【2026年最新版】アスベスト工事とは?届出・資格・レベル1~3・補助金まで「違反しない」完全ガイド

建物の解体やリフォームを検討している方のなかには、「この工事はアスベスト対応(調査・除去工事)が必要なのか?」と不安を感じている方も多いでしょう。
2023年10月の法改正により、アスベスト(石綿)事前調査と行政への報告が原則義務化され、知らずに工事を進めると罰則の対象になるケースも増えています。
そこで本記事では、アスベスト工事の正しい定義・届出条件・レベル区分・費用・補助金までを、施主・工事業者のそれぞれの視点でわかりやすく解説します。
目次
アスベスト工事(除去工事)とは?法律上の定義
アスベスト工事とは、石綿(アスベスト)を含む建材を解体・改修・除去する際に、飛散防止措置を講じて行う工事のことです。アスベスト除去工事とも呼ばれており、アスベストが用いられている建物に限定して実施される工事です。
アスベストは吸引により中皮腫や肺がんを引き起こすことが知られており、国は労働者・周辺住民の健康を守るため、大気汚染防止法・石綿障害予防規則などで厳格な規制を設けています。厚生労働省の「石綿総合情報ポータル」によれば、解体・改修工事の前には必ず石綿含有の有無を確認し、含有していれば飛散防止措置を講じなければなりません。
たとえば、古い建物の次のような場所には、アスベストが含まれている可能性があります。
- 屋根材(スレート)
- 天井の吹付材
- 配管の保温材
これらを通常の解体工事のように壊すと、目に見えない石綿繊維が空気中に飛散し、作業員や近隣住民が吸い込む危険があります。そのため、ビニールシートによる「隔離養生」や保水して工事を行う「湿潤化」など、特別な措置が必要になります。
なお、アスベスト自体の特徴や危険性を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください▼
アスベスト工事レベル1・2・3の違い
アスベスト工事は、建材の飛散リスクに応じてレベル1・2・3に分類され、レベルが高いほど届出・隔離・費用・工期が厳しくなります。
参考として以下に、厚生労働省および環境省が公開している、アスベストの飛散性(どれだけ空気中に飛びやすいか)の危険度をレベルごとに整理しました。
| レベル | 飛散性 | 主な建材例 | 主な場所 | 規制 |
| レベル1 | 非常に高い | 吹付けアスベスト | 天井・耐火被覆 | 最も厳しい |
| レベル2 | 高い | 保温材・断熱材 | 配管・ボイラー | 厳しい |
| レベル3 | 比較的低い | スレート・外壁・屋根 | 戸建・倉庫 | 条件付き |
参考:環境省「大気汚染防止法が改正されました」
多くの戸建てや倉庫が該当するのは、レベル3(スレート・波板)です。しかし「レベル3=自由に壊してOK」ではありません。湿潤化・手壊し・飛散防止措置が義務であるため、違反すれば書類送検の対象になります。
どのレベルに該当するかで、工事方法も費用も法的義務もまったく変わるため、解体業者などを通じた調査と事前判定が必須です。
【施主も必見】アスベスト調査をせずに工事するとどうなる?
アスベストの事前調査をせずに解体・改修工事を行うと、法律違反となり、工事停止・是正命令・罰金や書類送検の対象になります。
2023年10月の法改正により、原則すべての解体・改修工事で、有資格者による石綿含有の事前調査と、その結果の行政報告が義務化されました(大気汚染防止法・石綿障害予防規則)。そのため調査をせずに工事をスタートすると、次のような違反に該当する恐れがあります。
| よくある違反 | 問題になるポイント |
| 調査をしないまま解体する | 事前調査義務違反 |
| 無資格者が調査する | 調査自体が無効 |
| 結果を報告しない | 行政報告義務違反 |
| レベル3だから届出しない | 作業基準違反 |
厚生労働省の通達では、元請業者・施主(発注者)も責任主体とされています。つまり「業者が勝手にやった」では済まず、建物オーナーも行政指導の対象になります。
なお、アスベストの事前調査の詳しい情報は、以下の記事をご覧ください▼
アスベスト工事の届出が必要になる条件
アスベスト工事では、すべての工事で届出が必要なわけではありませんが、一定規模以上または高リスク建材(レベル1・2)を扱う場合は行政への届出が義務になります。以下に、届出が必要になる主なケースをまとめました。
| 区分 | 届出が必要になる条件 |
| 建材 | レベル1・レベル2のアスベストを扱う |
| 規模(解体) | 延べ床面積80㎡以上 |
| 規模(改修) | 請負金額100万円以上 |
| 作業 | 切断・破砕・研磨など飛散性が高い作業 |
