【2025年】デザインコンクリートとは?費用・DIY・施工方法から駐車場・壁・床・外壁まで徹底解説

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Category:コラム建築

著者:上野 海

デザインコンクリートは、まるで天然石やタイルのような美しい見た目を再現でき、住宅の外壁・駐車場・玄関アプローチ・店舗の床や壁など、幅広い場所で採用が進んでいます。しかし、利用するメリット・デメリットや費用感をイメージできずにいる人も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、デザインコンクリートの基本と種類、施工方法(プロ施工・DIY)、費用相場についてわかりやすく解説します。

デザインコンクリートとは?

デザインコンクリートとは、装飾性を高めた特殊仕上げコンクリートのことです。

顔料や型押し、造形、研磨といった技法を組み合わせることで、石・レンガ・木目・タイルなど多様な質感を1枚のコンクリートで再現できるのが特徴です。近年では、住宅の外構(駐車場・アプローチ)や店舗の床・壁・外壁など、デザイン性を求める現場で多く採用されています。

一般的なコンクリートとの違い

デザインコンクリートは見た目の美しさだけでなく、構造的・物理的にも通常のコンクリートとは異なる特性をもっています。以下に、一般的なコンクリートとの違いを整理しました。

比較項目一般的なコンクリートデザインコンクリート
目的強度・耐久性重視美観+機能性を両立
表面仕上げ無塗装・単色グレー型押し・着色・造形仕上げ
デザイン性低い高い(自然素材風・タイル調など)
メンテナンスひび割れ補修が中心撥水コート・再塗装で長寿命化
主な用途基礎・土間・構造材駐車場・アプローチ・壁・床・外壁

さらに、デザインコンクリートでは表面を保護するトップコートを塗布するため、紫外線や雨水による劣化を防ぎ、通常より長い耐用年数(10〜20年)を期待できます。

また、近年は環境配慮型の材料(低VOC樹脂や高反射顔料)も開発されており、エコリフォーム・ZEH対応住宅との相性も良くなっています。

デザインコンクリートのメリット・デメリット

デザインコンクリートは、見た目や機能面に優れていますが、施工条件によっては注意点もあります。ここでは、導入前に知っておくべきメリットとデメリットを整理し、後悔しない判断ができるように解説します。

区分内容詳細
メリット高いデザイン性石・木・レンガ・タイルなど自然素材の質感を再現可能
コストパフォーマンスタイルや天然石より低コスト(㎡単価2,000〜12,000円)
耐久性・耐候性トップコートにより紫外線・雨・摩耗に強い
メンテナンスが簡単撥水コート再塗布で長持ち/汚れにくい
デメリット職人の技術に左右される仕上がりや色ムラに差が出ることがある
修復がやや難しい部分補修時に色合わせが必要
初期費用が少し高め通常の打ちっぱなしより材料費が上がる

上表を簡単にまとめると、デザインコンクリートは、高いデザイン性・耐久性・メンテナンス性を兼ね備えています。 一方で、施工技術の質によって仕上がりに差が出やすいという点がデメリットです。

良い面・悪い面の両方を理解したうえで、材料として適用すべきかを検討しましょう。

デザインコンクリートの種類

デザインコンクリートには、仕上げ方法・目的・施工環境によって複数のタイプがあるとご存じでしょうか。代表的なものは「スタンプコンクリート」「モルタル造形」「MPC(薄塗り仕上げ)」の3種類で、それぞれ質感・施工方法・費用が異なります。

ここでは、これら3タイプの特徴と向いている用途をわかりやすく紹介します。

スタンプコンクリート(型押し仕上げ)

スタンプコンクリートとは、コンクリートが硬化する前に型を押して模様を転写する施工法です。

見た目は石畳やレンガのようでありながら、実際は一体成形のため、割れや雑草の発生が少なく耐久性が高いのが特徴です。最も一般的でコスパの良いデザインコンクリートであり、駐車場やアプローチでは、石張り調・枕木調・乱形石調などが人気を集めています。また外壁では、テラコッタ調や御影石調のデザインも選ばれます。

項目内容
適した場所駐車場・玄関アプローチ・店舗外構
費用目安1㎡あたり 約5,000〜9,000円
耐久性約10〜15年(トップコート再塗布で延命)
特徴模様の自由度が高く、施工スピードも速い

