建設業法第26条第3項をわかりやすく解説|4500万円ルール・専任配置・特例監理技術者まで整理

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Category:コラム建築
Tag:建築

著者:上野 海

建設工事では、どの現場にどの技術者を配置するかが法律で定められています。その中心となる規定が「建設業法第26条第3項」です。

請負金額が4500万円以上(建築一式工事は9000万円以上)の工事では、主任技術者または監理技術者を現場ごとに専任で配置する必要があるため、実務での注意が必要です。

そこでこの記事では、条文の内容や実務での判断ポイントまでわかりやすく解説します。

建設業法第26条第3項とは

建設業法第26条第3項は、一定規模以上の工事において主任技術者または監理技術者を現場ごとに専任で配置することを義務付けた規定です。

たとえば、公共性の高い工事や多数の人が利用する施設の工事では、施工品質や安全性を確保するため、現場管理を行う技術者がその工事に専念して従事する必要があります。特に請負金額が一定額以上となる工事では、技術者が複数現場を兼務すると管理が不十分になるおそれがあるため、専任配置が義務化されています。

まずは建設業法第26条第3項の内容を、条文をもとに整理して解説します。

条文の内容(わかりやすく要約)

以下に、建設業法第26条第3項の原文を掲載しました。

3 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前二項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。ただし、次に掲げる主任技術者又は監理技術者については、この限りでない。

一 当該建設工事が次のイからハまでに掲げる要件のいずれにも該当する場合における主任技術者又は監理技術者

イ 当該建設工事の請負代金の額が政令で定める金額未満となるものであること。

ロ 当該建設工事の工事現場間の移動時間又は連絡方法その他の当該工事現場の施工体制の確保のために必要な事項に関し国土交通省令で定める要件に適合するものであること。

ハ 主任技術者又は監理技術者が当該建設工事の工事現場の状況の確認その他の当該工事現場に係る第二十六条の四第一項に規定する職務を情報通信技術を利用する方法により行うため必要な措置として国土交通省令で定めるものが講じられるものであること。

二 当該建設工事の工事現場に、当該監理技術者の行うべき第二十六条の四第一項に規定する職務を補佐する者として、当該建設工事に関し第十五条第二号イ、ロ又はハに該当する者に準ずる者として政令で定める者を専任で置く場合における監理技術者

引用:e-Gov法令検索「建設業法(2026年3月時点)」

建設業法第26条第3項の内容を実務目線で整理すると、次のようなポイントになります。

項目内容
対象工事公共性のある施設または多数が利用する施設の重要な工事
技術者主任技術者または監理技術者
配置方法現場ごとに専任配置
兼務原則不可

つまり、公共性の高い施設や多数が利用する建物の重要な工事では、主任技術者または監理技術者を現場ごとに専任で配置しなければならないという規定です。一定規模以上の工事では、技術者が他の現場を兼務せず、その工事の施工管理に専念する体制を求めています。

なぜ専任配置が義務化されているのか

専任配置が義務化されている理由は、施工品質と安全管理を確保するためです。

建設工事では工程管理、品質管理、安全管理など多くの管理業務が発生します。代表的な業務は次のとおりです。

  • 施工計画の確認
  • 品質管理
  • 安全管理
  • 下請業者の指導
  • 施工状況の確認

これらの業務は日々の現場管理と密接に関係しているため、専任配置とすることで、技術者が現場に継続的に関与し、工事品質を維持できるようにすることが義務化の目的です。特に公共施設や大規模施設では、多くの利用者の安全に直結するため、専任技術者による現場管理が不可欠とされています。

対象となる工事の考え方

建設業法第26条第3項の対象となる工事は、公共性のある施設または多数が利用する施設の重要な工事です。たとえば次のような施設が該当します。

  • 学校
  • 病院
  • 公共施設
  • 商業施設
  • マンション
  • ホテル

これらの施設は利用者が多く、工事品質が安全性に直結します。そのため一定規模以上の工事では専任技術者の配置が義務付けられています。工事を受注する際は、専任配置が必要な工事かどうかを早い段階で確認することが重要です。

また建設業法の全体像も理解したい方は、以下の記事がおすすめです▼

建設業法第26条第3項の「専任」とは

建設業法第26条第3項で定義している専任とは、技術者が特定の工事現場に継続的に関与し、施工管理を適切に行える体制を確保するための配置方法です。

ここでは専任と兼務との違い、実務で注意すべきポイントを整理します。

常駐との違い

専任と常駐は混同されやすい用語ですが、意味が異なります。専任はその工事に専念して従事する配置を指し、他の工事との兼務ができない状態を意味します。一方、常駐は単に現場にいる状態を表す言葉であり、法律上の配置要件とは別の概念です。違いを整理すると次のとおりです。

