生コンクリートを扱うポイントまとめ:定義から配合・強度・価格・品質管理まで「現場で事故らない」方法を解説

生コンクリート(レディーミクストコンクリート/いわゆるレミコン)は、工場から出荷されたものを現場で完成させる半製品です。そのため、 「配合」「受入れ」「施工」のどれかが崩れると、強度不足よりも先に耐久性(ひび割れ・中性化・鉄筋腐食側)に問題が生じるケースが多いといえるでしょう。
本稿は、JISの枠組みを前提にしつつ、BtoBの現場で実際に事故を減らすための「運用のポイント」について解説します。
目次
生コンクリートとは

生コンクリートは、工場であらかじめ配合・練り混ぜされた状態で現場に届くコンクリートです。つまり、出荷時点ですでに一定の品質は担保されている状態だといえます。
ただし、最終的な結果は、現場での受け入れ方や打設、養生の管理によって大きく変わる製品でもあります。ここでは、生コンがどのような考え方で扱われるべきものかをみていきましょう。
生コンクリートの定義とJISの枠組み
生コンクリートとは、工場で材料を計量・練混ぜし、未硬化のまま運搬車で現場へ供給するコンクリートを指します。製品としては、 JIS A 5308 をベースに品質が整理され、検査項目(強度・スランプ等・空気量・塩化物含有量)が枠組み化されています。
重要なのは、工場が担保する品質と現場が担保する品質は、全く別になっている点です。
「普通コンクリート」との違いは製造形態
生コンクリートは、工場で配合と品質が管理された状態で現場に届きます。そのため、現場では「つくる」のではなく、「受け入れて正しく施工する」ことが品質管理の中心だといえるでしょう。
一方、現場練りは、材料計量から施工までをすべて現場で管理します。その分、管理が適切であれば問題ないものの、ばらつきが出やすい点が特徴です。
| 比較項目 | 生コンクリート | 現場練りコンクリート |
| 練り混ぜ場所 | 工場 | 現場 |
| 材料計量 | 工場で自動計量 | 現場で計量 |
| 配合管理 | 工場の品質管理体制 | 現場管理者に依存 |
| 品質のばらつき | 比較的少ない | 現場条件により変動しやすい |
| 受入検査 | 現場で実施 | 基本的に不要(自現場製造のため) |
| 主な管理ポイント | 受入検査・打設・養生 | 材料計量・練混ぜ・打設・養生 |
生コンクリートの配合の基本
配合は材料名ではなく、支配指標で見ないと現場判断がブレます。本章は、現場が読むべき数値と、その数値がどの不具合に繋がるかを整理します。現場で確認すべきなのは、材料の種類よりも「配合の数値」です。
配合に重要な4つの指標
生コンはセメント・水・細骨材・粗骨材が骨格で、必要に応じてAE剤、減水剤などの混和剤を使います。
- 水セメント比(W/C):強度と耐久性の基礎。上がるほど密実性が落ちやすい
- 単位水量:増えるほどブリーディング・乾燥収縮のリスクが上がりやすい
- 空気量(AE):凍害やワーカビリティに関係(とくに寒冷期や外部)
- 細骨材率:分離・ポンパビリティ・仕上がりに効く(配筋が密な部材で重要)
単位水量を増やすと起きる問題
コンクリートは、水を増やすと柔らかくなり、打設はしやすくなります。しかし、水を増やすと水セメント比が上がり、内部が粗くなります。その結果、以下のような問題が起きやすくなる点は把握しておきましょう。
・乾燥収縮が大きくなる
・ひび割れが出やすくなる
・表面が粉っぽくなる(表面劣化)
・仕上げにムラが出る
打設直後ではなく、数週間から数か月後に現れることが多く、原因が分かりにくい点が特徴です。施工の問題に見えても、実際には単位水量の増加が影響しているケースもあります。
時間管理と打設計画
生コンクリートは、練り混ぜた瞬間から状態が変わり始めます。そのため、打設までの時間管理が品質に直接影響します。
現場で問題が起きる原因の多くは、材料そのものではなく、搬入の遅れや打設の中断などの段取り不足です。この章では、時間の遅れがどのように品質に影響するのか、防ぐために打設計画で何を決めておくべきかをみていきましょう。
なぜ時間管理が重要か
