建築における「GL」とは?土木との違いやFL・平均GL・GL工法まで必須用語を徹底解説

建築図面に必ず出てくる「GL(グランドレベル)」ですが、どのように設定するのかわからない、FLとの違いがわからない、GL±0の意味が曖昧、設計GLと現況GLの区別がつかないと悩む方も多いでしょう。
もしGLの設定を間違えると、雨水トラブルや建築確認のNGにつながることもあります。
そこでこの記事では、建築実務で本当に必要なGLの考え方を、土木との違い・平均GL・GL工法まで含めて、初心者にも現場担当者にもわかりやすく解説します。
目次
建築用語のGLとは何か?
建築におけるGLとは、建物の高さ・基礎・床・排水計画の基準になる「地盤の高さ」を意味する用語です。
設計図では「GL±0」などの形で表記され、すべての寸法の起点となります。GLを誤って設定すると、建築基準法上の高さ計算や雨水処理に直接影響し、後から修正できない致命的なミスになるため、設計段階から非常に慎重に決める必要があります。
GLは「Ground Level(グランドレベル)」の略
建築で使われるGLは、Ground Level(グランドレベル:地盤面の高さ)の略で、建物の高さを表す基準として用いられます。
国土交通省が定める建築基準法および建築基準法施行令では、建物の高さや階数、斜線制限、容積率などを「地盤面」から測ることになっており、その基準がGLになります。設計図ではこのGLを基準にして、以下を決定していくのが基本です。
- 基礎の深さ
- 1階床の高さ(FL)
- 軒や建物の高さ
たとえば「1FL=GL+450」と書かれていれば、1階の床は地盤から450mm上にある設計という意味です。この基準がズレると、排水不良・玄関段差・高さ制限違反などの問題が起きます。
なお、建築基準法施行令の概要からチェックしたい方は、以下の記事をご参考ください▼
建築と土木のGLの違い
建築のGLと土木のGLは、同じ「地盤高さ」でも目的が次のように違います。
| 分野 | GLの意味 |
| 建築 | 建物高さ・階高・基礎の基準 |
| 土木 | 道路・造成・排水の高さ管理 |
つまり、建築のGLは「建物の高さ・法規の基準」ですが、土木のGLは「造成・道路・排水の勾配管理」が主目的です。設計対象によって基準となる高さが異なる点に注意しましょう。
GLはどこを基準にして決める?
GL(グランドレベル)は適当に決めてよい数値ではなく、建物と関係のある以下の要素をすべて考慮し、設定しなければなりません。
- 道路
- 排水
- 法規
- 生活動線
たとえば、道路より敷地が30cm低い土地に住宅を建てる場合、そのままの高さ(現況GL)で建物を建てると、雨がすべて敷地側に流れ込みます。そのため、敷地内の排水ができる道路GL+100〜300mmの高さを設計GLに設定する場合もあります。
近年では、豪雨災害が頻発しているため、雨水対策や浸水リスクへの配慮が強く求められており、GL設定が建物の安全性と資産価値を維持する重要なポイントです。
現況GL・設計GL・平均GLの違い
GLと一口に言っても、実務では「現況GL」「設計GL」「平均GL」の3種類を使い分けます。
| 項目 | 現況GL | 設計GL | 平均GL |
| 意味 | 工事前の現在の地盤高さ | 造成・整地後の計画地盤 | 法規上の地盤の平均値 |
| いつ使うか | 調査・測量時 | 設計・施工時 | 建築確認・高さ計算 |
| 誰が使うか | 測量士・設計者 | 設計者・施工者 | 確認検査機関 |
| 主な目的 | 現地の実態を把握 | 建物を建てる基準 | 建物の高さ制限を決める |
| 建築基準法との関係 | 直接の規制なし | 間接的に影響 | 高さ制限の公式基準 |
| 間違えると | 盛土量・造成が狂う | 排水・基礎が狂う | 違法建築になる |
つまり、現況GLは「今の地面」、設計GLは「完成後の地面」、平均GLは「法律で使う地面」です。これを混同すると、設計図は正しくても建築確認が通らない、という致命的な事態になります。
GLとFLの違い
建築ではGLだけではなく、FLという用語を用いながら高さを設定するケースもあります。
| 項目 | GL(Ground Level) | FL(Floor Level) |
