3Dプリンター住宅でローン不要に?|気になるデメリットや国内外の事例もご紹介【300万円の家】
目次
トレンドワード:3Dプリンター住宅
最先端の技術を活用した住まい「3Dプリンター住宅」についてピックアップします。300万円から建築できるタイプも発表されており、高額なローンが課題となっている住宅業界を一変させるかもしれません。気になるデメリットや、海外・日本での事例も合わせてチェックしてみましょう。
3Dプリンター住宅とは
3Dプリンター住宅とは、3Dプリンターで「印刷」して建設する住宅のことを指します。強化繊維プラスチックやガラス繊維強化石膏といった素材を用い、人が住める強度・構造を実現しているのが特徴です。
海外ではスタートアップ企業を中心に開発が進んでおり、すでに分譲住宅として供用されている事例もあります。比較的安く簡単に建てられることから、スラム街対策や災害の仮設住宅としての活用も期待されています。
3Dプリンター住宅のメリット
3Dプリンター住宅のメリットとしては、以下が挙げられます。
- 工期が短く早い
- 安くリーズナブルな価格
- 人手不足の解消につながる
- エネルギー排出量が少なく環境にやさしい
- デザインの自由度が高い
3Dプリンター住宅は、最短24時間程度で完成するスピーディーな工期が魅力です。また従来までは数千万円かかるのが普通だった「価格」についても、3Dプリンターなら数百万円で建築可能とリーズナブルになっています。
建築業界では深刻な人手不足が課題となっていますが、3Dプリンター住宅なら少ない人数で建築できます。さらに施工での材料ロスがほぼないため、地球環境にもやさしいのが特徴です。従来の工法では難しかった「曲線」の建物も得意なので、デザイン性が高くおしゃれな住宅が建てられます。
3Dプリンター住宅のデメリット
一方で、3Dプリンター住宅にはデメリットもあります。
- 見た目がチープな場合も
- 3Dプリンターを設置する広い敷地が必要
- 内装や住宅設備の設置には人手が掛かる
- 法整備が進んでいない
3Dプリンター住宅は従来の住宅とは違い、シンプルで合理的なデザインが特徴です。そのため装飾性を重視する方や、豪華な作りにしたい方には安っぽく感じられてしまうのがデメリットでしょう。さらに建設時には「3Dプリンター本体」を置くための場所が必要となるため、都心の狭い住宅では導入が難しいかもしれません。
また3Dプリンターを使うため基本的には簡単に建設可能ですが、電気やガス、水道といった「住宅設備」の設置には職人の手作業が必要です。「壁紙のクロスを貼る」「フローリング材を敷く」といった内装も同様となります。
さらに日本ではまだ法整備が進んでいないため、一般住宅と同じような住戸が販売されるのは難しいのが現状となっています。
3Dプリンター住宅は建築基準法違反?
日本では「床面積10㎡より大きい建物」の場合、建築基準法の要件を満たさないと建築不可となっています。
さらにコンクリート造の場合は、内部に「鉄筋」が入っていないとクリアできない決まりです。現状だと3Dプリンター住宅はこれを満たしていないものが多いため、まだまだ一般的な住宅として供用されるのは難しいといえるでしょう。
こういった事情から、現在日本で供用され始めている3Dプリンター住宅は「床面積10㎡より小さい」建物となっています。
300万円~購入可能|3Dプリンター住宅の価格はなぜ安い?
現在の日本では、新築住宅価格は平均3,000~4,500万円となっています。とくに近年首都圏での土地価格は上昇し続けており、土地の価格が合算されるとトータルでの支払いは6,000~7,000万円以上となることも珍しくありません。
こういった中で、3Dプリンター住宅は「300万円~」というリーズナブルで安い価格が注目されています。3Dプリンター住宅が安い理由としては、以下が挙げられます。
- 木材の取引価格の影響を受けにくい
- 面積が小さいため材料費が安く済む
- 人件費が掛からない
木材は「ウッドショック」により価格高騰が続いており、住宅価格にも影響を与えています。その点3Dプリンター住宅は、コンクリート材料で作られるのが一般的です。木材価格変動の影響を受けにくいため、安定的にリーズナブルな価格にすることが可能となります。
また現在実用化されている3Dプリンター住宅は、一般的な住宅よりもコンパクトな面積です。材料費が安く済むため、その分価格も安くなります。
さらに一般的な住宅では多くの職人が手作業で建築を行いますが、3Dプリンター住宅は簡単なオペレーションで建築できるため省人化できます。
3Dプリンター住宅の国内外の事例紹介
ここでは、実際に建築されている3Dプリンター住宅の事例をご紹介していきます。海外や日本など、先進的な事例をぜひチェックしておきましょう。
3Dプリンター住宅の事例①ドイツ|2階建て住宅(PERI)
海外では、3Dプリンター住宅がすでに実用化されている事例も多いです。ドイツの建設大手PERI社が建設しているこちらの建物は、2階建て・床面積80㎡という大規模な住宅となっています。
またプリントプロセスに水道や電気といった「設備も組込可能」で、2人のオペレーターがいれば操作できる仕組みとなっています。こういった海外の3Dプリンター住宅が日本でも導入されれば、建設の大幅な省人化が期待できるでしょう。
3Dプリンター住宅の事例②日本|フジツボハウス(セレンディクス)
セレンディクス社による「フジツボハウス」は、慶應義塾大学と共同開発した3Dプリンター住宅です。2023年の春には「500万円」という低価格での一般販売が見込まれています。鉄筋コンクリート造の1LDKで、間取りは下図のようになっています。
小さくてコンパクトな間取りですが、2人暮らしまでなら十分快適に過ごせそうです。実際にコンセプトは「60代夫婦二人暮らし」をターゲットにしており、「住宅ローンは完済したけれど、住まいが老朽化してきて住み替えを検討している」という方にぴったりの間取りです。
広さは30~100㎡で、鉄筋コンクリート造としたことで建築基準法もクリアしています。24時間以内に施工可能・低コストという点から、別荘や仮設住宅としてのニーズも期待できるでしょう。
3Dプリンター住宅の事例③日本|3Dプリンター実証棟(大林組)
大林組では、2022年6月に国内で初めて「国土交通大臣認定を取得した3Dプリンターによる建屋」に着手しました。建設地に3Dプリンターを据え付け、「スリムクリート」という超高強度繊維補強コンクリートをプリントする仕組みとなっています。
3Dプリンターの特長を生かした「曲面形状」にすることで、力を分散し構造を補強しています。将来的には、宇宙空間での建設に応用することも視野に開発が進められています。
まとめ
3Dプリンターを活用することで、住宅の建設期間短縮やコスト削減が叶うとされています。現在の住宅業界は数千万円のローンを35年かけて返済するのが一般的ですが、3Dプリンター住宅の登場で価格改革が起こるかもしれません。建築基準法の問題などまだまだデメリットもありますが、今後の技術開発が期待されます。