国土交通省調査で判明:過疎地域集落の40%が高齢化深刻、5年間で人口7.5%減少

国土交通省と総務省が合同で実施した「過疎地域等における集落の状況に関する現況把握調査」の結果が8月8日に発表されました。令和6年4月時点での調査では、条件不利地域の集落において高齢化が急速に進行し、住民の半数以上が65歳以上となる集落が4割を超えるという深刻な状況が明らかになりました。

調査の実施内容
今回の調査は、前回の令和元年度調査から5年ぶりの実施となります。全国1,085市町村の条件不利地域を対象とし、令和6年10月3日から12月24日にかけて調査票の配布・回収を行いました。
調査対象となった条件不利地域には、以下の地域が含まれています。
・過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法に基づく過疎地域
・山村振興法に基づく振興山村を有する市町村
・離島振興法に基づく離島振興対策実施地域を有する市町村
・半島振興法に基づく半島振興対策実施地域を有する市町村
・豪雪地帯対策特別措置法に基づく特別豪雪地帯を有する市町村
高齢化率が急激に上昇
調査結果によると、令和6年4月時点で条件不利地域には78,485の集落が存在し、総人口は1,432.9万人となっています。1つの集落あたりの平均人口は184.9人でした。
特に注目すべきは高齢化の進行状況です。住民の半数以上が65歳以上となっている集落の割合は40.2%に達し、前回調査の29.2%から10ポイント以上の大幅な増加を記録しました。これは全国平均の高齢化率の上昇(28.4%から29.3%)を大きく上回るペースです。
集落数・人口ともに減少傾向
前回調査と比較可能な1,038市町村における変化を見ると、5年間での減少幅が顕著に表れています。
集落数は76,015から75,321へと694集落減少し、減少率は0.9%となりました。集落人口は1,447.8万人から1,339.7万人へと108.1万人減少し、減少率は7.5%に達しています。1集落あたりの平均人口も194.8人から180.2人へと14.6人減少しました。
集落数の減少内訳を詳しく見ると、無人化した集落が296集落、集落再編により減少した集落が617集落ありました。一方で新たに誕生した集落も219集落ありました。
将来予測で存続への不安増大
市町村による各集落の将来動向予測では、「当面存続」と回答した集落の割合が73.8%となり、前回調査の86.3%から12.5ポイント減少しました。
「いずれ無人化」すると予測される集落は4.2%、「10年以内に無人化」すると予測される集落は0.6%となっています。前回調査で「10年以内に無人化する可能性がある」とされた499集落のうち、実際に5年間で無人化したのは63集落(12.6%)でした。
交通手段とインフラの課題
無人化が危惧される集落では、市町村中心部への交通手段として、デマンドバスや乗合タクシーの利用が35.5%と最も多く、前回調査から5.9ポイント増加しています。公営路線バスは28.6%、民営路線バスは21.6%となっており、いずれも前回調査から減少しています。
インフラの管理状況も深刻で、無人化が危惧される集落の64.5%で空き家の管理が不十分な状況にあります。また、47.1%の集落で道路や用排水路、河川等の管理が不十分または荒廃している状況が確認されました。
生活サービス機能の格差拡大
12の生活サービス機能の立地状況を調査したところ、無人化が危惧される集落では、当面存続するとみられる集落と比較してすべてのサービスで立地割合が低いことが判明しました。
特に格差が大きいサービスは以下の通りです。
・商店・スーパー:無人化危惧集落3.6%、存続集落22.9%(差19.3ポイント)
飲食店・喫茶店:無人化危惧集落5.8%、存続集落20.9%(差15.1ポイント)
ATM:無人化危惧集落2.5%、存続集落12.0%(差9.5ポイント)
病院・診療所:無人化危惧集落1.7%、存続集落9.4%(差7.7ポイント)
サポート人材の活用拡大
一方で明るい材料もあります。集落支援員の活動する集落の割合は28.8%となり、前回調査の19.3%から9.5ポイント増加しました。地域おこし協力隊等の活動する集落も22.0%となり、2.1ポイント増加しています。
今回の調査結果は、過疎地域等における集落の実態を明らかにするもので、国土交通省の公表する報告書や概要は今後の地域政策立案に活用される予定です。
出典情報
国土交通省リリース,5年ぶりに過疎地域等における集落の現況を把握!~「過疎地域等における集落の状況に関する現況把握調査」結果の公表~,https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001904313.pdf