【2026年最新】JASS8とは?防水工事の規格・仕様・工法別ポイントを実務者向けに解説

防水工事の品質トラブルや施工後の漏水事故は、仕様の理解不足によって起こることがあります。このとき、重要な基準となるのが、設計図書や仕様書で頻出する「JASS8」です。
そこでこの記事では、防水工事の基準として広く使われているJASS8について、定義・構成・含水率8%の考え方までを実務者視点で体系的に解説します。
目次
防水工事の基準である「JASS8(ジャス8)」とは何か?
JASS8とは、防水工事に関する設計・施工・材料品質を標準化した、日本で最も信頼性の高い技術基準です。
日本建築学会(AIJ)が制定する「建築工事標準仕様書(JASS)」の第8章にあたり、防水工事に特化した以下の内容を扱っています。
- アスファルト防水(熱工法・常温工法)
- 合成高分子系シート防水(塩ビ系・ゴム系)
- 塗膜防水(ウレタン系・FRP系・ポリマーセメント系)
- シーリング工事(外壁目地・建具周り)
特に、公共建築工事や大規模民間工事では、品質担保と責任区分を明確にするための共通言語としてJASS8が採用されるのが一般的です。国土交通省の公共建築工事標準仕様書でも、JASS規格を参照する形で防水工事の品質管理が求められているため、実務者は確実に内容を理解しておく必要があります。
JASS規格とは?JASS8が特に重要とされる理由
JASS規格とは、建築工事の品質を全国レベルで均一化するための標準仕様です。次のように複数のJASS規格が設けられており、その中でもJASS8は「防水工事」を扱っています。
- JASS1:一般共通事項
- JASS2:仮設工事
- JASS3:土工事・山留工事
- JASS4:杭および基礎工事
- JASS5:鉄筋コンクリート工事
- JASS5N:原子力発電所施設における鉄筋コンクリート工事
- JASS6:鉄骨工事
- JASS7:メーソンリー工事
- JASS8:防水工事
- JASS9以降も複数の規格あり
たとえば防水工事は、完成後に不具合が発覚しやすく、補修には大きなコスト・責任問題・使用制限が伴います。特に高温多湿かつ、集中豪雨などが発生する日本では、確実に対策をしなければならない項目です。
そのため、防水分野を扱うJASS8は、他のJASS章と比べても「厳密な管理」が求められる仕様書となっています。
なお、上記に出てくるJASS5の概要を知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください▼
JASS8の全体構成【最新版ベース】
JASS8は、2022年版が現行基準であり、「工法別」の整理と、その前提となる共通事項がまとめられています。
ここでは、JASS8の全体像を把握できるよう、主要構成を工法別に解説します。
(参考:日本建築学会「(重版出来)建築工事標準仕様書・同解説 JASS8 防水工事(2022)」)
共通事項(下地・試験・施工管理)
JASS8には、防水工法の共通事項として、工法の前段階となる「下地状態」と「施工条件」が記載されています。以下に記載ポイントをまとめました。
- 下地の種類・平滑性・清掃状態
- 含水率の管理(※後述の「含水率8%」)
- 施工時の気温・降雨・結露条件
- 試験施工・検査方法・記録の残し方
防水不良の多くは、防水材そのものではなく、下地処理不足・含水率超過・施工環境の見誤りによって起こります。そのためJASS8では、すべての防水工法に共通する管理項目を最初に定義してあるのです。
後述する工法すべてに関わるため、まずは共通事項の理解からスタートしましょう。
アスファルト防水
アスファルト防水は、アスファルトを主成分とした防水層を複数層重ねて形成する、防水工法の中でも長い歴史と実績のある工法です。主に屋上やバルコニーなどの水平面で採用され、耐久性・防水性能に優れています。
なお、JASS8では、アスファルト防水について工法ごとの材料品質・層構成・施工手順・検査方法が明確に整理されています。下地の状態確認、層の重ね幅、端部や立上り部の納まり、施工時の温度管理など、設計・施工に欠かせない条件がまとめられています。
シート防水(合成高分子系)
シート防水は、合成高分子材料でつくられた防水シートを下地に貼り付けて防水層を形成する工法です。次のシートが代表的であり、施工が比較的早く、品質を均一に保ちやすい点が特徴です。屋上や庇など、広い面積の防水に多く用いられます。
- 塩化ビニル樹脂系
- ゴム系シート
JASS8では、シート防水について材料の種類ごとの性能基準、下地条件、固定方法(接着・機械固定)、端部や立上り部の処理方法などが整理されています。シートの浮きや剥がれを防ぐための施工条件の確認が可能です。
塗膜防水
塗膜防水は、液状の防水材を塗布して硬化させることで、防水層を形成する工法です。次のような複数の系統が用いられており、複雑な形状にも対応できます。主に、改修工事や細部の防水に多く採用されています。
- ウレタンゴム系
- FRP
- ポリマーセメント系
またJASS8では、塗膜防水において下地の乾燥状態や含水率、塗布回数、膜厚管理、養生条件などが重要な管理項目として整理されています。特に施工前の下地確認が不十分な場合、不具合につながりやすいため注意が必要です。
シーリング工事
シーリング工事は、外壁の目地や建具周りなどの隙間にシーリング材を充填し、防水性や気密性を確保する工法です。防水層そのものではありませんが、漏水の起点になりやすい部位を守る重要な工程としてJASS8に記載されています。
なおJASS8では、目地寸法、下地処理、プライマーの使用、施工環境などが整理されています。防水性能を維持するためには、防水工事全体と一体で管理することが求められます。
【最重要】JASS8で定める「含水率8%」とは?
