大成建設、生分解性バイオ資材を本格導入、建設現場の鉄筋・単管キャップを環境配慮型に刷新

大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、サーキュラーエコノミーおよびカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの一環として、生分解性バイオマスプラスチックを用いた鉄筋・単管キャップの製品化に成功し、2025年6月より建設現場への本格導入を開始しました。

従来の建設現場で使われてきた石油系プラスチック製品に代わり、植物由来の素材から作られた鉄筋・単管キャップの製品化に成功しています。これらの新製品使用後は土壌や海水中の微生物によりCO2と水に分解される特性を持っており、建設業界における環境負荷の大幅な軽減が期待されています。

環境問題への新たなアプローチ

地球温暖化の進行と廃棄プラスチックによる環境汚染は、現代社会が直面する深刻な課題です。建設業界においても、これらの問題への対応は急務となっており、各企業が様々な取り組みを進めています。

大成建設では、建築物の企画から解体まで全工程における脱炭素化を推進しており、特に建設現場で大量に使用される石油由来プラスチック製品の削減に注力してきました。

既存の取り組み

同社では既に、使用済み三角コーンを対象としたマテリアルリサイクルループを構築しています。

現場で不要になった三角コーンを回収し、洗浄・粉砕・ペレット化の工程を経て、新たな三角コーンとして現場に供給する仕組みです。この循環システムにより、廃プラスチック発生量抑制とCO2排出量削減を両立しています。

新製品の詳細と特徴

今回開発された鉄筋・単管キャップは、植物を原料とする生分解性バイオマスプラスチックで製造されており、2025年6月から東京都内の11箇所の建設現場で実際に使用が始まっています。

優れた耐久性能の実現

これまでの生分解性プラスチック製品は、紫外線や湿気の影響で早期に劣化するという問題がありました。しかし、新製品では株式会社カネカが開発した「Green Planet®」という高品質素材を採用することで、この課題を克服しています。

バイオマス度99%以上の優秀な素材を使用し、製品の厚みを最適化することにより、屋外での6か月にわたる暴露実験においても、従来の石油系プラスチック製品と同等の性能を維持することが確認されています。

現場での使いやすさを重視

新製品の使用感や作業効率は、既存製品と変わらない水準を確保しています。鉄筋や単管パイプへの装着時の感触や操作性については、実際の建設現場での試験を通じて検証済みです。

また、製品の色をオフホワイトに設定することで、従来の製品との判別が容易になり、回収作業時の分別ミスを防止できます。

環境負荷の大幅削減

植物由来の原料で作られた製品は、使用後に土壌や水中の微生物によって二酸化炭素と水に完全分解されます。この分解過程で発生する二酸化炭素は、原料植物が成長時に吸収した二酸化炭素と相殺されるため、CO2収支の均衡が保たれます

生分解性という特性により、自然環境への負荷を最小限に抑えることができ、海洋汚染や生態系への悪影響が懸念されているプラスチック廃棄物問題の解決にも貢献します。

今後の展開と将来展望

大成建設では、鉄筋・単管キャップでの成功を足がかりに、他の仮設材料や建設用プラスチック製品についても、順次生分解性バイオマスプラスチックへの転換を進める計画です。

包括的な環境戦略

同社は、既存のリサイクルシステムの運用と新しい生分解性材料の導入という二つのアプローチを組み合わせることで、建設業界における環境負荷の更なる削減を目指しています。

この統合的な取り組みにより、循環型経済の実現と温室効果ガス排出量の大幅削減を同時に達成し、サーキュラーエコノミーおよびカーボンニュートラルの実現に貢献していく方針です。

製品の仕様と用途

鉄筋や足場用単管パイプの先端に装着する保護用キャップのことで、作業員の怪我防止や設備の損傷回避を目的として建設現場で広く使用されている仮設材料です。従来品はプラスチック製であったため、使用後の処理方法が課題となっていました。

材料リサイクルシステムについて

建設現場で使用済みとなった三角コーンを対象とした再資源化の実証実験では、廃棄プラスチックの発生量抑制と二酸化炭素排出量の削減を同時に実現する循環システムの構築に成功しています。

この革新的な取り組みは、建設業界における環境配慮の新たな標準となることが期待されており、他の建設会社による同様の取り組みの拡大も見込まれています。

出典情報

大成建設株式会社リリース,建設現場のプラスチック仮設資材を環境配慮型に刷新-生分解性バイオマスプラスチック製鉄筋・単管キャップの本格導入を開始-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/250729_10576.html