工程管理アプリが注目される理由とは?活用事例も解説

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著者:鈴原 千景

建設業界では、労働人口の減少や公共工事における週休2日制の推進などの取り組みが進んでおり、これまでの働き方が大きく変化しつつあります。そのため、管理者の立場からすれば、効率的な工程管理は不可欠だといえるでしょう。

しかし、従来の方法では、リアルタイムな進捗管理や情報共有、勤怠管理さえも難しく、エラーや遅延が発生しやすいという課題がありました。そこで、工程管理アプリに注目が集まっています。

そこで、本記事では、工程管理アプリが注目される理由や実際の改善事例について詳しくみていきます。

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工程管理アプリは、施工管理業務を効率化するためのアプリです。例えば、作業者からの報告、自動写真整理による書類作成の補助などといった機能があります。

従来の業務では、円滑な情報共有やコミュニケーションが出来ず、具体的な施工内容の指示や是正などは口頭で行うケースが多かったことから、自社内でもトラブルが発生してしまうケースもあったといえるでしょう。

しかし、工程管理アプリを導入することで、コミュニケーションコストの削減や管理者の書類作成業務の負担軽減が可能となります。

工程管理アプリでできること

ここでは、工事管理アプリでできることについて、みていきましょう。使用するアプリによって「何をどこまでできるのか」といった機能が異なります。そのため、自社の課題に合わせて使用することが大切だといえます。

1.リアルタイムでの情報共有

現場からの報告をリアルタイムで共有可能。たとえば、オフィスにいる管理者や他のチームメンバーに対して、即座に現場の状況を伝えられるため、迅速な対応がしやすくなる。

2.コミュニケーションの齟齬が生まれにくくなる

アプリ内のチャット機能やコメント機能を活用すれば、口頭での指示や報告に加えて、やり取りを記録できる。そのため、管理者と作業者のコミュニケーションによるトラブルを減少させられる。

3.書類作成の効率化

現場で撮影した写真を自動的に整理し、報告書や進捗レポートを作成する機能もある。管理者の手作業による書類作成の手間や労力を軽減し、報告書を迅速に作成可能。また、過去のデータを簡単に検索・参照できるため、研修や人材育成にも役立つ。

他にも、効率的な進捗管理やタスク管理、成果が目に見えて把握できる点など、工事管理アプリを活用できる範囲は広いといえるでしょう。

工程管理アプリが注目される3つの理由

ここでは、工程管理アプリが注目される3つの理由について解説します。

建設業のニーズは高まっているものの、労働人口は減少を続けています。その上で、効率的な工程管理を行い、人材への負担軽減や施工品質の向上、安全面も含めた規制に対応しなければならない状況となっているといえるでしょう。そのため、工程管理アプリの注目度が高まっていると予想されます。

人手不足の深刻化が進んでいる

建設業の人手不足は、業界イメージの改善や働き方の改善といったプラスの要素があっても進行しているといえます。人手不足が先行し続ければ、これまでと同様の工期で生産性を保とうとするだけでも、企業にとって負荷となるでしょう。

そのため、少ない人員で効率的に管理できる手段や施工をサポートするロボットAIの導入が求められているといえます。そして、工程管理アプリを有効に活用すれば、管理者の業務負担だけでなく、作業者の報告やコミュニケーションなどの負担軽減にもつながります。

施工品質の向上が求められている

現状で規定されている基準は、今後より厳しくなっていく可能性があります。また、BIM/CIMを活用する場合でも、品質管理ができる人材がいなければ、円滑なプロジェクト推進や実施は難しいでしょう。

そのため、工事管理アプリによって、プロセスの確認やチェック、施工状況の報告をリアルタイムで行える状況を作ることがより重要性を増したといえます。

コスト削減が必須となりつつある

カーボンニュートラルの実現という目標に加えて、建設業におけるコストは以前から課題となっていました。そのうえで、現在は環境に配慮した建物作りや利益率の向上などの要素をふまえて、企業は競争力を高めていかなければなりません。

そのため、建設業界ではコストを削減したうえで、人材への負荷を軽減するために次のような施策が求められているといえるでしょう。

  • 工事管理アプリによる円滑なコミュニケーション
  • 測量におけるドローンの活用
  • BIM/CIMによる情報共有・一元管理

工事管理アプリのみで課題解決を目指すのではなく、様々な施策を組み合わせて結果に結びつけることが大切です。

工程管理アプリを選ぶための3つのポイント

工程管理アプリを選ぶためのポイントは次のようになります。

  • 自社の課題や業務内容に合致しているか
  • 想定される使い方に対応できるか
  • 料金体系は明確か

とくに、自社の課題や現場における課題に対してどのような効果が期待できるのかといったポイントを話し合うことが大切です。たとえば、実際に使用する作業者が使用しやすいものと管理者が使用しやすいものでは認識に違いがある可能性もあります。

また、既に使用しているシステムやツールとの相性も考慮しましょう。アプリが使用しやすかったとしても、日報作成や計算を行うシステムと連携できなければ、連携できるツールやシステムを新たに探したり、作ったりしなければならないためです。

工事管理アプリの活用事例

ここでは、工事管理アプリを活用し、業務で成果が上がった事例についてみていきましょう。

工期短縮

ある企業では、人力による工事管理で、工期の遅延や顧客満足度の低下を招いていました。また、円滑なコミュニケーションも実施できていない状況でした。そのため、人材への負担を軽減するために工事管理アプリを導入しています。

リアルタイムでの情報共有や円滑な工程管理が実施でき、結果として工期の短縮につながりました。

コミュニケーションコスト改善

ある企業では、日々のコミュニケーションコストが膨大となっており、8時間の労働時間のうち、2時間は電話やメールに負われるといった状況になっていました。そして、コミュニケーションの改善を図るために工事管理アプリを導入しました。

工事管理アプリを導入したことで、リアルタイムでの情報共有が可能となり、連絡頻度も減少しています。コミュニケーションコストの改善によって、作業品質や生産性の向上にもつながっています。

まとめ

工事管理アプリは、建設業における作業や管理を効率化するためのアプリです。リアルタイムでの情報共有や効率的なコミュニケーション、書類作成の自動化といった多くの機能があります。

選定するタイミングでは、自社の具体的な課題を明確にしたうえで、現場と話し合いながら導入するアプリを決めましょう。