大成建設、OpenAIと協業し1,000名規模の生成AI人材育成プログラムをスタート

大成建設株式会社(社長:相川善郎)は2025年11月17日、国内の総合建設会社で初めて、OpenAIと連携しChatGPT Enterpriseを活用した人財育成と業務改革の全社プロジェクトを開始しました。
この施策は、同社が進める「経営基盤のDX」戦略の重要な柱として位置づけられています。2025年4月に250名でスタートした教育プログラムは、わずか4か月後の8月には1,000名規模まで拡大しました。プロジェクトの狙いは、生成AIを実務で使いこなせる人材を組織全体で育て、業務変革を通じて生産性の向上を実現することにあります。
実践重視の取り組み内容
大成建設は、生成AIが社会に急速に浸透している現状を踏まえ、「生成AIを使いこなす新しいスキルの習得」だけでなく、「スキルを業務でいかに活かせるか」が重要だと考えています。
プロジェクトでは、基礎的な知識から高度な応用技術まで、体系立てて学べる研修制度を整備しました。社員が普段の業務の中で自然にAIツールを使えるよう、実践的なスキルの習得に重点を置いています。
OpenAI Japanによる継続的なサポートも特徴です。集団での研修会や実践的なワークショップ、事例発表会などを開催し、社員が自分の業務内容に合わせた専用のAIツール(カスタムGPT)を作成できるようサポートしています。
設計や施工管理、営業活動など、様々な業務分野において、従来のやり方を大きく変える成功事例が次々と生まれています。今後はこうした事例をさらに広げ、組織全体での活用を加速させる計画です。
導入後3か月で現れた具体的な効果
プロジェクト開始からわずか3か月という短期間で、目に見える成果が複数確認されています。
研修を受けた社員へのアンケート調査では、満足度が5点満点中4.20点、今後も活用したいという意欲は4.51点という高い評価を得ました。
業務時間の削減効果も顕著で、参加者1人あたり平均して週に5.48時間の作業時間短縮を実現しています。これを250名全体で年間換算すると、6万6千時間もの削減になります。特に効果が高かった業務では、一部の社員から「特定の作業で70~80%もの時間削減ができた」という報告も寄せられています。
今後の展開計画
大成建設は、このプロジェクトを段階的に拡大し、最終的には全社員が生成AIを使いこなせる組織づくりを目指しています。
現在1,000名規模で実施している育成プログラムを土台として、ChatGPT Enterpriseの利用を段階的に全社員へ広げていく予定です。また、各部署でAI導入と定着を推進する中心人物となるリーダーを育成し、業務改革を継続的に推進できる「AI活用が当たり前の文化」を社内に根付かせることを目指します。
トップが語るプロジェクトへの思い
大成建設の相川善郎社長は「OpenAIとの協力により、生成AIを活用した人材育成と業務改革を進められることを心強く思います。建設現場からオフィスまで、日常業務にAIを自然に組み込み、生産性と創造性を高めていきます」とコメントしています。
OpenAI Japanの長﨑忠雄社長は「大成建設が全社規模での人材育成と業務改革を推進し、AIと共に働く文化を築こうとする姿勢は、日本企業における生成AI活用の実践例として非常に意義があります」と述べています。
大成建設は本プロジェクトを通じて、「TAISEI VISION 2030」の達成に向けて、組織全体の成長と社会貢献を加速させていく構えです。
出典情報
大成建設株式会社リリース,建設業界最大規模の生成AIプロジェクトが始動-OpenAIと共創する“AIを使いこなす人財”の育成へ-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/251117_10436.html