より詳しくスタンプコンクリートの概要を知りたい方は、以下の記事がおすすめです▼

モルタル造形・漆喰調タイプ

モルタル造形は、職人がモルタルを手作業で彫刻し、岩肌やレンガ、木目を表現する仕上げ技法です。

海外では「テーマパーク仕上げ」とも呼ばれ、壁面や外構の装飾性を極限まで高められるのが特長です。唯一無二の立体感と重厚感を求める場合に採用されるケースが多く、たとえば、カフェや美容室の外壁では「ヨーロピアン調」「エイジング仕上げ」などが人気を集めています。また住宅では、アンティーク風ガーデンウォールや擬石フェンスに使われます。

項目内容
適した場所外壁・塀・ガーデンウォール・店舗装飾
費用目安1㎡あたり 約10,000〜18,000円
耐久性約15〜20年(塗装メンテ必須)
特徴一点ものの立体造形、個性重視のデザイン

MPC(薄塗り仕上げ)などの最新技術

MPC(Microtopping Concrete)は、既存コンクリートの上に1〜3mmの特殊セメントを重ね塗りするリノベーション技術です。古くなった床を壊さずに再生できるため、店舗・オフィス・住宅のリフォームで注目を集めています。

また、低コストでモダンなデザインを再現できる“次世代の仕上げ材”としても有名です。住宅のリビングや店舗床には、グレー調コンクリート仕上げを用いるケースが多く、光沢タイプではカフェ風インダストリアルデザインにも対応可能です。

項目内容
適した場所床・カウンター・リフォーム現場
費用目安1㎡あたり 約7,000〜12,000円
耐久性約8〜12年(上塗り再施工で再生可)
特徴既存床を活かすリフォーム向け技術

施工方法と流れ

デザインコンクリートは、見た目のデザイン性だけでなく、施工精度と工程管理が仕上がりを大きく左右します。ここでは、プロが行う施工の流れと、DIYで挑戦する際のポイントを順に解説します。

プロ施工の流れと施工期間の目安

プロの施工は、下地づくりから仕上げまで一連の工程があり、天候・面積・仕上げ方法によって日数が変わります。標準的な住宅の駐車場(約30㎡)の場合は3〜5日程度が目安です。

工程内容所要時間の目安
【1】掘削・転圧土を掘り下げ、砕石で地盤を固める半日〜1日
【2】型枠設置・配筋コンクリートの厚みを確保し、割れ防止の鉄筋を敷設半日
【3】打設・型押し着色剤を混ぜたコンクリートを流し込み、型を押す1日
【4】乾燥・養生表面硬化後、数日間乾燥1〜2日
【5】トップコート仕上げの保護剤を塗布半日

経験豊富な職人が工程を正しく守れば、10年以上メンテナンス不要の高品質舗装が実現します。

DIYで施工する場合のステップと注意点

DIYでもデザインコンクリートを施工することは可能ですが、熟練度が求められるため、DIYの場合には面積が小さい部分(1〜5㎡程度)に向いています。特に「玄関ステップ」「花壇まわり」「ベランダ床」などが人気の施工例です。

ステップ内容
【1】下地を整える砂利を敷き、転圧して平らにする
【2】型枠を設置木材でコンクリートの境界を固定
【3】コンクリートを打設ホームセンターの「スタンプセット」を使用
【4】型押し・着色好きな模様の型を押し、顔料で色をつける
【5】トップコート塗布仕上げに撥水剤・保護コートを塗る

なお、DIYの失敗を防ぐコツは、一度に広範囲を施工しないことです。また、DIYでもプロ用材料を使うことで、仕上がりと耐久性を格段に向上させられます。

費用と見積もりの目安

デザインコンクリートの費用は、施工面積・仕上げ方法・下地の状態によって大きく変動します。

参考として、一般的な外構リフォームと同様に、㎡単価で見積もられるのが一般的です。ここでは、平均単価・用途別費用・コストを左右するポイントを具体的に解説します。

デザインコンクリートの平均単価(㎡あたり)

デザインコンクリートの施工費用は、1㎡あたり約5,000〜12,000円が相場です。

スタンプコンクリートが最も手頃で、モルタル造形やMPCなど特殊技法はやや高めです。

仕上げ種類相場価格(1㎡あたり)特徴
スタンプコンクリート約5,000〜9,000円コスパ良く石調を再現可能
MPC(薄塗り)約7,000〜12,000円既存床の上に施工できリフォーム向き
モルタル造形約10,000〜18,000円重厚な造形・店舗向けデザイン
一般打ちっぱなし約4,000〜6,000円デザインなし、グレー単調仕上げ

目安として、30㎡の駐車場なら、スタンプコンクリートで約18〜25万円程度、MPC仕上げでは25〜35万円ほどが一般的です。

用途別費用比較(駐車場・外壁・床・壁)

