大成建設が設計施工したOKI本庄工場H1棟がASHRAE賞受賞2026年最優秀賞

大成建設株式会社が設計・施工を担当した「OKI本庄工場H1棟」が、世界的に権威ある空調・室内環境・省エネルギー分野の技術賞「2026 ASHRAE Technology Award」において、産業施設・新築部門で世界第1位を獲得しました。さらに、各部門の第1位の中からたった1件だけ選ばれる「最優秀賞」にも輝きました。
この受賞は、大成建設、沖電気工業株式会社(OKI)、慶應義塾大学の3者による共同受賞となっています。2026年2月12日に発表されたこのニュースは、国内の建築・環境分野で大きな注目を集めています。
目次
ASHRAE Technology Awardとはどんな賞か
ASHRAEは正式名称を「米国暖房冷凍空調学会(American Society of Heating, Refrigerating and Air-Conditioning Engineers)」といい、132カ国・5万人以上の会員を持つ、空気調和分野では世界最大の国際学会です。1894年に設立され、本部は米国アトランタに置かれています。
「ASHRAE Technology Award」は1997年に創設され、省エネルギー・快適性・居住者の健康などを高い水準で実現した革新的な環境建築を対象とした、世界最大規模の技術賞として知られています。
・審査には実際の運用データによる裏付けが必要
・建築・設備関係者からの信頼度が非常に高い賞
・表彰対象は業務用施設・医療施設・産業施設・住宅など6つの施設カテゴリーに分類
・各カテゴリーは新築・既築改修・性能検証の3部門で構成
こうした厳格な審査基準をクリアしたうえでの世界第1位・最優秀賞受賞は、国内の建築業界にとっても非常に意義深い成果です。
OKI本庄工場H1棟とはどのような施設か
「OKI本庄工場H1棟」は、OKIが創業150周年に向けた取り組みの一環として、「モノづくり基盤強化」を目標に掲げ、埼玉県本庄市にある本庄工場内に新たに整備した生産拠点です。2022年4月に竣工しました。
本庄という地域は、木・土・絹などの地域資源を活用して発展してきた歴史を持っています。OKIの創業の原点でもある「つながる」というコンセプトのもと、この工場は地域の風土に根ざした施設として設計されました。
国内初の評価指標「ZEF(Net Zero Energy Factory)」の定義
この工場において特に注目されるのが、「ZEF(Net Zero Energy Factory)」という評価指標の定義です。ZEFとは、生産設備そのものを除く工場全体の設備――具体的には空調・換気・照明など――を評価の対象とし、省エネルギーと再生可能エネルギーの導入によって、工場が1年間に使うエネルギーの収支をゼロにすることを目指す概念です。
生産エリアの空調・換気・照明を含むかたちでのZEF定義は、国内で初めての試みとなります。建築主・設計者・施工者の三者が一体となってカーボンニュートラルの実現に取り組んだ点が、この工場の大きな特徴です。
受賞につながった取り組みのポイント
今回の受賞において、審査で特に高く評価された点は以下の通りです。
・ZEFという新たな概念の提案とその具体的な実践
・竣工後も発注者とともにエネルギーの監視・分析を継続している点
・運用実績データの蓄積と継続的な検証の仕組み
・「完成して終わり」ではなく、脱炭素社会に向けて長期的に改善を続ける工場モデルの追求
慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科の川久保俊研究室は、ZEFに関するアドバイスのほか、温熱環境とエネルギーの連成解析の開発に携わり、プロジェクト全体を学術的に支えました。
今後の展開
大成建設は今後も、環境に配慮した持続可能な社会の実現を目指す姿勢を続ける方針です。発注者のニーズに応じたZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の提案を進めるとともに、建物の完成後も運用改善や機能向上に積極的に取り組むとしています。
今回の受賞は、日本の建築技術と環境への取り組みが国際的に認められた事例として、業界全体にとっても大きな意味を持つものといえるでしょう。
出典情報
大成建設株式会社リリース,「OKI 本庄工場H1棟」が「米国暖房冷凍空調学会」が主催するASHRAE Technology Awardを受賞-産業施設・新築部門にて世界1位かつ世界最優秀に選出-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260212_10916.html