【2026年最新】建設業法違反の完全ガイド|事例一覧・罰則・通報先まで徹底解説

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Category:コラム建築
Tag:建築

著者:上野 海

建設業法違反は、無許可営業・丸投げ・技術者不在・下請代金トラブルなど、日常の取引の中で「知らないうち」に起きやすいリスクです。違反すると営業停止や許可取消、さらには刑事罰まで発展し、会社の信用や資金繰りに大きな打撃を与えます。

違反罰則の目安行政
無許可営業3年以下/300万取消相当(情状で停止)
丸投げ原則15日以上停止
技術者不在原則15日以上停止
虚偽申請15~45日以上停止

そこでこの記事では、2026年最新の制度をもとに、よくある違反事例・罰則・通報方法をわかりやすく紹介します。

建設業法違反とは?

建設業法違反とは、建設業法が定める許可・契約・施工管理・下請保護などのルールに反する行為のことです。行政処分や刑事罰の対象になる重大な法令違反になります。

特に建設工事は金額が大きく、多くの下請や労働者が関わるため、取引の公正性と安全確保を守らなければなりません。

そこで建設業法では、許可制度・技術者配置・契約書面・代金支払などの基準を細かく定め、違反した事業者には指示・営業停止・許可取消といった監督処分を科しています。

そのため、建設工事業者は「知らなかった」では許されません。

なお建設業法の概要からチェックしたい方は、以下の記事がおすすめです▼

建設業法違反の一覧|よくあるNG行為を事例つきで解説

建設業法違反は大きく「許可・契約・技術者・下請保護・行政協力」の5領域に分類されます。

本項では、令和7年の改正基準にもとづき、よくあるNG行為を事例つきで解説します。

※本項で紹介する違反一覧はあくまで目安です。例外条件などについては、国土交通省の基準をチェックしてください。

無許可営業(500万円ルール違反)

許可を持たない事業者が、税込500万円(建築一式1,500万円)以上の工事を請け負うと建設業法違反になります。

また、建設業許可の有効期限が切れている期間に受注した場合も違反に該当します。

建設業法に定められている金額条件や受注条件を満たすためにも、進行中案件の契約額合算表を作成し、500万円超の有無をすぐに点検しましょう。

500万円ルールについて詳しく知りたい方は、以下の記事もおすすめです▼

一括下請負(丸投げ)

元請が施工管理・品質管理に実質関与せず、工事を他社に一括委託すると違反です。以下に、具体事例を整理しました。

  • 元請は書類作成のみで、工程・安全管理を下請に任せきりにする
  • 現場代理人が月1回のみ巡回、実質管理は下請任せにする

なお改正基準では、原則15日以上の営業停止の対象となります。違反しないためにも、現場日報に「元請の管理行為」を必ず残しましょう。

主任技術者・監理技術者の未設置

工事現場に法定資格を満たす技術者を配置しない場合、違反となり原則15日以上の営業停止を受けます。

故意でなくとも見落としでトラブルに発展する場合もあるため、配置予定表のダブルチェックを行うとともに、資格証・実務証明の原本確認を行いましょう。

虚偽申請・名義貸し

許可申請や入札資料に事実と異なる内容を記載すると違反で、15〜45日以上の営業停止となります。

たとえば、「架空の下請実績を計上し経審点を上乗せする」といった行為はNGです。経審・入札資料は作成者と確認者を分離して対応しましょう。

下請代金の支払遅延・減額

下請代金の不当減額・長期手形・支払遅延は建設業法違反で、指示処分から営業停止へ発展します。

確実に代金を支払うのはもちろん、理由のない減額をしないためにも、支払条件を書面化し、追加工事は即時契約を進めるようにしましょう。

見積条件の不明確・書面未交付

契約内容を書面で交付しない、条件が不明確なまま着工すると違反です。

たとえば、口頭発注や変更契約未締結は違反の代表例です。契約を中途半端にしないためにも、着工前に必ず契約書面を確認しましょう。

許可票の掲示義務違反

現場に許可票を掲示しない・内容誤記は違反です。

特に多いのが、更新後も旧番号のままにしているケースです。また、対応を忘れて仮設事務所に未掲示にする場合もあるため、ミスをしないためにも、初日点検に掲示確認を行いましょう。