生コンクリートは、練り混ぜた瞬間から硬化が始まります。そのため、工場出荷から打設完了までの時間管理が必要です。時間がかかりすぎると、次のような問題が起きます。
・スランプが下がり、流動性が落ちる
・締固めがしづらくなる
・打設が中断し、打継ぎが増える
打設が止まるとコールドジョイントの原因になります。見た目では分かりにくく、後から不具合につながることがあります。
現場で水を足して流動性を戻そうとすると、配合が変わります。強度や耐久性に影響するため、現場加水は行いません。
打設計画を先に決める
時間のトラブルを防ぐには、先に打設の流れを決めます。そのうえで、生コンの手配を行います。確認すべき主な項目は以下の通りです。
- 搬入路と待機場所の確保
- ポンプ車の設置位置
- 配管ルートと固定
- 打設の順番と区切り
- 配車の間隔
- 締固め体制(人員、バイブレーターの本数)
現場の準備が不十分であるほど、待機や中断が起き、品質に影響します。
価格相場
生コンの費用は「1m³あたりの単価」だけでは決まりません。現場では、生コンを運んで打って終わりではなく、ポンプ圧送や作業員、待機、打設中断、余りの返送などが必ず絡みます。
つまり、実際のコストは、生コン単価 × 数量 に加えて、打設が終わるまでに発生する費用(時間と手間の費用)で決まります。
単価を少し下げても、待機や中断が出てしまった場合、その増加分で簡単に相殺されます。そのため「単価」より「段取り(止めない・待たせない)」が重要です。
単価が変わる要素(最低限ここは押さえる)
単価が動くのは、工場側の製造条件と運搬条件が変わるからです。現場で押さえるべき要素は次の通りです。
- 呼び強度(例:24、27、30)
強度が上がるほど、セメント量や配合条件が変わり、材料費が上がりやすい - スランプ(例:12、15)
求める作業性が変わると、配合や混和剤の使い方が変わり、コストに反映されやすい - セメント種や指定(普通・高炉など)
指定材料があると、材料単価や配合条件が変わる。現場側の仕様(発注者要求)で単価が変動する - 運搬距離
距離が伸びるほど運搬コストが上がる。配車効率も落ちるので、単価や条件(割増・待機条件)に跳ね返る - 数量(小口かどうか)
少量でもミキサー車は動き、工場は段取りを取る必要がある。固定費の比率が高くなるため、小口は割高になりやすい
ここまでが「生コンそのものの単価」を決める要素です。
見積もりで見落としやすい項目
現場で赤字になりやすいのは、生コン単価よりも「現場側の都合で増える費用」です。
- 小口割増(少量だと上がる)
「数量が少ないことで発生する割増」もある。工程を分けて少量打設を繰り返すと増加する - 待機料(現場都合で待たせると出る)
車両やポンプを待たせると、追加費用が発生する。原因は以下の通り。搬入路が詰まる/誘導がいない/ポンプ位置が決まらない/配管ができていない/受入検査が回っていない。 - ポンプ費(車種、配管長、段取りの難易度)
生コンは通常「打つ」ために圧送が必要。配管が長い、取り回しが悪い、段取りが複雑だと費用が上がる。材料費が安くても全体が高くなる。 - 打設ロス(余り、返送)
数量の読み違い、打設区分の悪さで余りが出ると、返送や処分の手間が生じる。特に少量を扱う現場はコストに対するロス率が上がりやすい - 搬入制約による時間ロス(人件費増、夜間・休日対応)
「時間指定」「夜間」「通行制限」「学校近くで時間が限られる」など、制約があると人と機械が拘束される単価に入らない形で増えることが多く、最終コストを押し上げる
まとめ
生コンクリートは、工場で配合・練り混ぜされたものを現場で施工して性能を成立させるコンクリートです。現場では、水セメント比・単位水量・空気量・細骨材率など配合の数値を理解して扱いうことが重要です。
時間遅れや打設中断はスランプ低下や打継ぎ増加につながるため、搬入動線・配車間隔・締固め体制まで含めて打設計画を先に固めます。コストはm³単価だけでなく、小口割増・待機料・ポンプ費・ロス・搬入制約など「打設完了までの費用」を追加して検討します。
そして、「配合」「受入れ」「施工(打設・養生)」の3点を徹底的にチェックし、記録を残しつつ、原因を切り分けられる体制にすればトラブルとコストを減少させられるでしょう。