2026秩父宮ラグビー場建て替え|場所・収容人数やゼネコンを解説

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「秩父宮ラグビー場建て替え」についてピックアップします。2026年から本格的に進む秩父宮ラグビー場の建て替え計画は、神宮外苑再開発の中心事業として大きな注目を集めています。

老朽化が進む現スタジアムを刷新し、国際基準の競技環境やユニバーサルデザインを備えた新施設へと生まれ変わる一方、高さや配置、景観、緑地への影響などをめぐり議論も活発です。

本記事では建て替えの場所・スケジュール・収容人数・ゼネコン体制などの基本情報に加え、反対意見や公聴会の経緯といった気になるポイントも解説します。

秩父宮ラグビー場建て替え計画の概要

出典:鹿島建設,「新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業」の民間事業者に選定,https://www.kajima.co.jp/news/press/202211/10a1-j.htm,参照日2025.11.28

ここでは、秩父宮ラグビー場建て替え計画の概要について解説します。場所やスケジュールについて、チェックしてみましょう。

場所

出典:文部科学省,秩父宮ラグビー場の移転整備,https://www.mext.go.jp/sports/content/20201125-spt_sseisaku01-000011245_5.pdf,参照日2025.11.28

秩父宮ラグビー場建て替え計画の所在地は「東京都新宿区霞ヶ丘町11番、13番の一部、18番の2、26番の2、54番、104番」です。

秩父宮ラグビー場は完成から78年が経過し、老朽化による漏水や腐食が目立っています。そのため2023年3月の明治神宮第二球場の解体工事着工を皮切りに、周辺一帯の各施設が順次整備される予定です。

神宮第2球場やラグビー場が使えなくなる期間をできる限り短くするため、それぞれの位置を入れ替えながら順番に建て替えられます。

計画概要

秩父宮ラグビー場建て替えの計画概要は、下記の通りです。

  • 敷地面積:【新ラグビー場計画敷地】第Ⅰ期34,437.54㎡・第Ⅱ期43,476.27㎡、【一団地認定範囲】80,932.67㎡
  • 地域・地区:第二種中高層住居専用地域、準防火地域、第一種文教地区など
  • 延べ面積(建築面積):72,500㎡(26,000㎡)
  • 高さ(階数):48m(地上8階、地下1階)
  • 構造:【地上】柱RC造、梁S造(一部CFT造、S造)【地下】RC造(一部CFT造)
  • 用途:観覧場、博物館、物品販売業を営む店舗、飲食店、自動車車庫

スケジュール|着工・竣工はいつ?

出典:文部科学省,秩父宮ラグビー場の移転整備,https://www.mext.go.jp/sports/content/20201125-spt_sseisaku01-000011245_5.pdf,参照日2025.11.28

秩父宮ラグビー場の建て替えは、東京都のまちづくり指針に基づき、第1期工事(フィールドと3面のスタンド)と第2期工事(南側のスタンド)に分けて整備されます。具体的な工期は、下表の通りです。

第1期整備着工予定:2026年2月1日完了予定:2029年11月末日
第2期整備着工予定:2032年完了予定:2033年

収容人数

出典:秩父宮ラグビー場㈱,新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業 新築工事計画近隣説明会,https://www.jingugaienmachidukuri.jp/pdf/jingugaienmachidukuri_explanation_2025090801.pdf,参照日2025.11.28

秩父宮ラグビー場建て替え計画によって、収容人数は「約15,000人(イベント時:約20,000人)程度」となる予定です。建て替え前が24,871人(車椅子席30席を含む)だったため、席数は減少します。

しかしその分「ユニバーサルデザインの導入」に重点が置かれる計画で、車いす席や車いすトイレの不足、選手や観客導線の確保などにスペースを割く予定です。

ゼネコン・設計

秩父宮ラグビー場建て替え計画のゼネコンや設計担当は、下記の通りです。

  • 事業者:秩父宮ラグビー場株式会社(構成企業:鹿島建設(代表)、三井不動産、東京建物、東京ドーム)
  • 設計者:鹿島建設・松田平田設計 設計共同企業体
  • 施工者:鹿島建設

鹿島建設を代表企業として、三井不動産、東京建物、東京ドームの4社が構成企業として参画するコンソーシアムが主体となっています。建設後は施設の公共施設等運営権を取得し、30年間の運営・維持管理を実施する予定です。

秩父宮ラグビー場建て替え計画のポイント

ここでは、秩父宮ラグビー場建て替え計画のポイントについて解説します。

歴史性と場所性の尊重

出典:新宿区,新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業,https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000417186.pdf,参照日2025.11.28

