森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス|レビューを生む隠し部屋型空間設計とは

「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」とは

「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」は、最新のデジタル技術と空間演出によって、来場者が作品の中に入り込む「没入型アート体験」を生み出す次世代美術館です。2018年に東京・台場で開館したのち、2024年2月に森ビルが手がける麻布台ヒルズに移転オープンしました。

2025年2月のオープン1周年で来場者155万人を達成し、世界130以上の国や地域から人々が訪れる施設となっています。本記事では、チームラボボーダレスの魅力や見どころを、建築構造や空間設計の視点から解説します。

森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス|建物設計のポイント

出典:PR TIMES,「森ビル デジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」オープン日は2024年2月9日(金)に決定!チケットは1月16日(火)より発売。,
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000048109.html,参照日2025.1.22

森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレスは、森ビルとアート集団「チームラボ」、さらにエプソンなどの企業が連携して実現された施設です。チームラボボーダレスでは、来場者と作品が一体となり、同じ作品を二度と見ることができない没入型アート体験が提供されています。

こうした体験価値を支えるために、建物そのものにも多くの工夫が施されています。ここからは、建物設計のポイントを見ていきましょう。

所在地・アクセス・駐車場

出典:PR TIMES,「森ビル デジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」オープン日は2024年2月9日(金)に決定!チケットは1月16日(火)より発売。,
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000048109.html,参照日2025.1.22

所在地とアクセスは、以下の通りです。

  • 所在地:麻布台ヒルズ ガーデンプラザB B1(東京都港区麻布台 1-2-4)
  • アクセス:東京メトロ日比谷線 神谷町駅 5番出口から地下通路で徒歩2分
  • 駐車場:麻布台ヒルズ P6駐車場が利用可(DエレベーターでB1へ上がり左手が入口)
  • 当日券:現地または公式チケットサイトから購入可能

チームラボボーダレスは、麻布台ヒルズの東部に位置する商業ビル「ガーデンプラザB」の地下1階です。隣接するガーデンプラザAの地下には多様な文化を発信する「麻布台ヒルズギャラリー」があり、さらに街の各所に設置されているパブリックアートとも自然につながっています。

こうした配置計画により、ミュージアム単体だけではなく、街全体で芸術と文化を体験できる空間構成が意識されています。

設計・ゼネコン

設計・施工の詳細は、以下の通りです。

  • 設計・施工:大林組
  • 内装:丹青社
  • PM/CM業務:山下PMC

多くの建設プロジェクトとは異なり、PM/CM事業を展開する山下PMCが参加している点が特徴的です。これまでにない体験型のミュージアムを実現するため、PM/CM業務として、建設業者、内装業者、さらにエプソンなどのデジタル技術提供業者をつなぐ役割を担っています。

チームラボボーダレスの見どころを支える空間設計

チームラボボーダレスは、最新のデジタル技術と空間構成を融合させることにより、オープン1周年で来場者155万人という驚異的な数字を達成しています。

ここからは、チームラボボーダレスの商業的成功を支えた空間設計のポイントを見ていきましょう。

隠し部屋要素でリピーターを狙うフロア構成

出典:PR TIMES,「森ビル デジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」オープン日は2024年2月9日(金)に決定!チケットは1月16日(火)より発売。,
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000048109.html,参照日2025.1.22

チームラボボーダレスには、「隠し部屋がある」とSNSで話題になっています。といっても、実際に閉ざされた展示室があるわけではありません。

チームラボボーダレスのコンセプトは「地図のない美術館」であり、くわしい展示マップがない美術館です。その中で、さまざまなフロアを探検するように発見していく体験が、まるで隠し部屋があるように感じられる仕掛けになっています。

写真撮影は基本的に可能です。いわゆる「インスタ映え」が確実な写真が撮影できること、隠し部屋などの人気タグでSNSでの注目を期待できることから、多くのリピーターを生む空間構成となっており、回遊性と滞在時間の両立を実現する設計となっています。

所要時間が伸びるアートの仕掛け

出典:PR TIMES,「森ビル デジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」オープン日は2024年2月9日(金)に決定!チケットは1月16日(火)より発売。,
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000048109.html,参照日2025.1.22

チームラボボーダレスの所要時間は、およそ2~4時間と、美術館にしては比較的長く予想されています。その理由は、デジタル技術を駆使したリアルタイム生成のアートによる仕掛けです。

チームラボボーダレスの展示内容は、参加企業であるエプソンのプロジェクターと、高性能パソコンによるデジタルアート作品です。これらのアート作品は、リアルタイムで生成を続けているため、二度と同じデザインを繰り返すことはありません。

作品と作品には境界がなく、常に混じり合い、状態を変化させていきます。さらに、来場者の動きに合わせて足元に花を咲かせたり、光を集めるなどの展示の変化が生まれます。

観賞中も次々と変化する展示に、来場者は「二度とない瞬間を見逃したくない」と長時間滞在しやすくなります。このような展示と空間構成の工夫が、所要時間の増加につながり、施設全体の体験価値向上に寄与しています。

チームラボ スケッチファクトリーで見込める回遊性の向上

出典:PR TIMES,「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」 開館 8 ヶ月で来場者 100 万人を達成!,https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000207.000048109.html,参照日2025.1.22

チームラボボーダレス本館とともに、来場者を惹きつけているのが「チームラボ スケッチファクトリー」です。スケッチファクトリーは、本館から外に出て徒歩1分ほどの「麻布台ヒルズ ガーデンプラザ A B1」にあるグッズショップで、館内で撮影・作成した画像をプリントしてオリジナルグッズを作ることができます。

こうした体験型のショップは、グッズの種類や作成方法を理解した後の再入場を自然と後押しすることになり、回遊性の向上を促す工夫となっています。

さらに、オリジナルグッズはインスタなどの画像をメインとしたSNSでのレビューや、口コミ効果も期待できます。スケッチファクトリーを本館の外に設けることで、本館の混雑の緩和にも貢献し、世界中からの集客効果を高める結果が生まれています。

まとめ

チームラボボーダレスは、外国人観光客から「ここに来るために日本を選んだ」と評価されるなど、日本を代表する観光施設になりつつあります。その成功を支えているのが、滞在時間の向上を促す没入型アート体験と、回遊性を高めながら混雑緩和にも配慮した空間構成です。

すべてにおいて前例のない美術館は、ゼネコンのみならず、PM/CM事業者を含む複数の専門事業者の連携によって実現しています。本事例は、今後の大型建築プロジェクトにおける新たな協業モデルとしても、重要な示唆を与える事例といえるでしょう。