工事管理システムで生産性は高まる?メリットから選び方まで解説
建設業では、生産性を高める取り組みが求められています。残業規制、工期の新基準などの新しいルールを守りながら、減っていく労働人口をカバーする働き方が必要です。
また、従来の働き方や管理方法では、これまでの工事の質や生産性を維持することも難しくなると想定されます。そして、生産性を高める手段の1つとして、工事管理システムに注目が集まっています。
今回は、工事管理システムの概要とメリット、事例について詳しくみていきましょう。
目次
「トレンドワード:工事管理システム」
工事管理システムは、工事におけるプロセスを最適化させるためのシステムを意味します。たとえば、次のような機能を持つものが多く、情報共有から業務効率化といった効果を期待することもできるでしょう。
- 担当者ごとに案件や工程まで管理できる
- アプリによる写真撮影によって自動的に写真整理が行われる
- 現場で発生した経費や原価を誰でも把握できる
工事管理システムの導入によって、情報共有に加え、円滑な工事の遂行がしやすくなるといえます。また、工事管理システムは次のように、ケースごとに有効な種類がある点も知っておきましょう。
- 受発注や原価管理などは、ベーシックな機能を持つシステムが効果的
- コミュニケーションや現場とのやり取りに時間を割いている場合は、情報共有やレポート作成の補助、簡略化を目指せるシステムの導入が効果的
- 予算に対する進捗状況を出しづらいといった場合には、書類作成が楽になるシステムの導入が効果的
導入する際は自社の課題を明確にし、課題をどのようにクリアできるのかを検討することが大切です。
これまでの工事管理の課題
これまでの工事管理における課題は、次の項目が代表的です。
- 設計から提案まで紙ベースで行っている
- 現場に合わせて変更を行った箇所かが設計図や施工図に反映されていない
- 他社との話し合いを行うにあたって紙ベースの図面での話し合いしかできない
- コミュニケーションスキルに差があることを前提にすると、経験不足の管理者が指示をうまく行えない場合、工事の質が下がる可能性が高くなる
- 作業者の日報処理が負担になっている(直行直帰といいつつ事務所に必ず顔出しが必要)
これまでは、作業者・管理者どちらの立場でもアナログに頼った管理方法を主体とする工事は多かったといえます。しかし、先日国土交通省から発表された「i-Construction2.0」は工事管理システムを活用したうえで自動化を促すものです。
つまり、工事管理システムも含めたDXは業界として前提になりつつあると判断できます。そのため、自社の課題に対してツールやシステムなどで解決するといった方法が求められる状況に変化しているといえるでしょう。
建設管理システムのメリット
ここでは建設管理システムを導入するメリットについてみていきましょう。アプリやシステムなど、データを効率的に収集・管理できる手段は増加しています。自社の課題にフォーカスすることが優先ではあるものの、現場で発生する課題に先手を打つという方法も考えられます。
データ管理を効率化できる
これまでアナログな方法に頼りがちだったデータ管理を効率化できます。たとえば、口頭での説明ではうまくコミュニケーションが取れなかったケースでも、次のように対処できます。
- 現場で聞かれるコミュニケーションをオンライン化できる
- 共有データとして残せるため、現状を説明しやすくなる
- 遠隔地からでもデータ管理ができる
とくに、今後はデータを遠隔地でも管理できる体制やシステムの導入が求められやすくなると予想されます。そういった面においても工事管理システムにはメリットがあるといえるでしょう。
工程ミスの削減・品質向上が期待できる
図面データやリアルタイムでの施工状況の共有によって、工程ミスの削減や品質向上が期待できます。とくに、図面に工程も含めた情報を含められるシステムであれば、工程ミスやヒューマンエラーはほぼ起きなくなるでしょう。
また、工程・作業ミスが減少すればするほど、工事の品質向上も期待できます。結果として、作業時間の削減や働き方改革につながる点もメリットだといえます。
情報共有がスムーズになる
現場での情報共有に加えて、企業への情報共有もこれまで以上に見える化につなげられます。たとえば、現場で必要な発注も発注を依頼される担当者が内容を把握していない場合、スムーズな発注が不可能となってしまうケースもあります。
しかし、工事管理システムであれば、権限ごとに必要な情報にアクセスできるため、スムーズな発注処理がしやすくなります。
工事管理システムの選び方
工事管理システムを選ぶ場合は、次の3つの項目を参考にしてみましょう。
- 自社の課題を明確化し、現状を把握する
- どのような機能が必要かよく検討する
- 導入後のサポートがあるかどうか
とくに、システムの機能のみで比較してしまいそうになるものの、大切なのは自社の課題をクリアできるかどうかです。たとえば、現場でのコミュニケーションがうまくいっておらず非常に時間がかかるような場合、原因は次のような項目が考えられます。
- 作業者と施工管理者のコミュニケーション不全
- 知識はあるが、管理者の指示として作業者のスキルとマンパワー頼りになっている(属人性を高める依頼方法になっている)
- 現場の施工箇所が膨大で口頭では説明しきれない(把握までに時間がかかりすぎる)
すべてコミュニケーションに該当しますが、それぞれ施工管理者のスキル、作業者のスキル、両方の体制に問題があるケースだといえるでしょう。様々な観点から社内での検討を重ね、自社が今後生き残るために必要な工事管理システムを選択することが大切です。
まとめ
工事管理システムは、コミュニケーションや書類作成に役立てられるシステムだといえます。今後、建設業においては生産性の向上だけでなく、労働力不足を補うための施策をこれまで以上に実施していく必要がある状況です。
そのため、自社の課題を1つずつ分析し、何が原因なのかを把握することが大切です。そして、工事管理システムを会社の今後のために導入することを検討してみましょう。