大和ハウス工業が断熱等級6を標準化、酷暑対策と省エネを両立する次世代住宅を全国展開

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大和ハウス工業株式会社(本社:大阪市、社長:大友浩嗣)が2025年7月2日から、注文戸建住宅の全商品で「断熱等級6」の標準化を段階的に開始すると発表しました。この取り組みは、平屋建てと2階建ての戸建注文住宅を対象とし、全国(省エネ地域区分1~4地域〈寒冷地および沖縄県等〉を除く)での展開となります。

近年の厳しい暑さは社会問題となっており、気象庁のデータによると、2024年夏季(6月~8月)には最高気温35度以上の猛暑日が50日を超える地域も確認されています。さらに専門機関では、将来的にも気温上昇が継続すると予測されており、住宅の暑さ対策が急務となっています。

政府の新基準「GX ZEHシリーズ」への対応

こうした状況を受け、2027年4月から、経済産業省資源エネルギー庁が定める新しいZEHの定義『GX ZEHシリーズ』が適用される予定です。これにより、住宅の省エネ性能向上がより一層求められる時代となります。

大和ハウス工業では、これまで独自技術の「内外ダブル断熱」により「断熱等級5」を標準仕様としてきました。また、太陽光発電システムの標準搭載によって、鉄骨造・木造の戸建注文住宅全商品でZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に対応し、2024年度着工の戸建分譲住宅を含む全戸建住宅のZEH比率は過去最高の99%を記録しています。

「高断熱×高天井」が生み出す快適空間

今回の「断熱等級6」標準化により、同社は「酷暑でもエコで涼しい暮らし」の実現を目指しています。従来の2.72mという高い天井高も引き続き標準仕様とすることで、断熱性能の向上と開放感を両立させた住環境を提供します。

断熱性能の飛躍的向上

国土交通省の調査によると、2022年時点で市場全体の住宅ストック約5,400万戸のうち、現行の省エネ基準(断熱等級4)以上に適合している住宅はわずか18%に留まっています。約8割が断熱等級3以下であり、断熱等級1相当の住宅も24%と推計されているのが現状です。

この課題に対し、同社は従来オプション仕様だった「内外ダブル断熱(エクストラ断熱仕様)」を標準仕様として採用しました。この仕様では、断熱材の厚みが鉄骨商品で総厚184mm、木造商品で総厚150mmとなり、優れた気密性・断熱性を実現しています。

具体的な効果と経済性

「断熱等級6」の戸建住宅では、「断熱等級3」と比較して顕著な効果が期待されます。

■温度制御効果

最高気温40℃の環境下において、2.72mの天井高でもエアコン停止時の温度上昇を最大約5~6℃抑制

高い断熱性能により、快適性を保ちながら開放的な住空間を実現

■経済効果

「断熱等級3」と比較し、年間光熱費を約7.1万円削減

太陽光発電システム搭載により、年間光熱費を約14.1万円削減

対象商品の段階的拡充

「断熱等級6」標準化の対象となるのは、自由度の高い間取りや外装・内装、設備等にこだわることができる「戸建注文住宅商品」と、自由設計と規格住宅の利点を活かして価格を抑えた規格・セミオーダー住宅「Smart Made Housing.(スマートメイドハウジング)」です。

展開スケジュール

■2025年7月2日開始

・軽量鉄骨造平屋建て・2階建て戸建注文住宅「xevo Σ(ジーヴォシグマ)」

・木造平屋建て・2階建て戸建注文住宅「xevo GranWood(ジーヴォ グランウッド)」

・「xevo BeWood」等

■2025年10月1日拡充

・重量鉄骨造3階建て戸建注文住宅「skye3(スカイエスリー)」

・重量鉄骨造4・5階建て戸建注文住宅「skye」

この段階的な展開により、戸建注文住宅全商品(『xevo M3』を除く)での『断熱等級6』標準化を目指しています。

「GX ZEHシリーズ」の概要

「GX ZEHシリーズ」は、外皮(外壁や窓などの建物と屋外の熱的境界)の断熱性能を大幅に向上させ、高効率な設備システムを導入することで、室内環境の質を維持しながら大幅な省エネルギーを実現する住宅です。再生可能エネルギーの導入により、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目標とし、今後の新しい省エネ基準となる見込みです。

この基準では「断熱等級6」に加え、再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量を基準値から35%以上削減することなど、複数の基準が設定されています。

持続可能な社会への貢献

大和ハウス工業は今後も断熱性能とエネルギー効率の向上を継続し、日本の社会課題となっている「酷暑」対策に積極的に取り組んでいきます。この取り組みを通じて、2050年カーボンニュートラル実現に向けた貢献を果たしていく方針です。

住宅業界における環境負荷軽減と居住者の快適性向上を両立させる同社の取り組みは、今後の住宅市場において新たな標準となることが期待されます。

出典情報

大和ハウス工業株式会社リリース,■高い断熱性能と高い天井高の実現により快適で開放的な住環境を提供 戸建注文住宅で ZEH水準を上回る「断熱等級6」を標準化,https://www.daiwahouse.co.jp/about/release/house/20250701163338.html