国土交通省調査、大手建設50社の8月受注が大幅増、民間工事は71.8%増で回復

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国土交通省が令和7年9月30日に公表した建設工事受注動態統計調査(大手50社)の8月分によると、受注総額は前月の減少から一転し、大きく増加したことが明らかになりました。

受注総額は1兆4,929億円

8月における受注総額は1兆4,929億円となりました。前年同月との比較では38.9%の増加となり、先月の減少から再び増加へと転じています。国内工事では、民間工事が増加した一方で、公共工事は減少する結果となりました。国内計は1兆4,635億円で、前年同月比42.8%増となっています。

民間工事は71.8%の大幅増

8月の民間工事については、受注額が1兆2,391億円に達しました。前年同月比では71.8%の増加を記録し、先月の減少から大幅に回復しています。

業種別に見ると、製造業と非製造業の両方で増加傾向が確認されました。

・製造業:前年同月比29.6%増

・非製造業:前年同月比84.6%増

発注者別の内訳では、不動産業、情報通信業、製造業などが増加しました。反対に、電気・ガス・熱供給・水道業、非製造業その他、卸売業・小売業などは減少しています。

■工事種類別の動向

工事種類別では、建築工事と土木工事の双方で増加が見られました。事務所・庁舎、教育・研究・文化施設、倉庫・流通施設などの案件が増加した一方、店舗、住宅、土木その他などは減少する結果となっています。

公共工事は21.4%減少

8月の公共工事は1,878億円となり、前年同月比で21.4%減少しました。2か月連続の減少となっています。

国の機関と地方の機関の両方で減少が見られました。

・国の機関:前年同月比19.2%減

・地方の機関:前年同月比24.9%減

■発注者別の状況

発注者別の詳細を見ると、国の機関では政府関連企業と独立行政法人が増加したものの、国本体は減少しました。地方の機関については、市区町村が増加した一方で、地方公営企業、地方その他、都道府県が減少しています。

■工事種類別の特徴

工事種類別では、建築工事と土木工事のいずれも減少しました。医療・福祉施設、道路、工場・発電所などは増加しましたが、上水道・下水道、建築その他、教育・研究・文化施設などが減少しています。

海外工事は293億円

8月の海外工事については293億円となり、前年同月比で40.6%の減少となりました。先月の増加から再び減少に転じています。

大規模工事の状況

受注高10億円以上の大規模国内工事は164件で、受注高は1兆2,457億円に達しました。全体の受注高に占める大規模工事の比率は85.1%となっています。

内訳は以下の通りです。

・民間等:123件、受注高1兆1,143億円

・公共機関:41件、受注高1,313億円

前年同月との比較では74.3%となっています。

施工高と手持ち工事の推移

令和7年7月分のデータによると、施工高(月間)は1兆1,934億円で、前年同月比10.4%の増加でした。建築工事が8,086億円、土木工事が3,848億円となっています。

手持ち工事高(月末)については25兆7,109億円となり、前年同月比で9.5%増加しました。建築工事は16兆9,765億円、土木工事は8兆7,343億円です。手持ち工事月数は17.5か月となっています。

地域別の受注動向

令和7年7月分のブロック別受注高を見ると、関東地方が5,149億円と最も多く、次いで近畿地方が1,880億円、中部地方が1,048億円となりました。前年同月比では、北陸地方が45.2%増と最も高い伸びを示した一方、四国地方は59.9%減と大きく減少しています。

都道府県別では、東京都が2,314億円で最大の受注額を記録しました。次いで神奈川県が850億円、大阪府が832億円と続いています。

今後の見通し

この調査は、建設業者における建設工事の受注動向や、公共機関・民間等からの受注工事の詳細を把握することを目的としています。発注者別、業種別、工事種類別、地域別といった多角的な分析により、建設業界全体の動向を捉えることができます。

8月は民間工事の大幅な増加により、受注総額が前年同月比で38.9%増という高い伸びを記録しました。特に不動産業や情報通信業からの受注が好調だったことが、全体を押し上げる要因となっています。一方で公共工事は2か月連続の減少となっており、官民での動向に違いが見られる結果となりました。

出典情報

国土交通省リリース,建 設 工 事 受 注 動 態 統 計 調 査 報 告 ( 大 手 50 社 調 査 )( 令 和 7 年 8 月 分 ) に つ い て,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001911514.pdf