手掛けています。
ハウスメーカーについての詳細は、下記記事をご覧ください。
ゼネコンの種類
ここでは、ゼネコンの主な種類についてご紹介します。
スーパーゼネコン
スーパーゼネコンとは、日本国内外で大規模な建設プロジェクトを手掛ける最大手のゼネコンのことを指します。明確な決まりはありませんが、主に「大手5社」と呼ばれる下記の企業を指すことが多いです。
先進的な技術、耐震、環境対応、都市開発など、複雑で高度な技術を要求されるプロジェクトにも対応しています。また国内のみならず、海外でのインフラ整備や建設プロジェクトも展開している企業も多いです。
準大手ゼネコン
準大手ゼネコンとは、スーパーゼネコンに次ぐ規模で売上高が3,000億円程度のゼネコンのことを指します。大手5社に比べると、企業の規模やプロジェクトの数・規模がやや小さい場合が多いです。ただし特定の分野で非常に高い技術力や強い専門性を持っている会社も多く、大規模商業施設や高層マンションを手掛けています。
具体的には、前田建設工業・フジタ・西松建設・熊谷組といった企業が挙げられます。規模はスーパーゼネコンより小さいですが、大規模建設プロジェクトや都市開発といったプロジェクトを展開しているのが特徴です。
中堅ゼネコン
中堅ゼネコンとは、売上高が1,000億円程度で一定の実績と技術力を持つゼネコンのことを指します。主に中規模の建築や土木プロジェクトに携わり、特定の地域や分野に強みを持つ企業が多いです。
事業は建築、土木の両方に関与する企業が多く、中小規模の商業施設、公共施設、マンション、道路、橋梁、トンネル工事などを行っています。具体的には、奥村組・東亜建設工業・鉄建建設・東洋建設・淺沼組といった企業が挙げられます。
各ゼネコンについて詳しくは、下記記事をご覧ください。
ゼネコンの役割
ゼネコンは、大規模な建設プロジェクトの設計・施工・研究等を行っています。具体的には、下記のような役割があります。
主にプロジェクトの初期段階から完成までの計画、設計、施工、予算、スケジュールなどを一貫して管理します。設計の中には構造設計や意匠設計があり、全体を統括して下請け業者や協力会社をまとめることで工事の円滑な進行を図ります。
また現場の状況や工期、コストなどを考慮しながら、設計を具体的に実行していくのも大きな役割です。現場での安全管理も重要であり、作業員の安全を守るための対策を講じます。このようにゼネコンはプロジェクト全体の成功を左右する重要な存在であり、技術的に多くの責任を担っているのです。
ゼネコン各社のDXへの取り組み
ここでは、ゼネコン各社のDXへの取り組みについてご紹介します。こちらでご紹介していない事例については、こちらをご覧ください。
竹中工務店
竹中工務店では、「設計BIMツール」の開発・運用を開始しています。これはお客様の要望に沿った複数の設計提案を短時間で提供し、イメージしやすい形でデータを出力するサービスです。
プロジェクトの早期にBIMモデルをシミュレーションして検証することで、より付加価値の高い提案を行えるのがメリットです。お客様が事業計画を推進するにあたって必要となる意思決定を、総合的にサポートしています。
清水建設
清水建設では、「SYMPREST」の開発・運用を行っています。これは設計初期段階における鉄骨造の構造検討業務を支援するAIで、高度でスピーディーな提案が可能となります。
具体的には、高さが60m以下の比較的整形な鉄骨造のオフィスビルに適用可能です。ビルの形状・寸法を入力すると、瞬時に形状に概ね合致する構造架構をデータベースから複数抽出して躯体数量が表示されます。
設計者がイメージに合う構造架構を選択してスパン構成などを微調整すると、AIが架構を構成する全部材の仮定断面を反映した3Dモデルをモニター上に構成します。実施設計に用いる構造解析プログラムの入力データに変換できるため、解析の準備に要する時間や労力が大幅に削減するのがメリットです。
安藤ハザマ
安藤ハザマは東京大学大学院工学系研究科と共同で、ローカル5Gシステムと低軌道衛星回線の連接ネットワークの実証に成功しました。これにより山岳エリアのダム建設現場において、遠隔臨場・工事関係者間の円滑なコミュニケーションが実現します。
必要な場所に自ら高品質な無線通信を整備することができるローカル5Gと、低軌道衛星通信によるインターネット通信を連携することで、山岳エリアのダム建設現場においてDXの基盤となる情報通信インフラを整備しているのが特徴です。
まとめ
ゼネコンは大規模な建設プロジェクトを総合的に管理・実施する企業で、ビルやインフラの設計・施工を行っています。企業規模は様々ですが、各社でDXに積極的に取り組み、BIMツールやAI技術を導入しているのが特徴です。今後、さらなるデジタルツールの普及が期待されています。