DX銘柄2023発表|建設業の事例をチェック

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Tag:建設DX

著者:小日向

トレンドワード:DX銘柄

DX銘柄」についてピックアップします。5月31日に発表された2023年の選定企業の中でも、特に建設不動産に関わりの深い事例をご紹介していきます。積極的にIT化を進め、デジタル時代を先導する企業の取組に注目してみましょう。

DX銘柄とは

DX銘柄とは、経済産業省等が毎年選定している「DX推進企業」のことを指します。対象は東京証券取引所に上場している企業で、優れたDXシステムの導入やビジネスモデルの変革が評価されます。

DX銘柄について詳しくは、下記記事をご覧ください。

「DX銘柄2023」はこう変わる!選定基準解説|メリットやDX認定との違いも紹介

目次トレンドワード:DX銘柄DX銘柄とはDX銘柄に選ばれるメリットDX銘柄の選定基準|「DX認定」との違いは?DX銘柄2022の企業をチェッ… more

ビルドアップニュース

DX銘柄2023の特徴

2015年から始まったDX銘柄ですが、審査基準や選定方法は毎年見直されています。2023年の主な変更点としては「DXプラチナ企業の新設」が挙げられるでしょう。

DXプラチナ企業とは「特に優れた取り組みを制度開始当初から継続している企業」のことで、下記の要件に当てはまる必要があります。

  • 3年連続でDX銘柄に選定されている
  • 過去にDXグランプリに選定されている

選定は3年間の時限措置となり、2023年は3社が選定されました。

DX銘柄2023の受賞企業事例|建設・不動産

ここでは、DX銘柄2023の中から建設・不動産に関連の深い事例をご紹介していきます。

DXプラチナ企業2023-2025

小松製作所|ICT建機とアプリ

建設機械のコマツは2021年に創立100周年を迎え、「あらゆる分野でのDX推進」を掲げて取り組みを加速させています。

ロードマップでは「モノ(建設機械の自動化・自律化)とコト(顧客プロセス全体の最適化)で施工のDXを実現する」、「カーボンニュートラル実現に向け、モノ(機械の効率化/低排出カーボン化)によるクリーンな現場の実現」を目指しています。

具体的には「ICT建機アプリの組み合わせ」により、建設現場のあらゆるモノやデータをICTで有機的に繋いでいます。現場デジタルツインを実現することで、新たな施工プロセスや生産性向上などの価値創出に取り組んでいるのが特徴です。

DX銘柄2023

大林組|BIM生産基盤の構築

大林組では経営基盤戦略の1つにDXを位置付け、事業基盤の強化と変革の実践に向けた取り組みを推進しています。

大きく『生産DX』と『全社的DX』の2つに区分し、『生産DX』の「BPRによる抜本的な業務プロセスの変革」と「BIM生産基盤への完全移行による建設事業の情報基盤強化」を『全社的DX』の「4つの柱」が下支えするという構造になっています。

具体的なDXの取り組みとしては、生産情報と経営情報を相互に関連付けて一元的に管理する「BizXBase(一気通貫情報システム)の構築」が挙げられます。

同時に、BIM生産基盤の構築にも注力しています。2021 年8 月には、ISO19650に基づく「 設計と 建設のためのBIM BSIVerification」認証を、翌年6 月には上位の「BIM BSI Kitemark」認証を取得しました。

清水建設|建物OS・DX-Core

清水建設では、成長を支える経営基盤の強化として、技術開発、人財育成、働き方改革等と並び「デジタル戦略」を重点戦略に位置付け、社内外に向けて発信を行っています。

主なDXの取り組みとしては、建物OS「DX-Core」が挙げられます。これは設備機器(空調、照明、エレベーター、自動ドア、監視カメラ、入退室カードリーダー等)を連携させて運用・制御する仕組みです。設備のメーカーを問わず連携させて運用・制御することで、入居者・建物管理者・オーナーの利便性向上に役立ちます。これにより、下記のメリットが得られます。

  • 医療分野への事業領域拡大による医療人材の働き方、医療経営の合理化への貢献
  • WEBシステム提供によるビル管理業務の効率化

これまでDX-Coreはオフィス・テナントビルを中心として展開してきましたが、新たに医療分野へ事業領域を拡大しています。今後DX-Coreを介した建築設備・IoTデバイス・各種アプリの機能連携等を通じて、ビル管理業務のデジタル化を促進していくとしています。

東急不動産|デジタルツインで物件見学

東急不動産は「Digital Fusion デジタルの力で、あらゆる境界を取り除く」をDXビジョン

に掲げ、資産と人財の価値最大化による新たな収益モデルの確立に取り組んでいます。

コロナ禍以降、不動産業全般で「対面商談の機会が著しく減少する」という課題に直面していました。その対応策として、2021年よりデジタル空間に「BRANZデジタルツイン」を制作しています。シミュレーションが可能な多彩な機能(ウォークスルー、家具表示非表示、視点高さ切り替え、収納棚開閉など)を備えていることが特徴です。

お客さま自身の保有デバイスでアクセスでき、ゲームを操作するように建物内をシミュレーションできます。さまざまな機能を通じて、モデルルーム見学と遜色のない体験価値を実現しました。

プロパティエージェント|顔認証システム「FreeiD」

DX不動産事業を行うプロパティエージェントでは、「現実空間に強みを持つ総合DX

企業グループ」への事業発展を目指しています。

具体的には、顔認証システム「FreeiD(フリード)」が特徴的です。既存不動産事業の付加

価値を高めた「ALL顔認証マンション」と「顔認証IDプラットフォーム」によるスマートシティ構想を進めており、この両軸を推進することで「ALL顔認証マンション自体の付加価値」をさらに高める取り組みを行っています。

「ALL顔認証マンション」ではエントランスでのオートロック解除、メールBOX・宅配ボックスの開錠、エレベーターの顔認証で非接触での自階への自動セット、各戸のオートロック解除が可能です。

現状の日本では様々なIDや認証方法が乱立し、サービスが分断されているのが課題です。将来的には顔認証IDプラットフォームを通じてそれらを統合し、入退室、決済、本人確認、交通機関利用、ポイント利用が手ぶらで実現できる「スマートシティの実現」を目指しています。

DX注目企業2023

三菱地所|顔認証で「顔パス」実現

大手不動産の三菱地所では、街で提供されるオン・オフラインの体験を1つのIDで利用可能にする共通認証 ID「Machi Pass」を提供しています。

その機能の一つである「Machi Pass FACE」は、顔画像を Machi Pass に紐づけることで「顔認証サービスの利用」が可能となります。「顔パス」でのサービス実現のため、今後エリアの拡大を目指すとしています。

まとめ|DX銘柄に期待

経済産業省が主導するDX銘柄では、積極的にITを導入する企業が評価されています。デジタル時代を先導する企業の取組は、参考になるものが多いです。DXの推進に向け、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。