出典:厚生労働省「解体・改修・各種設備工事を行う施工業者の皆さまへ(リーフレット)」
一方で、レベル3かつ小規模な作業であれば、届出は不要な場合もあります。ただしその場合でも、事前調査と作業基準の遵守は必須です。「レベル3だから調査しなくていい」「届出しないことは違法ではない」というのは誤りであるため、注意しましょう。
アスベスト事前調査の義務と「不要なケース」
アスベスト事前調査は、原則すべての解体・改修工事で義務ですが、新築工事や構造に触れない軽微な工事など、一部に「対象外」も存在します。
ここでは、事前調査が必要な工事と不要な工事を紹介します。
事前調査が必要な工事
建物や設備に手を加える工事のほぼすべてが、事前調査の対象です。
| 工事の種類 | 調査の要否 (目安) |
| 建物の解体 | 必須 |
| リフォーム(内装撤去) | 必須 |
| 屋根・外壁の張替え | 必須 |
| 設備更新(配管・ダクト) | 必須 |
| 耐震補強 | 必須 |
※あくまで目安です。必ず有資格の調査者または解体業者に確認しましょう。
アスベストは、壁・天井・床・屋根・配管の中など、目に見えない場所に使われているため、「解体や改修で触る可能性がある=調査対象」とされています。「壊す・剥がす・切る」作業があるなら、原則すべて調査対象です。
アスベスト事前調査が不要な工事
建材に一切触れない工事は、事前調査の対象外となります。
| 工事内容 | 調査の要否 (目安) |
| 新築工事 | 不要 |
| 既存建物の清掃 | 不要 |
| 機器の入れ替え(穴あけなし) | 不要 |
| 塗装のみ | 不要 |
| 家具・設備の設置 | 不要 |
※あくまで目安です。必ず解体業者等に確認しましょう
アスベストが飛散するのは「建材を壊したとき」だけであり、建物の構造や仕上げに触れない作業ではリスクがないため届出が不要な場合もあります。ただし、「壁に穴を開ける」「天井を開口する」などが含まれると、調査対象に変わるため注意が必要です。
アスベスト工事の全体フロー(2023年10月以降)
現在のアスベスト工事は、「調査→報告→計画→除去→廃棄→完了確認」という法律で定められたフローで進めなければなりません。
- 有資格者による事前調査
- 調査結果の行政報告(該当する場合)
- レベル判定(1~3)
- 作業計画の作成
- 飛散防止措置を講じた除去工事
- 特別管理産業廃棄物として処理
- 取り残しの確認・完了検査
アスベスト工事は「解体工事の一部」ではなく、独立した管理型工事として進める必要があります。
各ステップを飛ばすと、元請・施主・下請すべてが違反対象になります。このフローのどこかが欠けると、補助金も使えず、是正命令の対象になるため注意してください。
失敗しないアスベスト工事の進め方(施主向け)
施主がアスベスト工事で失敗しないためには、「調査→工事→廃棄」を分断せず、一貫して管理することが重要です。
たとえば、調査会社と解体業者が別だと、「調査はOK、でも工事が違反」「届出漏れ」といったトラブルが起こりやすくなります。そのため施主は、以下の項目をワンストップで管理できる業者に依頼するのが安全です。
- 有資格者が調査しているか
- 行政に報告済みか
- レベルに合った工法か
- 廃棄物のマニフェストが出るか
また「一番安い業者」ではなく、「法令を一括で担保できる業者」を選ぶことが結果的に費用対効果を生み出しやすくなります。少なくとも3社ほど比較したうえで依頼先を決めるのが良いでしょう。
アスベスト工事に必要な資格
アスベスト工事は、誰でもできる工事ではなく、事前調査と除去作業のそれぞれに法定資格が必要です。
以下に、事前調査と除去工事で必要となる資格をまとめました。
事前調査に必要な資格
2023年10月以降、アスベスト事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」などの有資格者でなければ実施できません。
建築物石綿含有建材調査者は、「建築物石綿含有建材調査者講習」を修了した者のみが認定される資格であり、設計図書の読み取り・現地目視・サンプリング判断までを行える専門家です。
この資格者の署名がない調査結果は、行政報告に使えないため、実績の少ない業者へ依頼する際には、資格の事前確認が必須です。
除去工事に必要な資格
アスベスト除去工事では、石綿作業主任者の配置と、作業員への特別教育が必須です。
| 役割 | 要件 |
| 作業主任者 | 石綿作業主任者技能講習修了 |
| 作業員 | 石綿取扱い特別教育 |
| 管理 | 作業計画書の作成・保管 |
