大成建設、山岳トンネル発破作業を機械化する装薬ユニット開発、削孔装薬連続施工

2026年2月19日、大成建設株式会社は山岳トンネル工事における発破作業を完全に機械化する「装薬ユニット」を開発したと発表しました。既存の削孔機械「ドリルジャンボ」に取り付けて使用するこの装置は、岩盤の削孔から爆薬の装填(装薬)まで、運転席に座ったオペレーター1名だけで連続して作業できる点が最大の特徴です。
山岳トンネル工事が抱えてきた課題
山岳トンネルの掘削では、岩盤に穴を開けて爆薬を詰め、爆発によって岩を砕きながら少しずつ前へ進んでいきます。この一連の作業は、これまで作業員が「切羽(きりは)」と呼ばれる掘削の最前線に直接入って手作業で行ってきました。
しかし、切羽付近では土砂や岩が突然剥がれ落ちる「肌落ち」という事故のリスクが常にあり、作業員の安全確保が長年の課題となっていました。また、多くの工程を人の手に頼っているため、作業時間のばらつきや段取り変えの手間が生産性の向上を妨げているという問題もありました。
これまでの技術開発の歩み
大成建設はこうした課題に対応するため、段階的に技術開発を進めてきました。
2023年:爆薬装填装置「T-クイックショット」を開発。迅速な装薬による施工サイクルの効率化を実現。
2024年:無線電子雷管「ウインデット®Ⅱ」に対応した仕様へと機能を拡張。結線作業なしで、親ダイ(雷管付き薬包)と増ダイ(追加爆薬)を遠隔から同時に装填できる技術を確立。
これらの積み重ねをもとに、今回の「装薬ユニット」開発へとつながりました。
「装薬ユニット」の3つの特長
今回開発された装薬ユニットには、現場の課題を解決する3つのポイントがあります。
・既存機械に後付けできる手軽さ
装薬孔の位置を保持するスパイク式セントラライザ、ロッドの継ぎ足しや回収を担うロッドセッター、ホース類を送り出すホースフィーダーなどで構成されており、現在使用中のドリルジャンボのガイドシェルにそのまま取り付けることができます。機械本体を大掛かりに改造する必要がないため、掘削作業を長く止めることなく導入できます。
・削孔から装薬まで一気通貫で作業できる効率性
装薬パイプの挿入を削孔と同じ軸上で行うため、作業のたびに位置を合わせ直す手間がかかりません。削孔が終わればそのまま装薬に移れるため、工程全体の短縮につながります。
・無線電子雷管との組み合わせによる安全性・省人化
「T-クイックショット」と組み合わせることで、これまで必要だった結線作業が不要になります。作業員が切羽へ立ち入る必要がなくなり、削孔から装薬までの作業を完全機械化し、オペレーター1名で発破作業を行えます。
実証試験でも効果を確認
大成建設が施工する山岳トンネル工事の現場でこの装薬ユニットの実証試験を実施したところ、あらゆる種類の装薬孔に対して、人手を頼ることなく一連の作業を円滑に進められることが確認されました。
今後の展開 完全自動化を目指して
同社は今後、段階的に実際の爆薬を用いた試験発破を行いながら、機械・装置間の連携制御を強化していく方針です。ヒューマンエラーを抑えた半自動化・自動化への移行を進めることで、現場の安全性と生産性をさらに高めていく計画です。
また、山岳トンネル工事における生産プロセスのDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として、この技術の標準化と社会への普及を目指す取り組みも加速させます。最終的には、1名だけで実施できる掘削作業の完全自動化を将来的な目標として掲げており、技術開発をさらに推し進めていくとしています。
山岳トンネルの建設現場は、これまで人の手に頼る部分が多く、安全管理の面でも大きな課題を抱えてきました。今回の「装薬ユニット」の開発は、そうした現場の姿を大きく変える可能性を持った技術といえるでしょう。
出典情報
大成建設株式会社リリース,山岳トンネル工事での発破作業の完全機械化を実現する「装薬ユニット」を開発-オペレーター1名で削孔から装薬まで連続施工でき、安全性・生産性が大幅に向上-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260219_10933.html