2025「京橋第一生命ビルディング」建て替え完了|テナントやゼネコン情報まとめ

目次
トレンドワード:京橋第一生命ビルディングの建て替え
「京橋第一生命ビルディングの建て替え」についてピックアップします。近年、環境配慮や持続可能な社会の実現に向けて、木材を活用した建築が注目されています。
中でも木造混構造は、木材と鉄骨・RCといった異なる構造を組み合わせることで、それぞれの長所を活かした柔軟で高性能な建物を実現できる手法です。本記事では、京橋第一生命ビルディング(キノテラス)の特徴や木造混構造建築の種類、メリット等について分かりやすく解説します。
京橋第一生命ビルディング(キノテラス)とは|2025建て替え完了
2025年に「京橋第一生命ビルディング(キノテラス)」の建て替えが完了しました。ここでは建設ゼネコンや建物概要について、分かりやすく解説します。
建物概要
- 主要用途:オフィス、店舗
- 規模:【階数】地上12階・地下2階建、【延床面積】約16,000㎡
- 構造:木造ハイブリッド構造(木造+鉄骨造)
- 防火地域:防火地域等の区分
- 耐火建築物:耐火建築物等の要件
- 敷地面積:1,332.24㎡
- 建築面積:1,230.78㎡
- 延べ面積:16,140.31㎡
- 軒高:53.02m
- 最高の高さ:55.98m
- 構造用木材使用量:約680㎡(うちCLT、LVL等の使用量:約250㎡)
ゼネコン|清水建設
「京橋第一生命ビルディング建て替え」の担当ゼネコンは、清水建設です。
アクセス
京橋第一生命ビルディング(キノテラス)の所在地は「東京都中央区京橋二丁目4-12」です。
- 東京地下鉄銀座線 京橋駅 徒歩1分
- 東京都浅草線 宝町駅 徒歩3分
東京地下鉄銀座線の京橋駅に直結しており、雨の日でも濡れずにアクセスが可能です。歴史的な建物と現代的なオフィスビルが共存しているエリアで、ビジネスと観光の両方に適しています。
また飲食店やショッピング施設も充実しており、ビジネスオフィスとして人気となっています。
設備
京橋第一生命ビルディング(キノテラス)の設備は、下記のようになっています。
- 天井高:2800mm
- 空調:個別タイプ
- エレベーター:6基
- 情報通信設備:光ファイバー
- セキュリティ:機械警備
- 建物設備:Low-eペアガラス採用、全館LED照明
- 駐車場:43台(機械式39台、荷捌用4台)
駐車場は地下2階に設置されており、天候に関わらず快適に移動可能です。
テナント
- 6階~12階 事務所
- 5階 展示場・事務所
- 4階 展示場
- 3階 物販店舗
- 2階 飲食店舗・オフィスエントランス
- 1階 物販・飲食店舗
- 地下1階 飲食店舗
- 地下2階 機械式駐車場
京橋第一生命ビルディング(キノテラス)には、オフィスだけでなく飲食店舗や物販店といったテナントが入居しています。
京橋第一生命ビルディング(キノテラス)のポイント
ここでは、京橋第一生命ビルディングのポイントを解説します。
都心一等地の立地
京橋第一生命ビルディングは、東京駅や銀座、日本橋から至近という都心の一等地に位置しています。交通アクセスの良さに加えて周囲にはオフィス、商業施設、文化施設が集積しており、ビジネス・観光・生活の拠点として非常に利便性が高いロケーションです。
木材活用による環境配慮建築
京橋第一生命ビルディングでは、国産木材を積極的に活用したハイブリッド構造を採用しています。木材は再生可能資源でありCO₂吸収効果もあるため、建築段階から環境負荷の低減に配慮しているのが強みです。
こういった取り組みは、サステナブルな都市づくりの象徴的な存在として幅広い分野から注目されています。
40m×17mの木質無柱空間
館内には、木造建築としては大規模な「40m×17m」の無柱大空間が設けられています。柱がないことで視界が開け、自由度の高い空間活用が可能です。
銀座方向・日本橋方向に視線が抜けていく空間構成により、開放的な印象になっています。木の温もりとスケール感が共存することで、快適に過ごせます。
国内最大級の木造混構造ビル
京橋第一生命ビルディングは、延床面積約35,000㎡を超える国内最大級の木造と鉄骨・鉄筋コンクリートの混構造建築です。高層ビルでありながら木材を主要構造材に取り入れることで、都市と自然の共生を体現する新しい建築モデルを提示しています。
「木造混構造」とは

ここでは、注目度が高まっている「木造混構造」について分かりやすく解説します。カーボンニュートラルの観点から、今後の広がりが期待されています。
木造混構造のメリット
木造混構造とは木材と鉄骨・鉄筋コンクリート(RC)を組み合わせた建築手法で、それぞれの素材の長所を活かすのが特徴です。
まず木材はCO₂を吸収・固定する性質があり、建築時の環境負荷を低減できる点でサステナブルな建材です。また調湿性・断熱性に優れ、木の温もりによる快適な空間づくりにも貢献します。一方で鉄骨やRCは耐震性や高層化に強く、構造の安定性を確保できます。
木材と鋼材を組み合わせることで、デザイン性・機能性・環境配慮をバランス良く備えた建築が実現します。
木造混構造の種類
木造混構造には、下記のような種類があります。
