大成建設、建設用3DプリンタでRC曲線壁をオンサイト・オフサイト方式で施工実験

大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、生産工程におけるデジタルトランスフォーメーションの取り組みとして、埼玉県に位置する「大成建設グループ次世代技術研究所/幸手」の敷地内に設けられた憩いスペースにおいて、移動式3Dプリンティング技術を活用し、オンサイト・オフサイトプリント方式で製作した3DP埋設型枠を用いて、ベンチやプランターとしても機能する鉄筋コンクリート製の曲線壁を施工しました。

2種類の施工方法による曲線壁の特徴

今回施工された曲線壁は、現場施工型と工場製作型の2パターンで構築されました。現場施工型は、高さ2.2メートル、延長8.5メートルの鉄筋コンクリート構造で、現地で直接3Dプリンタによる施工を行うため、部材を運搬したり架設したりする必要がありません。一方、工場製作型は高さ2.0メートル、延長7.0メートルの規模で、プレキャスト部材として工場で製作した後、現地で組み立てる方式を採用しており、柔軟な組み合わせが可能となっています。

使用される材料にも違いがあり、現場施工型では一般的なセメント系材料を使用していますが、工場製作型では二酸化炭素排出量が実質的にマイナスとなる環境に配慮した材料を採用しています。

デザイン性にも優れた仕上がり

意匠面においても、それぞれ独自の工夫が施されています。現場施工型は、X軸・Y軸・Z軸の3方向に同時に動くノズルを活用することで、斜面や曲面に沿ってプリントを行い、地層が隆起したような動きのある立体的な表現を実現しました。工場製作型は、多数の穴が開いた凹凸のあるデザインによって通風性と採光性を確保し、象徴的な三角形の大きな開口部を設けることで、憩いの場に開放的な雰囲気をもたらす仕上がりとなっています。

現場施工方式における技術的な進歩

現場で直接施工を行う方式では、レールの上を水平方向に移動するロボットアーム型の3Dプリンタを使用し、曲線壁の3DP埋設型枠を製作しました。従来の工法では1か月以上の時間を要していた型枠製作作業を、わずか約16時間で完了することに成功しています。

さらに、レールを延長することで、より大きなサイズの長尺部材の製作にも対応できるようになりました。内部の支保工に工夫を凝らすことで、外部支保工を省略することができ、作業の簡素化も実現しています。

位置精度の向上による作業時間の削減

カメラとマーカを組み合わせたシステムによってロボットの座標を補正する技術を導入したことで、3Dプリンタの設置作業と動作確認を1日以内に完了できるようになりました。曲線壁の3DP埋設型枠の製作における位置精度は、数ミリメートル単位という高い水準を達成しています。

工場製作方式による効率化

工場で事前に製作する方式では、曲線壁を4つのパーツに分割し、それぞれをコの字型に突き合わせて接合する施工方法を採用しました。各部材を突き合わせて接合することにより、横方向からの鉄筋組立作業や内部支保工の設置作業が容易になり、型枠の組立作業はわずか2.5時間で完了しました。これにより、組立期間を大幅に短縮することができました。

今後の展開と目標

大成建設は今後、今回の現場での実証実験による効果を詳しく検証し、3DP埋設型枠の設計や施工におけるバリエーションを増やしていく方針です。さらに実用化に向けた取り組みを推進していきます。

3Dプリンタが持つ特性を最大限に活かした施工計画を立案し、実際の建設現場に適用することで、建設業界全体の生産性を向上させるとともに、二酸化炭素排出量の削減にも貢献していく考えです。建設用3Dプリンタ技術は、人手不足が深刻化する建設業界において、省人化と高効率化を同時に実現する有力な手段として期待されています。

同社は、デジタル技術を活用した生産プロセスの革新を通じて、持続可能な建設業界の実現を目指しており、この取り組みはその重要な一歩となるものです。環境負荷の低減と作業効率の向上を両立させる技術開発を続けることで、建設業界における新たな標準を確立していくことが期待されます。

出典情報

大成建設株式会社リリース,オンサイト・オフサイトプリントによりRC構造の曲線壁を施工-建設用3Dプリンタを用いて省人化・高効率化を実現-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260116_10883.html