立入検査拒否・虚偽報告

行政調査への拒否・虚偽説明は加重要素となり、直接営業停止の可能性があります。

これは事実の隠ぺいなどにもつながる行為であるため、絶対にしてはいけません。作業員によるトラブルを避けるためにも、調査対応フローを社内共有しておきましょう。

建設業法違反の罰則

建設業法違反の罰則は、行政処分と刑事罰の2本柱で成り立っています。

令和7年改正の監督処分基準では、違反の内容・程度・社会的影響を総合判断し、指示→営業停止→許可取消へ段階的に重くなる仕組みが明確化されました。(実務ではいきなり停止・取消も可能)

ここからは、処分の違いと実務上の分岐点を解説します。

行政処分と刑事罰の違い

行政処分は「事業活動の是正・停止」を目的とする行政措置、刑事罰は「違反行為への制裁」であり、性質も手続きも結果もまったく別です。

比較項目行政処分刑事罰
目的違反状態の是正・再発防止違反行為への制裁
判断主体国土交通大臣・都道府県知事裁判所
対象事業者(法人)法人+個人(代表者・担当者)
主な内容指示・営業停止・許可取消懲役・罰金・過料
併科可能可能
影響入札停止・信用失墜前科・個人責任
基準監督処分基準で日数明確刑法・建設業法の法定刑
時効の扱い原則3年以内調査刑事時効による

なお、多くのケースで行政処分+刑事罰が同時に併科されます。違反疑いが出た時点で、是正計画を作成し行政へ早期報告しましょう。

行政処分3段階

行政処分は、以下の3段階で重くなります。

  1. 指示処分
  2. 営業停止処分
  3. 許可取消処分

指示処分は是正命令や再発防止体制の整備が中心で、従わない場合は機動的に営業停止へ移行します。

営業停止は原則7日以上、丸投げや虚偽申請など悪質な場合は15~45日以上となり、停止期間中は新規契約や入札ができません。

許可取消は、情状が特に重い場合や停止命令違反があった場合に適用され、事業継続が事実上不可能になります。

刑事罰のライン

建設業法違反の刑事罰は、無許可営業が重く「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」です。

また、虚偽申請は6か月以下の懲役または100万円以下の罰金、許可票掲示違反は10万円以下の過料が基本となります。立入検査の拒否・虚偽報告も処罰対象となり、行政処分と併科されるケースが多くあります。

元請・下請別|違反しない社内チェックリスト

建設業法違反の多くは「悪意」よりも社内ルールの不備から起こります。

以下に整理した元請・下請別のチェックリストを運用し、建設業法違反を回避しましょう。

元請向け10項目

元請は、施工管理の主体者として、契約・技術者・下請保護の3点を確実に実施しないと違反になります。

No確認項目OK基準関連違反
1施工体制台帳実態と完全一致一括下請
2体系図掲示現場掲示・更新虚偽表示
3技術者専任兼任なし26条違反
4一括下請審査元請関与の記録丸投げ
5変更契約着工前書面19条違反
6下請代金60日以内不当遅延
7減額禁止一方的控除なし下請保護
8許可票最新掲示40条
9見積条件明確化書面義務
10500万円確認合算管理無許可

下請向け8項目

下請は、契約の適法性と記録を守れないと、元請と連帯で処分されます。

No確認項目OK基準関連違反
1契約書面着工前受領19条違反
2追加工事覚書締結口頭発注
3支払条件60日以内遅延
4技術者記録配置日報専任
5再下請承諾書22条違反
6相手許可有効確認無許可
7台帳提出期限内体制台帳
8資料保存5年保管検査対応