デザインコンクリートは、施工場所によって材料・厚み・補強方法が異なるため、次のような費用差が生じます。

用途平均単価特徴・注意点
駐車場約5,000〜9,000円荷重対応のため厚み10cm以上が必要
外壁約8,000〜15,000円紫外線・雨風対策でトップコート必須
床(店舗・住宅)約6,000〜10,000円MPC施工が多く滑りにくく清掃性◎
壁(内装)約7,000〜12,000円モルタル造形・塗装併用で表情を出す

たとえば、店舗の床では人通りが多いため、耐摩耗仕上げ+防汚コートを併用するケースが一般的です。「どこに使うか」で選ぶ材料と施工方法を変えるのが費用を抑えるコツです。

デザインコンクリートの維持・メンテナンス

デザインコンクリートは見た目の美しさと強度を両立していますが、メンテナンスを怠ると表面劣化や色褪せが進行します。

ここでは、デザインコンクリートの品質や外観を維持するためのメンテナンスのポイントを解説します。

劣化しやすい原因(紫外線・経年・水分)

特に以下の3つが、デザインコンクリートの劣化を早める主な原因です。

劣化要因内容影響例
紫外線太陽光のUVで顔料が分解・退色色ムラ・艶の低下
水分雨・結露が浸透し、凍結や白華(エフロ)を誘発表面剥離・シミ
経年摩耗車両・歩行による摩耗や砂塵の摩擦表面ツヤ減少・小傷発生

なかでも、紫外線と水分が最大の敵。定期的なトップコート塗布が防止策の基本です。

メンテナンス周期と費用

デザインコンクリートのメンテナンスは、定期洗浄+トップコート再塗布が基本です。素材ごとに推奨周期と費用を以下にまとめました。

メンテナンス項目周期目安費用目安(㎡あたり)内容
洗浄(高圧・ブラシ)半年〜1年ごと約100〜300円コケ・油汚れ除去
トップコート再塗布2〜3年ごと約800〜1,500円防水・防滑・UVカット
補修(クラック・剥がれ)必要時約3,000〜10,000円充填+再塗装

たとえば、2〜3年ごとにトップコートを再塗るだけで、施工当初の質感を長期維持できます。「小まめな清掃+周期的な再塗布」が、美観とコストパフォーマンスを両立させるコツですので、定期的なメンテナンスを心がけましょう。

デザインコンクリートについてよくある質問【FAQ】

デザインコンクリートとは何ですか?

デザインコンクリートとは、通常のコンクリートに模様や色付けを施して自然素材の質感を再現する装飾技術です。スタンプコンクリート・モルタル造形・MPC仕上げなどがあり、石や木目、レンガのような風合いを低コストかつ高耐久で実現できます。駐車場・外壁・床など幅広く使われます。

デザインコンクリートのデメリットは?

主なデメリットは、施工精度によって仕上がりの美しさに差が出る点です。また、紫外線や水分で表面が劣化しやすいため、2〜3年ごとのトップコート再塗布が必要です。ただし、定期的なメンテナンスを行えば、10年以上美観を維持でき、トータルコストも低く抑えられます。

スタンプコンクリートの費用はいくらですか?

スタンプコンクリートの費用相場は、1㎡あたり約5,000〜9,000円です。30㎡の駐車場なら、約18〜25万円ほどが目安となります。模様や色の種類、下地処理の有無によって価格が変わるため、複数社から見積もりを比較するのがおすすめです。

デザインコンクリートはDIYで施工できますか?

小面積(1〜5㎡)なら、DIYでも施工可能です。ホームセンターや専門店で販売されている「スタンプコンクリートDIYキット」を使えば、玄関アプローチや花壇まわりの装飾も可能です。ただし、乾燥や硬化のタイミング管理が難しいため、広い面積は専門業者に依頼した方が安全です。

一般的なコンクリートに代わる新素材は?

最近では、MPC(Microtopping Concrete)や樹脂モルタル系素材が注目されています。MPCは既存コンクリートの上に薄く施工できるため、リフォームや店舗の床仕上げに最適です。また、軽量で割れにくい樹脂混合タイプは、デザイン性とメンテナンス性を両立しています。

まとめ

デザインコンクリートは、コストを抑えながらデザイン性と耐久性を両立できる画期的な素材です。駐車場・外壁・床・壁など、あらゆるシーンで「高級感」「自然な質感」「汚れにくさ」を演出できます。

特に近年は、スタンプコンクリートやMPC仕上げなど、DIYにも対応できる技術が進化しており、「手軽におしゃれな空間をつくりたい」「既存の土間をリフォームしたい」という方にも人気です。

施工精度やトップコートの品質によって仕上がりが大きく変わる点に注意しつつ、適用すべきかを検討してみてください。