GX建機とは|電気自動車はデメリットしかない?問題点や国交省の取組

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著者:小日向

トレンドワード:GX建機

「GX建機」についてピックアップします。国交省が進めるGX建設機械認定制度では、施工現場での脱炭素化を目指した取組が進められています。本記事ではGX建機の紹介の他、「電気自動車はデメリットしかない?」という声に注目して課題をまとめています。

GX建機とは

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/sosei_constplan_tk_000005.html

GX建機とは、電動建設機械のことを指します。従来はディーゼルエンジン駆動が主流でしたが、電力化することで排ガスが出ないのが特徴です。建設施工で排出される二酸化炭素の低減を図ることで、地球環境保全に貢献します。

国交省|GX建設機械認定制度を開始

国土交通省では、2023年に「GX建設機械認定制度」を創設しました。抜本的な動力源を見直した建設機械を普及促進させることで、施工現場での脱炭素化を目指しています。

具体的には、次のいずれかの駆動方式の電動ショベル又は電動ホイールローダが該当します。

  • バッテリ式:蓄電装置に充電した電気エネルギーを動力とした駆動方式
  • 有線式:有線により外部から供給される電力を動力とした駆動方式

これまでには2010年に「低炭素型建設機械認定制度」、2013年には「燃費基準達成建設機械認定制度」が創設されています。こういった取り組みを通して、建設施工現場における省エネルギー化の推進や低炭素型社会の構築に取り組んでいます。

GX建設機械の認定機種

https://www.takeuchi-mfg.co.jp/products/product.php?n=22&t=2

GX建設機械には、2023年12月に初めて4社15型式の電動ショベルが認定されました。

認定番号呼称 (カタログ名)メーカー環境対策の方式
GX-1TM15-3竹内製作所有線式
GX-2TM20-3竹内製作所有線式
GX-3TM25-3竹内製作所有線式
GX-4TB20e竹内製作所有線式/バッテリ式
GX-5PC138USE-11小松製作所有線式
GX-6PC200LCE-11小松製作所バッテリ式
GX-7PC30E-6小松製作所バッテリ式
GX-8PC138E-11小松製作所バッテリ式
GX-9PC05E-1小松製作所バッテリ式
GX-10SK135SRD-7コベルコ建機有線式
GX-11SK210D-10コベルコ建機有線式
GX-12SK235SRD-2コベルコ建機有線式
GX-13PC78USE-11小松製作所有線式
GX-14ECR25 ELECTRIC山﨑マシーナリーバッテリ式
GX-15PC01E-1小松製作所バッテリ式

従来の建設機械はディーゼルエンジン駆動が主流でしたが、電力化により排出ガスのゼロ化・静音化を実現できます。工事現場の作業環境の改善に貢献できることから、今後さらなる普及が求められています。

「電気自動車(EV)はデメリットしかない」と言われる理由・問題点

環境への配慮から、エンジン車から電気自動車(EV)への移行が進められています。しかし「電気自動車はデメリットしかない」という声もあり、問題点が指摘されています。ここでは、主なデメリットについてまとめておきます。

充電スポットが必要・有線式は移動に制限

バッテリー式の電気自動車の場合、充電が必要です。しかし遠方の現場の場合、充電できるスポットの整備が不十分なことが多いです。そのため万が一充電切れになってしまうと、稼働できなくなってしまいます。

また、機器によって充電には数時間〜十数時間掛かることがあります。急速充電が電池に与える影響もあり、頻繁に利用するとバッテリーの寿命が縮む可能性があります。

一方で有線式の場合、充電切れの心配は不要です。しかしケーブルが届く範囲でしか稼働できないため、移動に制限が掛かってしまうことがあります。

駆動時間・航続距離が短い

現行のバッテリー技術にはまだ限界があり、最大でも10時間未満の連続使用となっている機種が多いです。ただし技術の進歩やバッテリーの改良によって徐々に改善されつつあり、エンジン式と同程度の性能を持つ機種も登場しています。

寒冷地に弱い

低温環境では、バッテリーの性能が低下するという性質があります。そのため電気自動車の場合、充電容量や放電効率が悪化してしまいます。これにより、冷えた状態での業務効率や航続距離が通常よりも減少するのがデメリットです。

また、低温下ではバッテリーへの充電が遅くなることがあります。急速充電ステーションでも充電速度が低下するため、冷えた状態での充電は比較的時間が掛かります。

車体の価格が高い

GX建機は新しい技術を採用しているため、開発や研究には膨大なコストが掛かります。これが車体価格に反映され、エンジン車よりも高価になることがあります。

しかし技術の進歩やバッテリーのコスト低減、補助金の拡充などによって解決される可能性があります。将来的には競争の激化や技術の成熟により、電気自動車の価格低下が期待されています。

電気自動車のメリット|課題解決で普及に期待

GX建機等の電気自動車にはまだまだ課題も多いですが、もちろんメリットもあります。課題の解決により、今後の普及が期待されます。

環境に優しい

電気自動車は電気モーターを使用しているため、エンジン車のように排気ガスを出しません。これにより、大気汚染や地球温暖化に対する影響の軽減が期待されます。

バッテリー充電の際には再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)が活用できることから、さらに環境に優しいものとなります。

ただし電気自動車の製造においては、バッテリーの生産や材料採掘で環境への影響があります。そのため製造過程全体を考慮する必要があり、使用後のバッテリーのリサイクルや廃棄にも注意が必要です。

駆動音が静か

電気モーターは、内燃車に比べてエンジン音がほとんど発生しません。これにより、静かで穏やかな駆動が実現します。

特に都市部や住宅地域などでの駆動時に発生する騒音が少ないため、周囲の環境への負荷が低減します。運転者が環境音をより聞き取りやすくなるため、運転の安全性向上に寄与します。

まとめ

国交省ではGX建設機械認定制度を開始し、優れた建設機械の認定を進めています。これにより環境負荷を低減させることで、カーボンニュートラルの実現が期待されます。電気自動車にはまだまだ課題もありますが、さらなる普及が進むか注目です。