現場条件に合うアンカーをどう選ぶ?種類・施工方法・コスト目安を実務目線で解説

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建築工事で使われるアンカーは、部材や設備を建物に固定するための部材です。基礎やコンクリート、壁、足場、内装など幅広い場所で使われます。


しかし、アンカーには複数の種類があり、使う場所や目的によって選び方が異なります。この記事では、建築におけるアンカーの意味や使われる場所、種類、値段の目安までみていきましょう。

建築におけるアンカーとは

建築におけるアンカーとは、部材や設備を建物に固定するための金物や固定部材のことです。主にコンクリート、基礎、壁、天井、床などに使用され、柱・土台・設備機器・配管・足場・内装部材などを動かないように固定します。

建物には地震や風、振動、荷重など多くの力が加わります。そのため、アンカーの選定や施工が不適切だと、固定した部材の浮き、ずれ、脱落につながる可能性があります。

アンカーは見えにくい部分に使われることも多い部品です。建物の安全性や耐久性を支える部材です。種類によって使える下地や耐えられる荷重、施工方法が異なるため、用途に合ったものを選ばなければなりません。

アンカーが使われる主な場所

アンカーは、建物の構造部分から設備、内装、仮設工事まで幅広く使われます。使用場所を知ると、アンカーの役割をより具体的に理解できます。

使用場所主な固定対象アンカーの役割注意点
基礎まわり木造住宅の土台、鉄骨柱、柱脚金物基礎と構造部材を固定し、建物に加わる力を受け止める位置、埋込み深さ、締付け状態が施工品質に影響する
設備機器まわりエアコン室外機、分電盤、制御盤、機械設備重量のある設備を床・壁・基礎などに固定する重量だけでなく、振動、屋外使用、湿気、腐食への配慮が必要
配管まわり給排水管、空調配管、配管支持金物配管のずれや落下を防ぎ、安定した状態で支持する配管の重さ、振動、支持間隔を確認する
足場まわり外壁工事や改修工事で使う足場足場を建物に固定し、風による揺れや倒れを防ぐ適切な間隔と方法で固定する必要がある
内装まわり棚、カーテンレール、照明器具、軽量収納部材石膏ボードや壁面に軽量物を固定する重い物は石膏ボードだけで支えず、柱や下地材への固定を検討する

建築で使うアンカーの種類

アンカーには複数の種類があり、用途や下地によって使い分けます。ここでは、建築現場でよく使われる代表的なアンカーを解説します。

アンカーボルト

アンカーボルトは、基礎やコンクリートに埋め込み、土台や柱脚金物などを固定するためのボルトです。建物の構造部分に使われることが多く、住宅や鉄骨造の建物でも広く使われます。

主な用途は次のとおりです。

・木造住宅の基礎と土台の固定
・鉄骨柱の柱脚固定
・ホールダウン金物の固定
・機械基礎への設備固定

アンカーボルトは、コンクリートを打設する前に設置するものと、後から施工するものがあります。構造に関わる部分では、設計図や施工基準に従って施工しましょう。

あと施工アンカー

あと施工アンカーとは、既に硬化したコンクリートに穴を開け、後からアンカーを取り付ける方法です。改修工事、設備追加工事、耐震補強工事などでよく使われています。

あと施工アンカーは、施工手順の精度が仕上がりに影響します。穴の深さや直径、清掃不足、埋込み不足があると、本来の耐力を発揮できないケースも少なくありません。

施工後に固着状態を確認するため、引張試験を行う場合もある点は知っておきましょう。

金属系・接着系・石膏ボード用アンカー

アンカーは、固定の仕組みによっても分類できます。

・金属系アンカー
コンクリート内で金属部材を広げたり、打ち込んだりして固定する。芯棒打込み式、締付け式などがある

・接着系アンカー
穴の中に樹脂を入れ、ボルトや鉄筋を固着させる。耐震補強や改修工事で使われることがある

・石膏ボード用アンカー
石膏ボードの裏側で広がるタイプや、ねじ込んで固定するタイプがある。軽量物の固定に使う

金属系アンカーは施工が比較的分かりやすい一方で、コンクリートの強度や端部からの距離に注意が必要です。接着系アンカーは高い固定力を得やすい反面、穴の清掃や樹脂の硬化時間を守る必要があります。

アンカーの使い方の基本

アンカーは、正しい手順で施工して初めて十分な固定力を発揮する部品です。アンカーの施工方法は種類によって異なりますが、基本的な流れは共通しています。

・取り付け位置を決める
・下穴の直径と深さを確認する
・ドリルで穴を開ける
・穴の中の粉じんを清掃する
・アンカーを挿入する
・打込み、締付け、または樹脂注入を行う
・固定状態を確認する
・必要に応じて引張試験を行う

とくに注意したい作業が、穴の清掃です。コンクリート粉が穴の中に残ったままだと、アンカーが十分に効かない場合があり、接着系アンカーでは、清掃不足が接着不良の原因になってしまいます。

また、指定された締付けトルクを守ることも必要です。強く締めればよいわけではありません。過度に締めると、アンカーや下地を傷める可能性があります。

アンカーの値段の目安

アンカーの価格は、種類やサイズだけでなく、材質や施工条件によっても変わります。ここでは、材料単価と施工費を分けて目安を確認します。小型のものは1本あたり数十円から購入できる場合がありますが、構造用や特殊用途では高くなっているのが現状です。

種類材料単価の目安主な用途
石膏ボード用アンカー1本あたり数十円〜100円前後軽量棚、カーテンレール、小物固定
芯棒打込み式アンカー1本あたり100円〜300円前後設備架台、金物、配管支持
アンカーボルト1本あたり200円〜1,000円前後基礎、土台、柱脚金物
ステンレス製アンカー1本あたり200円〜数千円屋外、湿気の多い場所
接着系アンカー材料構成により数百円〜数千円改修、補強、設備固定

施工費込みの場合は、材料費だけではなく、以下のような費用が変わる主な要因について把握しましょう。

・アンカーの本数
・下地の種類
・穴あけの難易度
・屋内か屋外か
・高所作業の有無
・引張試験の有無
・施工場所までの移動費

価格を確認する際は、材料費だけでなく、施工費や諸経費、試験費、足場費の有無まで確認すると判断しやすくなります。

アンカー選びで失敗しないポイント

アンカーは見た目が似ていても、使える場所や耐力が異なります。選定を誤ると、固定力不足や部材の脱落につながるため、事前確認が必要です。確認すべきポイントは次のとおりです。

・固定する対象物の重さ
・コンクリート、木材、石膏ボードなど下地の種類
・屋内か屋外か
・水分や湿気の影響を受ける場所か
・振動が発生する設備か
・必要な耐力を満たしているか
・施工後の確認試験が必要か
・専門業者による施工が必要な箇所か

とくに構造部材や足場、重量設備、人が体重をかける手すりなどは、よく確認しましょう。

まとめ

建築におけるアンカーとは、部材や設備を建物に固定するための金物です。基礎やコンクリート、壁、足場など幅広い場所で使われ、建物の安全性や使いやすさに関わります。

アンカーを選ぶ際は値段だけでなく、固定する物の重さや下地、必要な耐力を確認し、施工しましょう。