【2025年最新版】二級建築士とは?意味ないと言われる理由・合格率・難易度・試験日・最短ルートまで完全解説

二級建築士は建築業界でプロとして働くための「スタートライン」となる国家資格です。よく「意味がない」と言われていますが、業界で役立つ資格であるため、建築関連の仕事に携わるなら、ぜひ取得しておきたい資格となります。
そこでこの記事では、二級建築士の本当の価値や注意点をわかりやすく解説します。
目次
二級建築士とは?
二級建築士は、一定規模以下の建築物の設計・工事監理を行える国家資格です。
「一級建築士より下位の資格」というイメージだけで語られがちですが、実際には住宅・小規模建築分野では今も、実務の中心を担う重要な資格となります。
特に、工務店・設計事務所・建設会社・リフォーム会社などでは、二級建築士資格を前提条件とする求人や業務も多いのが特徴です。まずは二級建築士の概要を紹介します。
二級建築士は都道府県知事免許の国家資格
二級建築士は、建築士法にもとづく国家資格のひとつであり、各都道府県知事が免許権者となります。(国が免許権者ではありません)
なお、建築士法に定められている資格は、「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」の3つがあり、そのなかでも二級建築士は、主に一般住宅や小規模建築物を対象とする専門資格となります。
(参考:e-Gov法令検索「建築士法」)
また、建築士法の概要を詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください▼
設計・工事監理ができる建築物の範囲(規模制限)
二級建築士は、建築物の設計・工事監理ができると証明できる資格であり、戸建て住宅や低層アパート、小規模建物・事務所などの設計・工事監理を行えます。ただし、建築できる建物の規模・構造に以下の制限がある点に注意が必要です。
- 木造建築物(3階建て以下、延べ面積1,000㎡以下)
- 鉄筋コンクリート造・鉄骨造など(延べ面積300㎡以下※用途・条件により異なる)

出典:建築技術教育普及センター「建築士の種類と業務範囲」
これは「建築士としての能力が低いから」ではなく、建築物の安全性を確保するための制度上の線引きです。実務的には、一般の住宅市場・地域建築では十分な業務範囲であるため、「二級建築士で足りない」と感じる場面はほとんどありません。
二級建築士は意味ないと言われる理由
二級建築士について調べると、よく「意味ない」「取っても無駄」といった否定的な意見を目にすることがあります。しかし、その多くは資格の位置づけや使い方を誤解したまま評価しているケースです。
ここでは、なぜそう言われやすいのかを整理し、実情とズレているポイントをわかりやすく解説します。
一級建築士と比較されがちだから
二級建築士が「意味ない」と言われるのは、一級建築士と単純比較されやすい点にあります。
一級建築士は設計できる建築物の規模制限がほぼなく、大規模建築や公共工事にも関われるため、どうしても「上位資格=価値が高い」という印象が先行します。特にメディアには一級建築士が多く登場することから、二級建築士は日の目を見ない資格だと考えられがちです。
しかし、これは役割の違いであって、二級建築士の価値が低いわけではありません。
国土交通省の建築士制度でも、二級建築士は「一般建築物を担う専門資格」として明確に区分されているため、国内には多くの仕事があります。
(参考:建築技術教育普及センター「建築士制度の概要」)
資格だけで年収が大きく上がるわけではない
二級建築士は国家資格ですが、取得しても年収アップにつながりにくいため、意味ないと言われるケースがあります。(上がっても月あたり数千円が目安)
一級建築士は、資格手当として大きな収入アップを期待できるほか、自身で事務所を立ち上げることも可能です。この違いを見て、意味がないと思われてしまいます。
ただし二級建築士は、自身のキャリアを広げる土台となります。一級建築士の取得の準備としても最適な資格ですので、まずは二級建築士を取得することからスタートしてみるのがおすすめです。
設計できる建物に制限があるため
二級建築士には、設計・工事監理ができる建築物に明確な規模制限があります。
この制限を「できることが少ない」と捉えてしまうと、意味がない資格のように感じてしまいます。ただし現実には、次のような案件が二級建築士の主戦場です。
- 戸建住宅・注文住宅
- 木造アパート・小規模集合住宅
- 店舗・事務所の新築・改修
- リフォーム・リノベーション
日本の建築市場では、住宅・小規模建築が大半を占めています。そのため「規模制限がある=仕事がない」という認識は、誤りだと覚えておきましょう。
二級建築士に向いている人・向いていない人
二級建築士は有用な国家資格ですが、キャリアの方向性によって向き・不向きが分かれる場合もあります。参考として以下に、「向いている人」「向いていない人」の特徴をまとめました。
| 観点 | 向いている人 | 向いていない人 |
| 主な建築分野 | 戸建住宅・低層集合住宅・リフォーム | 超高層ビル・大規模商業施設 |
| 働き方 | 地域密着型工務店・設計事務所 | 大手ゼネコン・都市開発中心 |
| キャリア志向 | 実務重視・現場と設計の両立 | 研究・企画・大規模設計特化 |
| 資格戦略 | 二級から一級へ段階的に取得 | 最初から一級のみ狙いたい |
| 年収期待 | 実務+経験で徐々に上げたい | 短期間で高年収を狙いたい |
以上より、二級建築士は、住宅や小規模建築を軸に実務で活躍したい人に向いています。