項目専任常駐
意味特定の工事に専念して従事する配置現場に継続的にいる状態
法律上の位置づけ建設業法第26条第3項で規定法律上の定義は明確ではない
他現場の担当原則として兼務不可状況によっては兼務あり得る
判断基準その工事の施工管理に専念しているか現場にいる時間や頻度
主な目的施工品質・安全管理の確保現場管理の実務上の体制

施工管理業務に継続的に関与し、必要な指示や確認が行える体制であれば専任と判断されます。単に現場にいる時間だけで判断されるものではありません。

実務でよくある専任違反の例

専任違反として多いのが、以下のケースです。

  • 同じ技術者を複数の工事で専任として届け出ている
  • 専任とされている技術者が実際には別の現場を担当している

また、施工体制台帳の記載と実際の配置が一致していない場合も違反と判断される可能性があります。

建設業法第26条第3項の金額基準(4500万円ルール)

建設業法第26条第3項では、4500万円以上の工事について主任技術者または監理技術者を専任で配置する必要があります。この金額基準は実務で「4500万円ルール」と呼ばれることが多く、工事規模によって専任配置の義務が決まります。

本項で紹介する金額のルールを参考に、受注前に請負金額を確認し、専任配置が必要かどうかを判断してみましょう。

専任配置が必要になる請負金額

専任配置が必要になる請負金額は、原則として4500万円以上です。公共性のある施設や多数が利用する施設の重要な工事で、この金額以上になる場合は主任技術者または監理技術者を専任で配置する必要があります。

この条件は、国土交通省が公開する「建設業法に基づく適正な施工体制と配置技術者」という資料にも掲載されており、金額基準を整理すると次のとおりです。

工事区分専任配置が必要になる請負金額
一般工事4500万円以上
建築一式工事9000万円以上

この金額を超える工事では、技術者が他の現場を兼務することは原則として認められません。工事を受注する際には、請負金額が基準を超えるかどうかを事前に確認しておく必要があります。

建築一式工事は9000万円基準

建築一式工事については、一般工事とは異なり9000万円以上が専任配置の基準となります。なぜなら、建築一式工事は複数の専門工事が組み合わさる大規模工事になることが多く、施工管理の範囲が広くなるためです。

代表的な建築一式工事の例としては、次のような工事があります。

  • マンション建設
  • 商業施設建設
  • 学校や病院の建設
  • 大型ビルの新築工事

これらの工事では多くの専門工事業者が関わるため、専任の技術者による施工管理が必要とされています。

4500万円基準はいつから変更されたのか

現在の4500万円という基準は、2023年の制度改正で引き上げられたものです。それ以前は4000万円が基準でしたが、建設資材の価格上昇や工事費の増加などを背景に見直されました。以下に変更内容を整理しました。

時期一般工事建築一式工事
改正前4000万円8000万円
改正後4500万円9000万円

この改正によって、専任配置が必要となる工事の範囲が一部変更されています。実務では契約時点の基準を確認することが重要です。

金額判断の注意点(消費税・分割契約)

専任配置の判断では、単純に契約金額を見るだけではなく、契約内容全体を確認する必要があります。特に次の点は実務で判断を誤りやすいポイントです。

判断ポイント内容
消費税請負金額は税込金額で判断する
分割契約実質的に同一工事と判断される場合は合算される可能性がある
変更契約変更後の請負金額が基準を超える場合は専任配置が必要になる

たとえば消費税の観点で言えば、「一般工事で4500万円(税抜)」だった場合には専任配置が必要です。

工事途中の変更契約で請負金額が基準を超えるケースも少なくありません。契約変更があった場合は、技術者配置の要件もあわせて確認しておくことが重要です。

また、建設業法に記載されている金額ルールのなかで混同されやすいのが建設業許可の「500万円ルール」です。詳しくは以下の記事をチェックしてみてください▼

建設業法第26条第3項第1号・第2号の違い

建設業法第26条第3項では、原則として主任技術者または監理技術者を現場ごとに専任で配置する必要があります。ただし、第1号と第2号では専任義務の例外として認められる条件が異なります。違いを整理すると次のとおりです。

区分第1号第2号
対象技術者主任技術者・監理技術者監理技術者
主な条件ICTなどを活用し遠隔で施工状況を確認できる体制を整える監理技術者補佐を専任配置する
工事規模政令で定める金額未満金額制限の規定はない
目的技術者の遠隔管理による効率化技術者補佐による管理体制の確保

以下に、それぞれの役割を整理しました。

第1号の内容

第1号は、一定条件を満たす場合に主任技術者または監理技術者の専任義務を緩和する規定です。請負金額が政令で定める金額未満であり、ICTなどを活用して遠隔で施工状況を確認できる体制が整っている場合などに適用されます。技術者が複数の現場を効率的に管理できるようにする制度です。