【参考】国土交通省|木質系混構造建築物の構造設計の手引き
①X、Y 方向で構造が異なる
こちらは、建物の長手方向(X方向)と短手方向(Y方向)で異なる構造形式を採用する方法です。それぞれ異なる建材を用いることで、地震や風などの水平力に対する耐力を最適化できます。
設計の自由度が高く、敷地条件や建物用途に応じて柔軟に対応できるのがメリットです。
②高さ方向に構造が異なる(立面混構造)
立面混構造は、建物の階数によって構造を変える方式です。具体的には上図のように、下層階に鉄骨やRC構造を使用して強度を確保し、上層階には軽量で環境性能に優れた木造を採用するのが一般的です。
これにより建物全体の重量を軽減しつつ、地震時の揺れや負担を下層に集中させない構造設計が可能となります。
③平面的に構造が異なる(平面混構造)
平面混構造とは、建物のフロア内でエリアごとに構造を変える方法です。たとえば建物の半分にはRC造を使い、残り半分に木造のオフィスや店舗空間を配置するなど、用途やデザインに応じて空間を最適化できます。
④部材ごとに構造が異なる
こちらは、柱・梁・床・壁などの構造部材ごとに異なる材料を使う方法です。たとえば梁に鉄骨、柱に木材、床にRCスラブを組み合わせるといった構成が考えられます。
各部材の性能を最大限に活かすことで、強度、耐久性、施工性、環境性能などをバランスよく確保できます。
京橋第一生命ビルディング(キノテラス)の「木造ハイブリッド構造」とは
ここでは京橋第一生命ビルディング(キノテラス)の「木造ハイブリッド構造」について解説します。大手ゼネコンの清水建設が開発した木造・木質化技術「シミズ ハイウッド」を導入することで、適材適所の建築が実現しています。
ハイウッドビーム(耐火木鋼梁)2時間耐火仕様
「ハイウッドビーム」とは、木質部材でありながらロングスパンに対応できる耐火木鋼梁です。今回、中高層建築物にも適用可能な2時間耐火仕様の部材が新たに開発され、17mスパンの大梁に適用されています。
具体的には木材を耐火被覆とした鉄骨梁で、鉄骨造の構造性能を保持しつつ木材仕上げの梁を実現できるのが特徴です。これまでの案件適用は1時間耐火仕様の部材に限られていましたが、このほど2時間耐火仕様部材の大臣認定を取得しています。
ハイウッドウォール(CLT ハイブリッド耐震壁)
「ハイブリッドウォール」は、圧縮力に強い木材と引張力に強い鋼材をそれぞれの特性を活かしながら組み合わせた耐震壁部材です。具体的には地震で生じる圧縮力をCLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)、引張力を鋼材ブレースに負担させることで、中高層建築に求められる高い耐力と変形性能を確保しています。
鉛直荷重を支持しない耐震要素として機能するため耐火被覆を施す必要がなく、木材特有の温かみのある空間創出に寄与します。
ハイウッドスラブ(RC-CLT 合成床)・サポートレス工法
「ハイウッドスラブ(RC-CLT 合成床)」は、CLTを型枠兼化粧材として活用して鉄筋コンクリート(RC)造のスラブを構築する技術です。構造・耐火性能はコンクリートスラブが担保するため、CLTへの耐火被覆が不要となり、天井面の木質化を実現できるのがメリットです。
さらに従来の木造床と比べて、音振動性能・防耐火性能が高まる効果も見込めます。従来工法はCLT床型枠を支持する支保工を下層に配置する必要がありましたが、梁にLアングル支持材を取り付けてCLTを敷設するサポートレス工法により、施工性が向上しています。
木造混構造の事例
ここでは、木造混構造の事例をご紹介します。大手ゼネコンでは大型建築の木質化に取り組んでおり、さらなる広がりが期待されています。
大林組|アトラシアン・セントラル新築工事
大林組は、オーストラリアで木造ハイブリッド構造として世界最高となる「アトラシアン・セントラル新築工事」を受注しました。オフィス、宿泊および店舗エリアを含む複合施設の建築工事で、7階から上階が鉄骨とCLTを採用した木造ハイブリッド構造となっています。
建設中に排出されるCO2については、通常の50%以下に抑制するのが目標です。さらに建物の完成後は、100%再生可能エネルギーでの稼働を目指しています。
熊谷組|福井本店
熊谷組は、創業の地にある福井本店を2021年に建て替えています。構造体は「中高層木造建築」の実現を見据えた、鉄骨造と木造のハイブリッド構造です。
耐火木材には、独自開発の木質耐火部材「断熱耐火λ-WOOD(ラムダウッド)」を使用しています。この木造部分には一部、8mのロングスパンを採用しているのが特徴です。
大断面集成材による柱、梁とCLT耐震壁を併用し、北陸の厳しい冬の積雪荷重にも耐えられる都市型木造建築としています。木造建築の普及は、カーボンニュートラルの観点からも注目されています。
まとめ
2025年に、京橋第一生命ビルディング(キノテラス)の建て替えが完了しました。大規模な木造混構造建築である点が特徴で、木材と鉄骨・鉄筋コンクリート(RC)など異なる構造を組み合わせることで環境性能・耐震性・デザイン性を両立できます。
これにより、都市部においてもサステナブルで高機能な建築を実現できます。カーボンニュートラルの観点からも、さらなる広がりに注目です。