| 意味 | 建物の基準となる地盤の高さ | 床仕上げ面の高さ |
| 何を示すか | 土・地面の高さ | 室内の床の高さ |
| 法規との関係 | 建築基準法の高さ測定基準 | 法規の直接対象外 |
| 施工での役割 | 基礎・排水・高さ制限の基準 | 仕上げ・段差・バリアフリー |
| 図面表記 | GL±0、GL+100など | FL+450、1FLなど |
| ずれると起きる問題 | 雨水逆流・違法建築 | 段差・床高さミス |
つまり、GLは「建物の外の高さ」、FLは「建物の中の床の高さ」です。建築基準法では、建物の高さや階数はGL(地盤面)から測ると定められています。一方、FLは室内設計の基準であり、GLよりどれだけ上に床を持ち上げるかを示す数値です。
GLとFLの違いを曖昧にしたまま設計や見積を進めると、床の高さが合わない・段差が増える・排水計画が破綻するといったトラブルが起きるため、正しい高さの基準を理解しておく必要があります。
GLレベルの出し方(現場実務のポイント)
GLは図面上の数値だけでなく、現場で正確に「再現」できて初めて意味を持つ基準値です。レベル出しを間違えると、基礎の高さ・床の高さ・排水勾配がすべてズレてしまい、後戻りできない施工ミスになります。
ここでは、GLレベルの出し方をわかりやすくまとめました。
BM(ベンチマーク)からGLを出す方法
GLは、BM(ベンチマーク)と呼ばれる動かない基準点から算出します。
BMとは、国や自治体が管理するマンホール・側溝・境界杭などの高さが確定している点です。ここを基準にしないと、工事途中で基準がズレてしまい、すべての高さが狂うため、以下の手順で正しいGLを算出しましょう。
- 現場近くのBMを確認
- BMの標高を把握
- レベルで敷地に転写(写し取る)
- 設計GLとの差を算出
たとえば、BMが標高10.000m、設計GLが9.700mなら、GLはBMより300mm低い位置になります。
レーザー・レベルを使ったGL設定
現場では、レーザーやレベルを使ってGLを正確に再現します。以下に、使い方の手順をまとめました。
- レーザーをBM高さに設定
- 設計GL分だけ上下調整
- GLラインを基礎周囲にマーキング
- 捨てコン・基礎天端の基準にする
レーザーは、昔の水準器よりも誤差が少なく、広い現場でも同一高さを瞬時に共有できるため、基礎工事では必須の機器になっています。
GL設定を間違えると起きるトラブル
GLの設定を誤ると、建物完成後に取り返しがつかないトラブルに直結します。
排水不良や法規違反、生活のしにくさなど、見えないコストが何十年も続くため、ここでは、GLが高すぎた場合、低すぎた場合に発生するトラブルをまとめました。
GLが高すぎる場合
GLを高く設定しすぎると、生活動線と外構に大きな無駄が生まれます。
| 問題 | 影響 |
| 玄関の高さ | 階段が増える |
| 駐車場勾配 | 車底を擦る |
| 外構 | 擁壁・土留めが必要 |
GLが高すぎると、道路と建物の高低差が大きくなり、玄関階段やスロープが増えます。この影響で、外構費用が増大し、将来的なバリアフリー対応も難しくなる恐れがあります。
GLは「高いほど安全」ではなく、高すぎると生活の質を下げるため、必要最小限の高さに抑えることが重要です。
GLが低すぎる場合
GLが低すぎると、雨水・浸水・湿気トラブルが常態化します。
| 問題 | 影響 |
| 雨水流入 | 床下浸水 |
| 湿気 | カビ・腐食 |
| 排水不良 | 臭気・害虫 |
国土交通省の「内水浸水対策に関するガイドライン」では、建物は周囲より高い位置に設けることが推奨されています。GLが低いと、雨水が建物側に集まり、床下浸水・カビ・シロアリの原因になるため、敷地内に水が流れ込まない高さに設定することが重要です。
まとめ
建築におけるGLは、建物の高さ・基礎・排水・法規制すべての起点となる「地盤の基準高さ」です。現況GL・設計GL・平均GLを正しく理解し、FLや造成計画と連動させて設定しなければ、浸水や違法建築といった重大なリスクが生じます。
また、内装のGL工法(GLボード)は地盤のGLとは別物である点も重要です。図面や見積書にGLが出てきたら、意味を曖昧にせず確認しましょう。