第2号の内容

第2号は、監理技術者補佐を専任で配置することで、監理技術者の専任義務を緩和できる制度です。監理技術者が担当する工事現場に補佐役となる技術者を配置することで、施工管理体制を維持しながら複数の工事を担当できるようにする仕組みです。

実務上の判断ポイント

実務では、工事の規模や施工体制に応じて第1号と第2号のどちらが適用できるかを判断します。

たとえば、ICTによる遠隔管理体制が整っている場合は第1号、監理技術者補佐を配置できる場合は第2号が検討されます。契約金額や配置技術者の資格なども確認したうえで判断することが重要です。

建設業法第26条第3項ただし書(特例監理技術者制度)

建設業法第26条第3項では技術者の専任配置が原則とされていますが、ただし書により一定の条件を満たす場合は例外が認められています。

代表的なものが特例監理技術者制度です。この制度は2020年の法改正で導入され、監理技術者補佐を専任で配置するなどの要件を満たすことで、監理技術者が複数の工事現場を担当できる仕組みです。

技術者不足が課題となる建設業界に対応するための制度であり、施工体制を確保しながら柔軟な技術者配置を可能にすることを目的としています。

建設業法第26条第3項に違反するとどうなる?

建設業法第26条第3項の規定に違反した場合、施工体制の不備と判断され、建設業法にもとづく行政処分の対象となる可能性があります。

  • 監督処分(営業停止など)の対象になる
  • 指名停止などの措置を受ける可能性がある
  • 公共工事の入札参加に影響する
  • 発注者から契約上の責任を問われる場合がある

特に公共工事では施工体制台帳や配置技術者の確認が行われるため、専任配置の不備は発注者や行政によって指摘されるケースも少なくありません。

このような処分を受けると、企業の信用や今後の受注活動に大きな影響が出る可能性があります。そのため、工事を受注する際には請負金額や工事内容を確認し、専任配置が必要かどうかを事前に判断することが重要です。

建設業法第26条第4項との違い

建設業法第26条第3項と合わせて確認しておきたいのが、第4項の規定です。

まず第3項は、一定規模以上の工事において主任技術者または監理技術者を専任で配置することを定めた規定です。一方、第4項は監理技術者を配置する工事において、監理技術者資格者証の携帯や監理技術者講習の受講などを義務付ける規定となります。以下に違いを整理しました。

項目第26条第3項第26条第4項
規定内容技術者の専任配置義務監理技術者の資格管理
対象主任技術者・監理技術者監理技術者
主な目的施工体制の適正化監理技術者の適格性確保
主な要件工事ごとに専任配置資格者証の携帯・講習受講

このように、第26条第3項と第4項はどちらも技術者配置に関する規定ですが、役割が異なります。実務では、専任配置が必要な工事かどうかを第3項で確認し、そのうえで監理技術者を配置する場合は第4項の資格要件も満たしているかを確認することが重要です。

関連条文との関係(第7条第2号・第15条第2号ロ・第26条の5)

建設業法第26条第3項は、技術者の配置方法を定めた規定ですが、単独で理解するのではなく他の条文とあわせて確認することが重要です。以下に関連する条文を整理しました。

  • 建設業法第7条第2号

一般建設業の許可要件として、営業所に配置する専任技術者の資格要件を定めた規定

  • 建設業法第15条第2号ロ

特定建設業の許可要件として、監理技術者になれる技術者の資格要件を定めた規定

  • 建設業法第26条の5

主任技術者や監理技術者が行う職務内容や管理体制に関する基本的な考え方を定めた規定

このように、建設業法第26条第3項は技術者の配置義務を定めた条文であり、資格要件や職務内容は他の条文で補完されています。実務ではこれらの条文をセットで確認することで、適切な施工体制を判断しなければなりません。

専任配置が必要か判断する手順(目安)

建設業法第26条第3項について、実務では次のような順序で確認すると判断しやすくなります。

  1. 公共性のある施設または多数の人が利用する施設の工事か確認する
  2. 請負金額が4500万円以上(建築一式工事は9000万円以上)か確認する
  3. 主任技術者または監理技術者の配置が必要か確認する
  4. 特例監理技術者制度など例外規定が適用できるか確認する

これらを順番に確認することで、専任配置が必要な工事かどうかを大まかに判断できます。特に公共工事では施工体制台帳の確認や技術者配置のチェックが行われるため、契約前の段階で配置要件を確認しておくことが重要です。

まとめ

建設業法第26条第3項は、一定規模以上の工事において主任技術者または監理技術者を現場ごとに専任で配置することを義務付けた規定です。特に請負金額4500万円以上の工事では専任配置が必要となり、違反すると行政処分の対象となる可能性があります。

技術者配置は施工体制の基本となるため、関連条文や金額基準もあわせて確認し、適切な体制を整えることが重要です