東急建設、BIMを活用したPCa部材製造における鉄筋の自動加工システムを実証
東急建設株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:寺田光宏、以下当社)は岩瀬プレキャスト株式会社(本社:茨城県桜川市、社長:浮田聡)※1と共同で、PCa部材製造※2の生産性向上に向け、バルコニー板のBIMモデル作成から鉄筋加工までのフロー自動化を目指したプロトタイプシステムを実案件で実証しました。このシステムは今回の実証を経て2022年度中にさらに改良すると共に、柱・梁等の構造部材での実用化に向けた開発フェーズへと進めます。
概要
今回の実証は、本年2月に当社設計施工の「(仮称)京王電鉄バス中野車庫B敷地開発計画作業所(住所:東京都中野区、事業主:京王電鉄バス株式会社、京王電鉄株式会社)」の当社標準PCaバルコニー板の一部を対象に、BIMモデルから鉄筋の自動生成、板図※3の自動作成、鉄筋自動加工機への連携を図った製造を行いました。その結果、当システムによるBIMモデルからPCa部材製造までのフローが問題なく実施され、板図・鉄筋加工帳の自動作成や鉄筋加工手間の削減を実現し生産性向上につながる省力化が得られることを確認しました。また、PCa活用は材料ロスの削減にもなるため当社の3つの提供価値の一つ「廃棄物ゼロ」にも貢献します。
現在、BIMモデルを活用しMR※4を用いた製造過程における検査についても開発中です。
当社の長期経営計画で「競争優位の源泉」の一つとして掲げている「デジタル技術」の領域では、サプライチェーン一気通貫のDXを目指しBIM設備設計会社「Indochine Engineering Limited」や積算会社「株式会社川村積算」の子会社化、さらにはPCa製品の製造販売を行う合弁会社「岩瀬プレキャスト株式会社」を設立しています。今回の実証を機に「PCa製作の自動化」を推進し、BIMによるプラットフォームの構築とそれによる建築事業のデジタルシフトを加速させてまいります。
※1 岩瀬プレキャスト株式会社 https://www.iwase-pca.com/
※2 PCa(Precast Concrete)とは、専用工場においてあらかじめコンクリート製品を製作した後、建設現場へ運搬して設置を行う工法。一般にコンクリート構造物は、現場においてコンクリートを打設して造られるが、この工法の活用により生産性向上や使用材料のロス削減が見込める。
※3 板図とはPCa部材を製造するための部材設計図のこと。通常、PCa部材製造会社が2次元CADで作成する。
※4 MRとは、Mixed Realityの略で日本語では複合現実を示し、現実世界と仮想世界を複合・融合させ相互にリアルタイムで影響し合う空間を構築する技術を指す。