もし違反してしまった場合の対応手順

建設業法違反が疑われる場合は、以下の順で動くことが重要です。

  1. 事実確認
  2. 自主是正
  3. 行政への報告

令和7年の監督処分基準では、是正への誠実な対応が「情状」として評価され、処分の減軽につながると明示されています。

まず契約書・施工体制台帳・技術者配置記録を点検し、違反の範囲と原因を特定してください。そのうえで支払是正や契約の再締結、技術者の交代などの具体的な是正計画を作成します。行政調査が入った場合は虚偽説明を避け、資料を整えて誠実に対応することが最優先です。

悪質と判断されると直接営業停止に発展するため、自己判断での放置は禁物です。まずは関係書類を1か所に集約し、専門家と一緒に是正計画を作成しましょう。

建設業法違反を見つけたときの通報マニュアル

逆に違反を見つけた場合の対応としては、感情的に動くのではなく「通報先・証拠・身元保護」を押さえた手順で進めることが重要です。

通報先一覧

建設業法違反の通報先は、違反内容と工事の性質で窓口が変わります。

  • 国土交通省地方整備局(建政部)
    →許可・技術者・一括下請など建設業法全般
  • 都道府県建設業課
    →知事許可業者の違反、地域工事
  • 公正取引委員会
    →下請代金の不当減額・優越的地位の濫用
  • 労働基準監督署
    →労災・労働安全衛生法違反
  • 発注機関のコンプライアンス窓口
    →公共工事の不正

まずは「許可行政庁(国土交通省地方整備局)」に相談するのが基本です。複合違反の場合は併行通報が有効です。工事名・業者名・発生時期を整理し、最寄りの建設業課へ相談窓口を予約してください。

必要な証拠

通報の結果は、「客観的な資料」で変化します。口頭での説明だけでは調査が進まないため、以下の証拠を準備しましょう。

  • 請負契約書・注文書・見積書
  • 施工体制台帳・再下請通知書
  • 支払明細・請求書・振込記録
  • 技術者の配置表・資格証写し
  • メール・録音・写真(工事看板・作業状況)

なお調査を進めやすいように、日時・場所・発言者をセットで残しましょう。ちなみに、違法性の判断は行政が行うため、評価コメントは不要です。

匿名通報の可否

建設業法の通報は匿名でも可能ですが、事実確認のため連絡先を求められる場合があります。

匿名の場合は調査範囲が限定され、処分に至らないケースもあります。公益通報者保護法により、実名でも不利益取扱いの禁止が守られるため、外部に漏れる心配はありません。

建設業法違反Q&A

建設工事の中抜きは違法ですか?

単なる利益の「中抜き」自体は直ちに違法ではありません。ただし、実質的に一括下請負(丸投げ)となる場合は建設業法22条違反です。元請が施工管理を行わず、下請が工事全体を支配している、契約上の責任を負っていない場合はアウトになります。

建設業法違反と建築基準法違反との違いは何ですか?

建設業法は「事業者の営業ルール(許可・技術者・下請取引)」を規制し、建築基準法は「建物の安全・品質基準」を定めます。無許可営業や一括下請は建設業法、違法増築・耐震基準不適合は建築基準法の問題です。1つの工事で両方に抵触し、処分が併科されるケースもあります。

建設業法違反は何年で時効ですか?

行政処分は違反から原則として過去3年分を中心に調査されます(監督処分基準)。刑事罰は罪名で異なり、無許可営業など懲役3年以下の罪は公訴時効3年が一般的です。ただし虚偽申請の影響が継続する場合は起算が後ろにずれ、時効完成しないこともあります。

まとめ

建設業法違反は「知らなかった」では済まされず、営業停止・許可取消・刑事罰まで発展する重大リスクです。

特に無許可営業、丸投げ、技術者未設置、下請代金トラブルは処分事例が多く、社内ルールの未整備が原因になりやすい領域です。まずは本記事のチェックリストで自社状況を点検し、書面・体制・支払の3点を見直してください。