住宅DXの活用事例|メリット・課題を解説

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住宅DX」についてピックアップします。具体的な活用事例の紹介の他、メリット・デメリットについても解説しています。住宅DXの実現で、業界全体の業務効率化を目指しましょう。

DXとは

経済産業省では、DXを下記のように解釈しています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

ただし明確な定義があるわけではなく、まだまだ発達段階の成長分野となっています。DXについて詳しくは、下記記事をご覧ください。

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住宅業界でのDX活用事例

ここでは、住宅業界でDXを活用している事例についてご紹介します。

①住友林業

住友林業グループでは、「事業のデジタル化」「組織・働き方のデジタル化」「顧客関係のデジタル化」「社会・経済のデジタル化」の4分野でDXを推進しています。具体的な内容は、下記の通りです。

  • 事業のデジタル化:CADや建て方など住宅建築でのデジタル化による合理化を進める。
  • 組織・働き方のデジタル化:RPAAI-OCRなどの技術を活用して、伝票入力など単純業務の自動化を推進する。
  • 顧客関係のデジタル化:住友林業グループの各事業でのお客様情報を統合管理することで、お客様へ適切な情報やアプローチを行うなどデジタルマーケティングを推進する。
  • 社会・経済のデジタル化:2021年に事業を開始したホームエクスプレス構造設計の構造計算サービスの普及を進める。

②大和ハウス工業

大和ハウス工業では「建設DX推進部」を設けて、建設DX基盤の構築に取り組んでいます。具体的には下記3点を重点項目としています。

  • 省人化・無人化
  • 建設DXの基盤づくり
  • デジタル・ICT人財の育成

上図のように、建設DX推進部では「BIM」と「デジタルコンストラクション」という2つの大きな取り組みを実施しています。まずデジタル戦略はBIMから始まり、設計から製造・施工・維持管理へと連携し、建物データベースやそのデータを共通で取り扱う共通データ環境を通じてデジタルコンストラクションプロジェクトへと連携していきます。

デジタルコンストラクションでは、予知・予測型遠隔管理や設計・施工のICT化、次世代建築へと繋がる流れを構築します。そしてそのデータはBIMに戻り、AIやビッグデータ解析などで維持・継続されていきます。これは「DX戦略のメビウスループ」と呼ばれています。

③竹中工務店

竹中工務店では、建設DXを支える基盤として「建設デジタルプラットフォーム」を開発・運用しています。これにより建設に関わる一連のプロセスにおけるプロジェクト業務や、人事・経理等、事業に係るすべてのデータを一元管理し、AI等を用いた高度なデータ利活用を推進しています。

DXの取り組みは主に「企画・設計、生産、運用」の3段階に分けられています。まず「企画・設計」では、デジタルデータの有効活用により、建物の設計よりさらに前の事業構想段階から提案しています。

「生産」では施工段階での圧倒的な生産性向上を目指し、BIM及び先端デジタル技術の効果的活用を組み込んだプロセス改革に取り組んでいます。「運用」では、まち・建物・人のデータを活用することで、まちや利用者ニーズの変化に対応した建物にアップデートが可能な建物サービスの充実を図っています。

④飯田グループ

分譲住宅大手の飯田グループは、燈㈱と共同で土地仕入れ業務のDXを実現しました。分譲住宅事業において業務フローの起点となるのが土地の仕入れ業務で、従来までは1件ごとに膨大な情報収集が必要でした。

しかしAIの活用により仕入時の情報収集業務効率化・高速化を実現し、従来の1/10程度の時間で実行可能になりました。担当者からは「以前までは手動で検索して入力していたので非常に便利」「従来の方法に比べ、収集にかかる時間が大幅に短縮され、業務効率が向上したと感じる」という声が上がっています。

⑤NTTデータ

NTTデータは2023年7月に、住宅事業者9社及び金融機関12行と共同で「住宅ローン業務のDXに向けた検討会」を開始しました。これは「住宅ローンDXプラットフォーム」による課題解決及び既存システムとの連携等について、住宅事業者及び金融機関と共同で検討するものです。具体的には、下記のような目的があります。

  • デジタル化により住宅ローン申込人の利便性を向上する
  • 住宅事業者・金融機関の住宅ローンに関する業務負荷の削減
  • 住宅販売実績の向上
  • 住宅ローン実行額の増加

現状では、住宅事業者と金融機関が電話等アナログな方法でローン業務を行っています。住宅ローンDXプラットフォームの構築により、業務効率化を目指します。

DXはなぜ必要?社会的理由や背景

住宅業界はまだまだDX化を進めている企業は少ないですが、重要性は高まっています。その理由としては、下記が挙げられます。

  • 人手不足
  • 住宅需要の低下
  • ライフスタイルの多様化

日本では少子高齢化の影響により、多くの業界で人手不足が問題となっています。これにより業務が回らず、従業員への負担が増えるといったトラブルにも繋がっています。

また同様に人口減少により、住宅着工数も連動して年々減っています。これにより画一的な住まいではなく、一人ひとりのライフスタイルに合わせた多様な住宅設計のニーズが高まっています。こういった背景により、DX化による業務効率化や提案力の強化が求められているのです。

住宅DXのメリット

住宅DXの実現により、下記のメリットが得られます。

  • 業務効率化
  • 労働環境の改善
  • 利益率の向上

現状の住宅業界では、電話でのやり取りや書類などアナログな業務が残っています。DXによりデジタル化すれば、事務処理や顧客とのやり取りを大幅に効率化できるでしょう。

またDX化により、少ない人数で同じ業務がこなせるようになります。労働時間の短縮も実現するため、過重労働の防止に繋がります。空いた時間を顧客対応や新サービスの開発に回せることで、顧客満足度の向上にも貢献するでしょう。

住宅DXのデメリット・課題

一方で、住宅DXにはデメリットや課題もあります。

  • 初期費用が掛かる
  • 人材教育が必要

住宅DXには、PCやAI解析ツールといったIT機器が必要になります。会社全体での機器導入となると、高額なシステム費用が掛かる点がデメリットでしょう。長い目で見ると利益向上に繋がるとはいえ、初期費用負担で経営が圧迫されてしまうのでは意味がありません。

またデジタルツール導入にあたっては、社員が使いこなせるようになるための教育が必要です。慣れるまでの期間は、研修スタッフを別途雇うケースもあります。

こういったデメリットを解消するために、経済産業省では「IT導入補助金」の取り組みを行っています。中小企業のITツール導入費用をサポートしてくれる制度で、ソフトウェアやセキュリティといったIT強化に役立ちます。詳しくは下記記事をご覧ください。

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まとめ|DXで業務効率化

住宅業界ではまだまだアナログ業務を行っている所が多いですが、DX化すれば業務効率化に繋がります。少子高齢化が加速する中で、その必要性は高まっています。DX化には課題もありますが、ぜひITツールの導入から始めてみてはいかがでしょうか。