大成建設、T-WOOD TAIKAの適用範囲を大幅拡大、一般認定取得で建築確認申請を簡素化

2025年6月26日、大成建設株式会社(社長:相川善郎)は、同社が2018年に開発した木質ハイブリッド耐火柱「T-WOOD TAIKA」について、部材仕様の大幅な拡充を発表しました。この度、日本建築センターから一般構造評定および1時間耐火の国土交通大臣認定を新たに取得したことで、幅広い建築プロジェクトでの活用が実現されることになります。
従来の課題を解決する画期的な認定取得
これまで「T-WOOD TAIKA」を建築物に使用する際は、対象となる建物ごとに構造評定および耐火大臣認定を個別に取得する必要がありました。この手続きには多くの時間が必要であり、建築確認申請において大きな負担となっていました。
今回の一般認定取得により、こうした個別評定の取得が不要となり、標準的な建築確認申請の手続きで対応できるようになります。これにより、設計期間の大幅な短縮が期待され、より多くの建築プロジェクトでの採用が促進されるでしょう。
T-WOOD TAIKAの基本構造と実績
「T-WOOD TAIKA」は、角形鋼管柱の外側を集成材で補強・被覆した建築構造部材です。この技術は、これまでに公共建築物をはじめとする多数の中層建築物で採用されてきた実績があります。
しかし、従来は部材の断面サイズや集成材の樹種・強度等級などの仕様に制約があり、適用範囲が限定されていました。こうした課題を解決するため、大成建設では追加の構造実験および耐火性能実験を重ね、幅広い仕様での安全性を検証してきました。
新たな適用範囲の詳細
今回の仕様拡充により、「T-WOOD TAIKA」は以下のような進化を遂げました。
■申請手続きの簡素化を実現
一般認定の取得により、建築確認申請の手続きが大幅に簡素化されます。従来必要だった物件ごとの個別評定取得が不要となり、通常の建築確認申請で対応可能となりました。この変更により、対象となる建築プロジェクトの範囲が拡大し、設計期間の短縮も期待されます。
■鋼管仕様の多様化
角形鋼管の強度については、従来の490N/mm2級のみから400~490N/mm2級へと幅が広がりました。また、断面サイズも200mm角限定から75~200mm角まで対応可能となりました。
この拡充により、柱にかかる軸力に応じた最適な設計が可能となり、建築計画のバリエーションが大幅に増加します。設計者は、建物の規模や用途に応じて、より合理的な部材選択ができるようになります。
■集成材の選択肢拡大
補剛材・燃えしろ層・仕上げ材として使用される集成材についても、大きな変更が行われました。従来はヒノキ材のみでしたが、新たにカラマツ材やスギ材をはじめとする多様な樹種が追加されました。
さらに、樹種に応じた強度等級の選択も可能となり、地域産の特色ある木材の採用が実現できます。これにより、地域材の活用促進にも貢献することが期待されます。
■構成方法の多様化
集成材の構成方法についても改良が図られました。従来の「コの字二丁合せ」に加えて、「4枚板張合せ」も選択可能となりました。この変更により、デザインの多様化が実現されるとともに、材料ロスの削減にも貢献します。
最初の適用事例
適用範囲を拡大した「T-WOOD TAIKA」の最初の建築プロジェクトとして、鉄骨造8階建てオフィスビルへの採用が予定されています。この事例は、新しい仕様の有効性を実証する重要な機会となるでしょう。
今後の展開と期待される効果
大成建設では、この木質ハイブリッド耐火柱「T-WOOD TAIKA」を様々な用途や規模の建築物へ積極的に採用していく方針を示しています。木材利用に対する発注者のニーズに的確に応えるとともに、木材の利用促進に貢献していくことを目指しています。
今回の仕様拡充により、「T-WOOD TAIKA」は建築業界における木材利用の新たな可能性を切り開くことになるでしょう。耐火性能を保ちながら木材の温かみを活かした建築物の設計が、これまで以上に幅広く実現されることが期待されます。
技術の背景と意義
「T-WOOD TAIKA」は、大成建設が開発した木質耐火部材シリーズの一つです。このシリーズには、ハイブリッド耐火柱の他にも、準耐火鉄骨柱、1時間耐火CLT現し耐火壁および1時間耐火木質柱・梁といった製品が含まれています。
これらの技術は、建築物の安全性を確保しながら、木材の持つ自然な美しさや環境性能を最大限に活用することを目的としています。今回の適用範囲拡大により、木材を使用した建築物の可能性がさらに広がることになるでしょう。
出典情報
大成建設株式会社リリース,集成材と鋼管柱を一体化したハイブリッド耐火柱「T-WOOD® TAIKA」の適用範囲を拡大-一般評定取得と仕様拡充により、多様な建築プロジェクトへの採用が可能に-,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2025/250626_10542.html