建設業の「新3K」とは|国交省事例や女性活躍の取組

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「新3K」についてピックアップします。肉体労働等の過酷な環境を改善する取り組みとして「新3K」が注目されています。本記事では新3Kの概要や、国土交通省での具体的な取組についてまとめていきます。

新3Kとは

ここでは、新3Kの意味や背景をご紹介していきます。

従来までの「3K」とは

いわゆる「3K」とは、「きつい・汚い・危険」の3つの頭文字(K)が当てはまる労働環境のことを指します。特に建設業・介護・農業といった肉体労働のブルーカラー(技能系職種)が該当します。

一方で最近はホワイトカラーでも「きつい・帰れない・給料が安い」という悪い意味を指して「新3K」と呼ばれることもあります。特にエンジニアなど、IT系の職種での労働環境が課題です。

建設業の「新3K」

建設業では、労働環境のための新3K(給与・休暇・希望)を掲げています。現場で働く人々の誇り・魅力・やりがいの向上を図ることを目的とし、建設業の魅力向上を図ります。

新3Kが提唱されるようになった背景としては、「労働者の高齢化や人手不足」が挙げられるでしょう。国土交通省によると、建設技能者のうち「約4分の1が60歳以上」というデータが出ています。一方で29歳以下は全体の約12%と少なく、若年入職者の確保が課題です。

こういった状況を改善するため「担い手の処遇改善、働き方改革生産性向上」を一体として進めることが必要となります。

国土交通省の「新3K」に向けた取り組み

ここでは、国土交通省の新3K実現に向けた具体的な取り組みについてご紹介していきます。

国交省の直轄工事での取り組み

新3Kの各項目(給与・休暇・希望)について解説します。

①給与

「労務費見積り尊重宣言」で促進モデル工事を実施しました。この取り組みでは、日建連による「労務費見積り尊重宣言」を踏まえ、下請企業からの労務費見積を尊重する企業を、総合評価や成績評定において優位に評価します。

2020年度は全国でモデル工事を発注し、約20件の実績を挙げました。

②休暇

直轄工事では「週休2日」を確保できるよう適正な工期設定や経費補正を実施し、着実に進展させています。週休2日の確保状況に応じて労務費等を補正するとともに、成績評定を加減点する「週休2日対象工事」を発注しました。

2024年度からは時間外労働規制が始まるため、今後も計画的に取り組みを行う予定としています。工期設定指針の主な内容は、下記となります。

  • 施工実日数のほか、準備・後片付け期間、休日、天候等を考慮
  • 余裕期間制度の原則活用
  • 受発注者間の工事工程の共有

③希望

建設現場の生産性を向上するため、「i-Construction」の推進を図っています。具体的には、「ICT施工」に取り組んでいます。

 今後のi-Constructionの推進に向けては、中小企業や地方公共団体等への裾野拡大が不可欠です。そのため「i-Construction大賞」により地方公共団体やベンチャー企業等の優れた取組を表彰し、好事例の横展開を図っています。

「i-Construction」について詳しくは、下記記事をご覧ください。

i-Constructionとは|国交省ロード・マップと「3本の柱」

目次トレンドワード:i-Constructioni-Constructionとはi-Constructionのロードマップi-Constru… more

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新技術の活用

国土交通省では、新技術の導入にも積極的に取り組んでいます。

①無人化施工技術

5Gを活用した無人化施工技術は、災害復旧工事等の防災の現場で活用されています。ただし現状のWi-Fiを使った無人化施工では、通信容量の不足、通信の遅延、同時接続機器数の制限等により、視認性・操作性等に課題があります。

今後は大容量・低遅延・多数同時接続の特性をもつ5Gを活用し、無人化施工の生産性の向上を図る必要があります。

②ICT建設機械

ステレオカメラによる配筋検査など、新技術の活用による監督検査の省力化にも取り組んでいます。従来鉄筋間隔の確認は、スケールやメジャーで直接鉄筋を計測していたため手間が掛かっていました。しかしシステムによる撮影で鉄筋間隔、鉄筋径の確認が可能で、従来の測定作業から省人化、効率化が見込まれます。

さらにクラウドを活用することで、検査結果を遠隔からリアルタイムに確認することも可能になります。

建設業で進む「女性活躍」

国土交通省では、2020年に「建設現場で働く人々の誇り・魅力・やりがい検討委員会提言~建設現場でいきいきと活躍するために~」を策定しています。その中で「女性活躍の推進」についても述べられています。

建設業の入職者に占める女性比率は上昇していますが、他産業と比較すると全体として低いのが現状です。今後、女性が働きつづけられるための環境整備を進める必要があります。具体的には、下記のような取組が行われています。

  • 施工時期の平準化の推進、適正な工期の設定
  • 柔軟な働き方(短時間勤務制、フレックスタイム制、テレワーク、ワークシェアリングなど)ができる環境整備
  • えるぼし、くるみんの認定取得に向けた取組を促進

建設産業で働く全ての女性が「働きがい」と「働きやすさ」の両立ができるよう、環境整備が求められます。

まとめ|建設業で新3Kの実現へ

少子化で労働者人口が減っている中、建設業では「新3K」による働き方改革が急務となっています。IT技術の導入などで、男女を問わず働きやすい環境に整えることが大切です。

ただし「単純に女性の数を増やせばよいというものではない」と考えられます。ハンディキャップを持つ方や介護・育児で長時間労働が難しい方など、広い意味で「建設業に就きたい人のハードルを無くす」ことが求められるのではないでしょうか。