【連載】見積もり業務は効率化できる| GACCI 代表取締役CEO 若本憲治様(後編)

GACCIは2021年に設立した会社で、2023年4月に見積業務を効率化するクラウドサービスをリリースしました。

BuildApp Newsでは、建設業界の見積業務効率化に変革をもたらす「GACCI」を開発した株式会社 GACCI 代表取締役CEO 若本憲治氏のインタビューを元とした連載を建設現場のプレコンストラクションに革命を」と題して、2回にわたりお届けします。

連載2回目は、CEO 若本憲治氏の視点で語る「建設業界の課題に向けた『GACCI』と今後の展望について」です。見積業務に携わる方々は、当該サービスの理解にお役立てください。

建設業の煩雑な見積業務を効率化する「GACCI」

GACCIは建設業の煩雑な見積業務をSaaSで効率化、最適化するプロダクトです。一般的に、建設業者の見積業務では、数十社の企業からの見積の集約作業が必要です。建設業界のなかでも、総合建設業、専門業者、材料を提供する商社やメーカー、建設機械を提供する企業など、様々な企業間で、フォーマットや提出方法や、データ形式、内容の粒度が定まっていません。

これまで、この見積業務の煩雑さが大きな要因となり、公共工事の入札にあたり、本来最も重要な、工事の分析や経営判断を通じた見積精査が難しいという業界課題がありました。 これらの課題解決に向け、数十社にわたる、何千項目ものデータの厳密な管理、平準化を通じ、効率的に見積業務が遂行できるようにしたのがGACCIです。

GACCIが提供するサービスとは

GACCIは元請け会社の方に月額登録制でサービスを導入していただき、元請け会社は各種工事の発注を受けた協力先の会社を、GACCIに登録します。元請け会社は施主から必要な建設図面を入手、GACCIに読み込ませます。

建設図面は高精度なOCR機能によって読み込まれ、見積りに必要な項目が自動的に抽出され、リスト化されます。元請け会社はそのリストから、例えば「項目1から項目5までは塗装業者のA社に依頼し、項目6から項目10まではサッシ業者のB社に依頼しましょう」といった具体的な割り振りを行い、それぞれに見積依頼を出します。

外注業者である塗装業者のA社やサッシ業者のB社は、メールを受けGACCIに作業の見積金額を入力していきます。

入力された金額はフォーマットに統一され、元請け会社がGACCIのリストを確認すると、各業者の見積金額が入力されていることがわかります。元請け会社はこれらの金額を精査し、外注業者と詰めていくことができます。また、相見積りを行うことも可能であり、複数の見積りを比較・検討することもできます。

建設業界の慣習にも対応

GACCIは、建設業界独特の慣行にも対応しています。
例えば、外注業者に5つの見積もりを依頼した場合でも、それぞれの項目が増えて8項目ほどになることは珍しくありません。このように項目が増えることを「ふくらむ」と表現します。

具体的には、例えば「工事用の砂利」の見積もりを依頼した場合、砂利だけでなく、運搬するドライバーや運搬車両の費用など、見積もり項目が増えていくのです。
GACCIはこのような項目の拡張にも対応しており、外注業者が不足する項目を追加しても問題ありません。

ゆくゆくは大手ゼネコンでの活用も目指す

主に元請け会社の方にサービスを導入いただき、協力会社に利用していただくことをメインに考えています。また、社内間の連携においても活用していきたいというお声もいただいており、まずは中小企業の会社を中心に、全国の建設業界に携わる方々にご活用頂ければと考えています。

また、見積業務の煩雑さは建設業界全体の課題であるため、ゆくゆくは大手ゼネコンにもご活用いただけることを目指しています。

実際に導入した企業からはポジティブな反応(事例紹介)

GACCIの本社のある鳥取エリアでは、株式会社懸樋工務店(本社:鳥取県鳥取市、代表:懸樋義樹)がGACCIの導入を開始しています。

懸樋工務店様は建設業界の見積業務の煩雑さに課題感を抱いていておられました。公共工事、民間工事問わず、様々な図面や内訳書が存在し、協力会社に見積を依頼する際には、提出されるデータの形式が統一されておらず、整理作業に多くの手間がかかっていました。

また、数十社に及ぶ協力会社への見積依頼や、収集した積算業務の効率化を求め、GACCIを導入していただきました。導入したGACCIは、まず工事部門、営業部門、設計部門など、見積積算業務に活用するための準備を進めています。

これにより、過去のデータの検索や部署間での情報共有が容易になると期待されています。
社内の従業員からも好意的な反応があり、データの統一化、整理、さらなる活用に向けた取り組みを進めていく意欲が高まっているようです。

また、協力会社への導入について、当初は手間を増やしてしまうのではと懸念されていたところもありましたが、実際に使用していただくと、導入もスムーズで、ポジティブな反応をいただいています。

建設業界に資する取り組みにするために

今後は他の建設テックとの連携を強化することで、より現場が効率化されるような取り組みをしたいと考えています。建設業界では、既に様々なサービスが利用されているため、他の建設テックと協力することで、より効果的なソリューションが提供出来ると考えています。

また、プレコンストラクションの領域では、まだ解決出来ていない多くの領域があるため、新しい機能やプロダクトを提供することで、建設業界に資する取り組みができればと思っています。

お問合せ先

コーポレートサイト:https://gacci.co.jp/
サービス詳細サイト:https://gacci.jp/

まとめ

2回にわたってお届けしました連載企画「建設現場のプレコンストラクションに革命を」、いかがでしたでしょうか。

建設業界における煩雑な見積業務に多くの時間を費やしている中小企業や大手ゼネコンの当該業務担当者の方々には、「GACCI」が業務効率化に効果的なサービスであることがご理解いただけたのではないかと思います。

2024年問題に対峙する建設業界では、このようなサービスを積極的に活用することが急務と言っても過言ではないかもしれません。