大成建設、ゼロカーボンビル核の研究拠点T-FIELD本格運用開始を埼玉で発表

2026年2月16日、大成建設株式会社と大成ロテック株式会社は、埼玉県幸手市に建設・道路分野の脱炭素化を進める研究・実証拠点「大成建設グループ次世代技術研究所『T-FIELD/SATTE』」の本格運用を開始したと発表しました。この施設には、日本で初めてとなるゼロカーボンビルが設けられており、業界内外から大きな注目を集めています。

施設の基本コンセプト

この研究所は、「人がいきいきとする環境を創造する」という大成建設グループの理念に基づいて整備されました。脱炭素社会や循環型社会、自然と共に生きる社会の実現を目指し、革新的な技術や材料の研究から実際の社会への普及までを、一つの拠点で完結できる体制が整っています。

材料の開発、製造、施工の実証試験をすべて同じ敷地内で行えることが最大の特徴です。検証のスピードを高めながら、自治体や関係機関と連携してインフラ施設の環境性能や耐久性を向上させる技術提案も行っていく予定です。地域に開かれた研究拠点として、周辺社会との協調も重視しています。

注目の「ゼロカーボンビル」とはどんな建物か

施設の中核となる管理研究棟は、大成建設が独自に開発した評価指標「T-ZCB(Taisei Zero Carbon Building)」を導入した「ゼロカーボンビル」です。T-ZCBとは、建物の資材調達から施工・運用・修繕・解体に至るまでの全過程でCO2の排出量と削減効果を見える化し、ゼロカーボン化を体系的に評価するシステムです。

この建物では、4階建ての上層2階部分を木造とし、環境負荷の低減に配慮しています。さらに、以下のような先進的な素材・技術が採用されています。

・T-eConcrete®/Carbon-Recycle:CO2排出量をゼロまたはマイナスにする環境配慮型コンクリート

・T-ニアゼロスチール:解体された建物から回収した鉄骨を再生した鋼材

・太陽光発電の積極活用:建物の耐用年数60年間にわたる運用を通じて、ライフサイクル全体のCO2排出量を101%削減する計画

これらの取り組みにより、建物の存在そのものが環境への貢献につながる仕組みが実現しています。また、地域内でさまざまな資源やエネルギーを循環させる「サーキュラーエコノミー」の考え方も実践されており、資源の価値を最大限に引き出す取り組みが進められています。

道路インフラの未来を支える研究設備

高速道路や国道などに使われるコンクリート床版(橋の床部分)の疲労耐久性を調べるための専用施設も整備されました。実物大の輪荷重試験機を導入し、実際の車両が走行する状況を再現した繰り返し載荷試験(20万回から100万回以上)を実施します。これにより、開発した床版がどのくらいの期間・条件に耐えられるかを数値で評価できます。

製造ラボとテストフィールドで一貫した検証が可能に

敷地内には「コンクリートの製造ラボ」と「アスファルトの製造ラボ」が設けられており、脱炭素や再生資材を活用した製造実験が行われます。製造した材料は敷地内の「道のテストフィールド」で実際に施工し、性能を確認することができます。研究開発から施工実証までを一貫して検証できる環境は、開発スピードの向上に大きく貢献するとみられています。

なお、ここで検証された舗装技術は、2025年7月より運用が始まった「次世代技術実証センター/田村」(福島県田村市)においても、長期的な耐久性の実証が続けられます。

自然と調和した緑地空間も整備

研究施設としての機能だけでなく、敷地内には地域の生態系と調和した水辺環境も整備されています。自然を再生しながら防災の役割も担う設計となっており、周辺環境と一体となった林や草地の丘が配置されています。いわゆる「ネイチャーポジティブ」の考え方に基づいた緑地空間の形成が進められており、自然環境との共生を研究施設のあり方そのもので体現しています。

今後の展望

大成建設グループは、この「T-FIELD/SATTE」で得られた知見を活用しながら、T-ZCBに基づくゼロカーボンビルの技術提案を推進していく方針です。建設・道路分野における脱炭素材料や施工技術の研究・実証をさらに加速させ、社会実装を通じて持続可能な社会の実現に貢献していくとしています。

日本初のゼロカーボンビルを中核とするこの拠点が、建設業界の脱炭素化にどのような成果をもたらすか、今後の展開が注目されます。

出典情報

大成建設株式会社リリース,日本初のゼロカーボンビル大成建設グループ次世代技術研究所「T-FIELD/SATTE」が本格運用を開始-建設・道路分野の脱炭素化を加速する研究・実証基盤を構築-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260216_10936.html