大成建設が浮体式仮締切の喫水自動管理を開発、水上工事で遠隔制御により実証確認

大成建設株式会社は2026年1月15日、水上での建設作業における新たな管理システムを開発したと発表しました。このシステムは、河川や湾内で行われる建設工事で使用される喫水の調整を、遠隔操作で自動的に管理できるものです。

開発の背景にある課題

河川や湖沼などの水上で行われる建設工事では、作業エリアに水が入り込まないようにするための設備が必要となります。その中でも、鋼鉄製の箱型構造物を水上で運んで設置する方式は、現場での組み立て作業が不要なため、施工しやすいという利点がありました。

しかし、従来の方法では、設備の沈み具合の調整に多くの手間がかかっていました。喫水は作業員が目で確認し、水の出し入れ量は時間から推測するしかなかったためです。このような状況では、構造物の傾きを即座に把握することが難しく、調整作業に長い時間を要していました。

潜水作業に伴う危険性

さらに深刻だったのは、作業員の安全面での問題です。水の出し入れを調整するバルブを操作するために、潜水士が水中に潜って作業を行う必要がある場合がありました。水中は視界が悪く、流れもあるため、作業環境は非常に厳しいものでした。こうした過酷な条件下での作業は、身体への負担が大きいだけでなく、事故のリスクも高まります。これらのリスクをいかに減らすかが、大きな課題となっていました。

新システムの仕組み

今回開発された「T-Float Controller(仮締切)」は、これらの課題を解決するために作られました。このシステムでは、水深と内部の水位の変化を自動的に測定し、電磁弁という装置を使って水位を自動で調整します。

設備本体に複数の計測機器を取り付け、得られた情報をDX基盤で統合することで、構造物の姿勢を正確に把握できるようになりました。そして、遠隔地からの自動制御が可能になったのです。

実際の現場での検証

このシステムは、岡山県岡山市の「児島湾締切堤防排水樋門改修工事」で実際に使用され、その効果が確認されました。姿勢の制御や、沈めたり浮かせたりする操作を自動で行えることが実証されたのです。

システムの主な機能

新システムには、いくつかの重要な機能が備わっています。

まず、あらかじめ設定した目標の喫水に合わせて、電磁弁が自動的に水の出し入れを行います。稼働中も常に姿勢を監視し続け、一次管理基準値内に収まるよう自動補正を行います。

次に、安全性を高めるための緊急停止機能があります。計測した数値に基づいて自動制御を行うだけでなく、許容範囲を超える傾きを検知した場合には、自動的に緊急停止する仕組みになっています。

また、姿勢の制御精度も大幅に向上しました。従来は時間から推測するしかありませんでしたが、新システムでは実際の計測データと画像を使って状況を可視化し、一元的に管理できるようになりました。これにより、より正確な姿勢制御が実現しています。

作業現場への効果

このシステムの導入によって、さまざまなリスクが軽減されます。姿勢や沈降、浮上を一つのシステムで管理できるため、浅い水域で座礁してしまう危険性や、頭上の空間が限られた狭い場所で周囲の物に接触するリスクを減らすことができます。

さらに、潜水作業の必要性も大幅に削減されるため、作業員の安全性が向上するとともに、作業効率も大きく改善されます。これまで人の手で行っていた危険な作業を、遠隔から安全に管理できるようになったことは、大きな進歩と言えるでしょう。

今後の展開について

大成建設は今後、このシステムを積極的に活用していく方針です。堰や水門、橋梁の耐震補強など、水上で行われる様々な工事やプロジェクトにおいて、この技術の採用を提案していくとしています。

デジタル技術を活用することで、建設工事の生産性と安全性をさらに高めていく取り組みを続けていく考えです。水上工事における作業環境の改善は、建設業界全体の課題でもあります。この新しいシステムが、より安全で効率的な工事の実現に貢献することが期待されています。

出典情報

大成建設株式会社リリース,浮体式仮締切の喫水自動管理システム「T-Float Controller (仮締切)」を開発-姿勢と沈降・浮上を遠隔で一元管理し、作業効率と安全性を大幅に向上-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260115_10877.html