日本IBM、IBM Maximo® Application Suiteを導入し、クボタの上下水道施設の効率的な運転維持管理を実現する総合プラットフォーム「KSIS BLUE FRONT」の開発を支援
日本アイ・ビー・エム株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長 山口 明夫、以下「日本IBM」)は、株式会社クボタ(本社:大阪市浪速区、代表取締役社長 北尾 裕一、以下「クボタ」)とクボタ環境エンジニアリング株式会社(本社:東京都中央区 代表取締役社長 中河浩一、以下「KKE」)の、上下水道施設における運転維持管理(O&M)の効率化を実現する、ICT技術を活用した新システム「KSIS BLUE FRONT(ケーシス・ブルーフロント)」(以下、「本システム」)の開発を支援しました。
クボタのIoTソリューションシステム「KSIS」(クボタスマートインフラストラクチャシステム)(※)と、IBMの設備保全・総合資産管理ソリューション「IBM Maximo® Application Suite」(以下、「IBM Maximo」)を連携させた総合プラットフォームの開発により、上下水道施設の運転・維持管理業務のデータを一元管理し、情報の見える化による業務効率化に加え、品質リスクの低減やライフサイクルコスト(LCC)縮減を図り、課題解決に貢献してまいります。
※ 浄水場や下水処理場などの上下水道施設・機器の遠隔監視や最適運転制御に加え、機器の異常予兆の 検知や寿命予測ができる IoT ソリューションシステム
KSIS BLUE FRONTの概要図
背景
市民の暮らしや社会にとって不可欠な上下水道インフラを支える全国の自治体では、人口減少に伴う職員不足や財政難といった課題を抱える中、持続的な事業運営に向け、施設老朽化や頻発する自然災害への対策や、施設・機器の適時メンテナンスや更新によるライフサイクルコストの縮減、作業の効率化・自動化による省力化・省人化が不可欠です。
また、2050 年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにすることを目指す「ゼロカーボンシティ宣言」を表明する自治体が増える中、上下水道施設における、カーボンニュートラル実現へ向けた取り組みも急務となっています。
これらの課題に対し、国は上下水道インフラ施設の設計、建設、運転維持管理において、民間企業が有する企画力や技術力を活用する官民連携事業(PPP 事業:Public Private Partnership)を推進しています。その中でも、運転維持管理業務においては、現在も人手による点検や作業記録、紙資料での管理が多く現場作業の効率化が求められており、AI やIoT などICT 技術を活用した事業運営のDX が期待されています。
本システムの特徴と日本IBMの支援内容
本システムは、上下水道施設の運転維持管理業務に関するデータを一元管理・見える化し、施設運営全体の業務効率化や品質リスクの低減、ライフサイクルコスト縮減などができる総合プラットフォームです。
現場作業者がタブレットなどを活用して点検結果のデータを入力することで、入力作業と記録をデジタル化することができます。デジタル化された点検結果に加え、KSIS で収集する施設や機器の監視データや診断データを本システムと連携させることで運転状態の見える化を図り、施設の運転管理におけるデータの一元管理ができます。
また、本システムはKKE の豊富な運転維持管理業務経験を反映させたダッシュボードを備えており、施設の運転維持管理に必要なデータを一目で確認でき、作業現場での効率的な情報共有や判断の迅速化が可能になります。
さらに、施設のエネルギー関連の原単位(一定量や一定期間に消費するエネルギー量を表す単位)やCO2 排出量等のKPI(重要評価指標)をリアルタイムで管理することができるので、施設の適正な管理に役立てることができます。
また、外部気象データとも連携が可能なため、豪雨や台風等を先読みした人員の配置や対応により、災害時でも施設を安定的に稼働させることができます。
日本IBMはクボタおよびKKEと共創し、IBM Maximoの導入・ダッシュボードの設計構築に加え、Microsoft Azure上で稼働するRed Hat OpenShift®を含むプラットフォーム基盤の構築と、クボタの既存システムや天気サービス等、各種サービスとのインターフェース連携を構築しました。
今後の展開
日本IBMは、クボタおよびKKEと引き続き共創し、現場作業のデジタル化による業務効率化を多くの施設で進め、今後は、本システムが日々管理する機器の点検結果や診断結果と、各設備の日常運転データ、最新の劣化予測結果を組み合わせて、施設の健全度評価と最適な補修・改築・更新計画の立案をサポートする、リアルタイム・アセットマネジメント・システムを目指します。
IBM Maximo® Application Suiteについて
50年以上の歴史を持つグローバルで最も評価の高いEAM(Enterprise Asset Management)パッケージ製品であり、上下水道施設における運転維持管理としてグローバル含めた豊富な実績を持っています(コーパス・クリスティ市/ロサンゼルス市 等)。
また、長期利用ユーザー実績(30年以上)もあり、実際のご利用ユーザーからのご要望、機能要求などをユーザー会にて共有いただき、それを反映させる形で製品開発を行っている、設備保全のベストプラクティスのソリューションです。
設備保全システムを長期的にご利用頂くために、ユーザー画面変更の容易性や、周辺システムとの連携の柔軟性が備わっており、将来の保全要件の変化に柔軟にも対応可能です。機器の異常・予兆の検知など保全の高度化にも同じプラットフォームで対応する事ができます。
Maximoは施設設備の機器点検結果などをデジタル化し、設備情報の一元管理をするだけでなく、各設備と設備ごとの劣化予測や日常運転データ(IoTデータ)を組み合わせて、最適な補修・改築・メンテナンス計画の立案などRBM(Risk Based Maintenance)に対しても標準機能でサポートが可能です。
IBM Maximo Application Suite – 企業設備の管理ソリューション
https://www.ibm.com/jp-ja/products/maximo
(ご参考)
・クボタウェブサイト「KSIS」 https://www.kubota.co.jp/product/ksis/
・本システムは、2023年8月1日(火)~4日(金)に札幌ドームで開催される、「下水道展‘23札幌」に出展され、群馬県太田市の下水道施設おけるKKEでの活用事例等も紹介されます。
「下水道展‘23札幌」サイト https://www.gesuidouten.jp/
クボタについて
クボタは、生活に欠かせない食料・水・環境の領域において、多彩な製品・技術・サービスによるソリューションを提供し、事業を通じて世界の社会課題の解決に貢献しています。長期ビジョン「GMB2030」において、「豊かな社会と自然の循環にコミットする“命を支えるプラットフォーマー”」というめざす姿を掲げ、食料の生産性・安全性を高めるソリューション、水資源・廃棄物の循環を促進するソリューション、都市環境・生活環境を向上させるソリューションの提供に取り組んでいます。
日本IBMについて
日本IBMは、世界175カ国以上でビジネスを展開するIBMコーポレーションの日本法人で、基礎研究をはじめ、ビジネス・コンサルティングから、ITシステムの構築、保守まで一貫したサービスの提供を通じて、お客様の企業変革やデジタル・トランスフォーメーションを支援しています。詳細については、https://www.ibm.com/jp-ja/ をご参照ください。
※IBM、IBM ロゴ、ibm.comは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、https://www.ibm.com/legal/copytrade.shtml(US)をご覧ください。