JASS8の中でも、実務者が特に注意すべきなのが「下地の含水率8%以下」という基準です。
結論から言うと、含水率8%とは「見た目が乾いている」状態ではありません。コンクリートやモルタル内部に含まれる水分量を数値で管理し、「防水施工を行っても不具合が起きにくい乾燥状態」を示した数値基準です。
含水率を8%以下にすべき理由は、防水層が水分の逃げ場を塞いでしまうためです。下地内部に水分が多く残った状態で防水材を施工すると、次のような不具合が、施工後しばらくしてから発生します。
- 防水層の膨れ
- 接着不良・剥離
- 早期劣化・漏水
特にウレタン系・ポリマーセメント系などの塗膜防水は、含水率で品質が左右されるため、「高周波式・電気抵抗式などの水分計」などを用い、8%以下であることを記録として残すことが欠かせません。
JASS8は設計図書・仕様書でどう使う?
JASS8は、設計図書や特記仕様書において、防水工事の標準ルールを明示するための一次情報として使われます。
上記の図書などでは、「防水工事はJASS8に準拠する」と記載されるケースがほとんどであり、工法や材料、検査方法の基本方針が統一されています。
また、特記仕様で工法や条件を追加・変更する場合も、JASS8を基準に差分を明確化するのが実務の定石です。判断に迷う場合は、JASS8の最新版(2022)の考え方を整理しておくと安心です。
JASS8の最新版・PDFはどこで確認できる?
JASS8の最新版は、日本建築学会が発行する書籍として入手できます。無料で公開されている資料ではない点に注意してください。
なお、2026年時点の最新版は「2022年2月刊行の第8版」です。日本建築学会の公式サイトでは、目次や序文のPDFプレビューを確認できますが、本文については書籍を購入しなければなりません。
よくある質問(FAQ構造化)
含水率8%はどのくらい乾いている状態ですか?
含水率8%とは、コンクリートやモルタル内部に残る水分が、防水工事を行っても不具合が起きにくいレベルまで低下した状態を指します。表面が乾いて見えるだけでは不十分で、水分計による測定で8%以下を確認する必要があります。特に塗膜防水では、この基準を満たさないと膨れや剥離の原因になります。
防水シートは何年持ちますか?
防水シートの耐用年数は工法や材料、施工品質、環境条件によって異なりますが、一般的には10〜20年程度が目安とされています。JASS8に準拠した材料選定と施工管理を行うことで、想定耐用年数に近づけることが可能です。定期点検と部分補修を行うことで、寿命を延ばすこともできます。
JASS8に法的拘束力はありますか?
JASS8自体は法律ではないため、直接的な法的拘束力はありません。ただし、設計図書や仕様書に「JASS8準拠」と記載された場合、その内容は契約条件の一部となり、実務上は強い拘束力を持ちます。そのため、公共工事や大規模工事では、事実上の業界標準として扱われています。
まとめ
JASS8は、防水工事の品質と安全性を確保するために欠かせない、業界標準の技術基準です。
工法ごとの考え方や含水率8%といった判断基準がまとめられているため、正しく理解することで、施工後の不具合やトラブルを未然に防げます。実務での活用を想定し、書籍を購入したら、事前に設計図書や仕様書での扱い方などを整理しておきましょう。