建築設計事務所やゼネコンなどに勤めている方は、将来的なキャリアアップのためにも、早い段階で取得を目指すのがおすすめです。
二級建築士試験の内容と試験日
今後、二級建築士の試験を受験したい方向けに、試験内容と主な試験日程を整理しました。
学科試験の科目と出題形式
二級建築士は、学科試験と設計製図で構成されており、建築実務の基礎を広く・浅く問う構成です。
| 区分 | 出題形式 | 科目 | 出題数 |
| 学科I | 五肢択一 | 建築計画 | 25問 |
| 学科II | 五肢択一 | 建築法規 | 25問 |
| 学科III | 五肢択一 | 建築構造 | 25問 |
| 学科IV | 五肢択一 | 建築施工 | 25問 |
| 設計製図 | 実技 | 製図 | 1課題 |
なお出題されるのは、建築計画や建築法規(建築基準法など)、建築構造、建築施工などです。暗記だけではなく、「なぜこの規定があるのか」「現場ではどう使われるのか」を理解することが重要になります。
(参考:建築技術教育普及センター「出題科目、出題数等」)
二級建築士試験の日程(学科・製図)
二級建築士試験は、毎年ほぼ同じ時期に実施されます。参考として2025年の試験日程を整理しました。
| 試験日 | 試験科目 | 内容 |
| 2025年7月6日(日) | 学科 | 法令集チェック |
| 学科I(建築計画)・学科II(建築法規) | ||
| 学科III(建築構造)・学科IV(建築施工) | ||
| 2025年9月14日(日) | 製図 | 設計製図(1課題) |
なお、製図試験は、学科試験に合格した人のみが受験できます。
2026年もおおよそ同じ時期に試験が実施される予定です。これから本番に向けて資格試験勉強に取り組みましょう。
(参考:建築技術教育普及センター「試験について」)
二級建築士の合格率・難易度はどれくらい?
二級建築士の合格率は、例年20〜25%程度で安定しています。
学科の合格率は約40%程度、そして学科合格者が受験できる製図が約50%で合格できるというイメージです。そのため難易度はやや高く、しっかりと試験対策をしておかなければ合格することは難しいと言えます。
(参考:建築技術教育普及センター「過去5年間の二級建築士試験結果データ」)
落ちやすい人の共通点
二級建築士に落ちやすい人には、次のような共通点があります。
| 分類 | 内容 |
| 学科対策 | 過去問演習が不足している |
| 法規 | 法令集の引き方を練習していない |
| 製図 | 時間内に描き切る練習をしていない |
| 計画性 | 学科と製図を同時に中途半端に進めている |
| 情報収集 | 最新の試験傾向・課題条件を把握していない |
特に多いのが、「今の知識で学科は何とかなると思っている」「製図は学科に合格してから直前で何とかする」というパターンです。専門知識を問われる試験であることから、時間をかけて学習することが欠かせません。
二級建築士の受験資格と最短取得ルート
二級建築士は、建築士法第15条にもとづき「学歴要件」「実務経験要件」の組み合わせで受験資格が決まります。特に、建築系の学歴がない方の場合、実務経験が7年必要になる点に注意しましょう。
| 建築に関する学歴・資格 | 試験時に必要な実務経験年数 |
| 大学・短大・高専・高校・専修学校・職業訓練校等で指定科目を修了 | 最短0年 |
| 建築設備士 | 0年 |
| 外国大学卒業など、都道府県知事が特に認める者 | 所定の年数以上 |
| 建築に関する学歴なし | 7年以上 |
建築技術教育普及センターには「二級建築士・木造建築士の受験・免許登録時の必要単位数(学校種類別)」も公開されているため、自身の資格要件を確認しておきましょう。
二級建築士の年収の目安
二級建築士の年収は「資格単体」では大きく跳ね上がりませんが、職種・経験・組み合わせ資格次第で着実に伸ばせるのが実態です。
なお厚生労働省の「職業情報提供サイト job tag」で公開されている建築設計技術者の年収は641.6万円です。二級建築士も同等の年収を確保しやすいため、安定収入を作りたい人に最適な資格だと言えます。
国税庁の「1年を通じて勤務した給与所得者」の場合、全業種の平均年収が461万円です。これを踏まえても、建築系の職種は比較的高い収入を得やすい仕事だとわかります。
二級建築士に関するよくある質問【FAQ】
二級建築士は難しいですか?
二級建築士は「やや難しい〜難しい」国家資格です。学科合格率は約35〜40%、製図は約50%、総合合格率は20%台前後となっています。学科と製図の二段階試験であり、特に製図は時間制限があるため、何度も練習をしておく必要があります。
二級建築士になるには何年かかりますか?
最短ルートは、建築系学校(指定科目修了)を卒業後すぐ受験し合格するケースで、在学期間を含めて2〜4年程度です。学歴がない場合は、原則7年以上の建築実務経験が必要となり、取得までの期間は長くなります。
学歴がなくても二級建築士になれますか?
なれます。建築に関する学歴がなくても、建築士法第15条により原則7年以上の建築実務経験を満たせば受験可能です。ただし、実務内容や期間の証明が必要なため、事前に要件確認を行うことが重要です。
まとめ
二級建築士は「意味のない資格」ではなく、住宅・小規模建築分野で実務を担うための現実的かつ有効な国家資格です。
学科と製図の二段階試験で難易度はやや高いものの、制度や受験資格を正しく理解し、計画的に対策すれば十分合格を狙えます。将来のキャリアや一級建築士へのステップとしても価値が高いため、まずは自分に合う取得ルートを整理することから始めましょう。