秩父宮ラグビー場建て替えでは、外苑創建時からのマスタープランを踏まえた建物配置が検討されています。

神宮内苑を囲む外苑は、元々「大衆の屋外レクリエーションのための広大な景園地」として建設されました。そのため今回の建て替え計画でも、競技施設を周回道路の外側にまとめるゾーニングによって、記念施設と競技施設を違和感なく共存させています。

あらゆる方向からの景観に配慮

出典:新宿区,新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業,https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000417186.pdf,参照日2025.11.28

従来の秩父宮ラグビー場の最高高さは55mでした。しかし周辺主要ポイントからの景観に配慮するため、建て替え後は「約48m」に抑えられる予定です。これにより、青山通りへと続く地区全体のスカイラインと調和した計画とします。

歩行者通路上からの視認性を保ちつつ、スタジアムを包み込むゆるやかな円弧状の大屋根が景観に配慮します。

隣接する施設と調和し、圧迫感を軽減する建物計画

出典:新宿区,新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業,https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000417186.pdf,参照日2025.11.28

秩父宮ラグビー場建て替えでは、施設の北東角及び南東角を最大限セットバックして垂直壁の高さを抑制することで、約130mの東壁面の圧迫感を軽減します。また低層部には内外を一体的につなげるガラスや、エントランスゲートに木製の庇を採用することで周辺環境と調和する雰囲気を演出します。

駅からの動線を考慮した賑わい空間の演出

出典:新宿区,新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業,https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000417186.pdf,参照日2025.11.28

秩父宮ラグビー場の建て替えではエントランスが東西南北に設けられる予定で、人々がどこからでもアクセス可能な開かれた計画となっています。

各駅からアクセスしやすい3つのエントランスゲート付近には外向き店舗が配置されるため、ラグビー等のイベントがない日でも日常的なにぎわいを創出します。

歴史ある「いちょう並木」と調和する外構計画

出典:新宿区,新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業,https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000417186.pdf,参照日2025.11.28

秩父宮ラグビー場の建て替えに関する一連のプロジェクトを通じて、神宮外苑のみどりを未来につなげる取り組みも実施されています。具体的には4 列のいちょう並木は伐採せずに保全し、さらに樹木本数は1904本から2304本に、みどりの割合は約25%から約30% に増加する計画です。

これにより神宮外苑まちづくり地区を南北に貫く「みどりの散策路の整備」と連携し、日常的に散策できる場として地区の回遊性向上に寄与します。落葉樹を多く選定することで、四季を感じられる情緒ある風景が実現します。

秩父宮ラグビー場建て替え計画の気になる疑問

ここでは、秩父宮ラグビー場の建て替えに関する気になる疑問を解説します。

公聴会で反対される理由・経緯は?

秩父宮ラグビー場(神宮外苑)の建て替え計画に対して、公聴会で反対の声が出ています。具体的な理由としては、下記の項目が挙げられます。

  • 新秩父宮ラグビー場の高さが約 48mと大規模で、周辺の文教地区(第2種中高層住居専用地域)との調和性を欠く恐れがある。
  • 2025年10月に公聴会が実施されたが、告知方法が開催直前の都公報のみであった。さらに意見書の申請締め切りが開催3日前までという短さが、「住民の意見を十分反映していない」と批判されている。
  • 歴史的・文化的価値の高い現在のスタジアムを壊すのではなく改修すべきというラグビー関係者の主張。
  • 人工芝化・屋内型への転換に対する反発。
  • 環境保護の観点から、樹木伐採や緑地減少の懸念。

外苑再開発そのものは2023年に着工していますが、諸事情により約1年中断している状況です。公述人や傍聴者らは、東京都による公聴会の再度実施を求めています。

グラウンドは人工芝?

出典:秩父宮ラグビー場㈱,新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業 新築工事計画近隣説明会,https://www.jingugaienmachidukuri.jp/pdf/jingugaienmachidukuri_explanation_2025090801.pdf,参照日2025.11.28

従来の秩父宮ラグビー場は、「ラグビーの聖地」の名にふさわしい本物の芝生グラウンドが敷かれていました。しかし建て替え後はワールドラグビー推奨の人工芝となり、常に良好な状態で競技できる環境が整います。これにより稼働率の向上や、ラグビー以外の多様な用途での利活用も促進されます。

まとめ

秩父宮ラグビー場建て替え計画は、老朽化への対応と国際水準の競技環境整備を目的に、2026年着工・2033年完了を見込む大規模プロジェクトです。建て替え後は収容人数が少なくなるもののユニバーサルデザインが強化され、景観配慮や緑地拡充など周辺環境との調和も実現する予定です。

一方で手続きの透明性、人工芝化、樹木伐採への懸念などから反対意見も続いています。計画が地域の将来にどう寄与するのか、引き続き丁寧な説明と合意形成が求められます。