飛散リスクのある作業を安全に行うため、厚生労働省が定める管理責任者と教育制度が設けられています。資格がない業者は、保険・補助金・行政対応すべてで不利になるため、依頼前に、問い合わせなどで資格の有無を確認しておきましょう。
アスベスト工事の費用
アスベスト工事の費用は、建材のレベル・面積・作業方法によって大きく変わり、数万円〜数百万円以上まで幅があります。以下に、内容ごとの費用の目安をまとめました。
| 内容 | 費用目安 |
| 事前調査 | 3〜10万円 |
| レベル3(スレート屋根など) | 5〜30万円 |
| レベル2(配管保温材) | 30〜150万円 |
| レベル1(吹付け) | 100〜500万円以上 |
あくまで目安ですが、一般的な戸建住宅のレベル3工事では、30万円前後で収まるケースも多く見られます。対して、レベル1・2では、隔離養生・負圧管理・専門装備が必須となるため、工事費が跳ね上がります。
費用の差は、単なる「撤去量」ではなく、飛散防止措置の厳しさ・廃棄物処理のコスト・人員体制によって決まるため、まずは見積もりの取得から始めるのが良いでしょう。
アスベスト工事の補助金制度
アスベスト工事には、国土交通省が創設した「住宅・建築物アスベスト改修事業」による補助金があり、「吹付けアスベスト」および「アスベスト含有吹付けロックウール」に限定して、調査費・除去費の一部が補助されます。
(参考:厚生労働省「補助金制度」)
調査に対する補助制度
| 項目 | 内容 |
| 対象建築物 | 吹付けアスベスト等が施工されているおそれのある住宅・建築物 |
| 対象建材 | 吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール |
| 補助内容 | 吹付け建材中のアスベスト含有調査費 |
| 国の補助額 | 上限25万円/棟(原則) |
| 申請先 | 市区町村(国→自治体→申請者の流れ) |
除去・封じ込め・囲い込みの補助制度
| 項目 | 内容 |
| 対象建築物 | 吹付けアスベスト等が施工されている住宅・建築物 |
| 対象工事 | 除去、封じ込め、囲い込み |
| 対象費用 | アスベスト対策工事に要する費用(解体時も可) |
| 国の補助率 | 自治体補助額の1/2以内 かつ 全体費用の1/3以内 |
| 補助経路 | 国 → 地方公共団体 → 建物所有者 |
なお、誤解されがちなポイントを以下に整理しました。
| よくある誤解 | 実際 |
| スレート屋根も補助される | 補助対象外 |
| アスベストなら何でもOK | 吹付け材のみ |
| 後から申請できる | 着工前申請必須 |
| 業者が申請してくれる | 原則は所有者申請 |
また、補助金は国だけでなく各自治体からも提供されているケースがあります。建物を所有するエリアの自治体ホームページでもアスベスト工事関連の補助金や助成金がないかチェックしてみるのがおすすめです。
工事期間の目安
アスベスト工事の期間は、レベル・面積・建物の構造によって異なりますが、最短1日〜長い場合は数週間以上かかることもあります。
| レベル | 主な建材 | 工期目安 |
| レベル3 | スレート屋根・外壁 | 1~3日 |
| レベル2 | 配管保温材 | 3~7日 |
| レベル1 | 吹付けアスベスト | 1~4週間 |
※建物の規模・階数・養生範囲・搬出経路により変動します。
なお、工事期間はあくまで目安です。解体工事が始められず日程がずれる、仮住まい・テナント退去のスケジュールに影響するといったケースもある点を理解しておきましょう。
アスベスト工事についてよくある質問【FAQ】
アスベスト調査せずに工事したらどうなる?
事前調査をせずに解体や改修を行うと、大気汚染防止法と石綿障害予防規則の違反となり、工事停止命令や是正指導、罰金の対象になります。元請だけでなく施主(発注者)も責任を問われるため、必ず有資格者による調査が必要です。
アスベスト対象外の工事はある?
新築工事や、既存建物の構造・仕上げ材に一切触れない作業(清掃、設備の据え置き交換など)は対象外となります。ただし壁の開口や天井解体を伴うと対象になるため、自己判断せず事前確認が安全です。
まとめ
アスベスト工事は、単なる解体や改修ではなく、事前調査・届出・資格・飛散防止措置が法律で義務付けられた専門工事です。
特に2023年10月以降は、有資格者による調査と行政報告が必須となり、違反すると施主も罰則の対象になります。費用や工期、補助金の可否は建材の種類とレベルで大きく変わるため、自己判断は危険です。
少しでも不安がある場合は、プロの解体業者や石綿調査機関に相談することから始めてみるのがおすすめです。ましょう。特に2025年改正で対象拡大と様式変更が行われた今、未対応はリスクになり得ます。