【2025年版】建設業許可の更新完全ガイド|費用・時期・必要書類・電子申請までわかる!

建設業を継続するためには「建設業許可の更新」を適切なタイミングで行うことが欠かせません。しかし「いつ更新すべきか」「どの書類が必要か」「費用はいくらかかるのか」など不安を抱える経営者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、2025年最新の法改正・運用状況を踏まえ、更新の時期、必要書類、費用、よくある失敗例、電子申請の対応状況までわかりやすく解説します。
建設業許可の概要から知りたい方は、以下の記事がおすすめです▼
目次
建設業許可は何年ごとに更新?
建設業許可は、原則として5年ごとの更新が必要です。
(参考:e-GOV法令検索「建設業法|第3条の3」)
建設業許可を取得した企業は例外なく更新の対象となるため、取得した年月日から、どれくらいの期間が経っているのかを、定期的に確認する必要があります。
更新しないとどうなる?
建設業許可の更新を怠ると、その日をもって許可が失効し、許可業者として工事を請け負うことができなくなります。具体的な影響を以下に整理しました。
- 公共工事の入札資格を喪失する(許可番号が無効化されるため)
- 元請・下請契約の更新・締結ができない
- 許可を失効した場合、再取得までに2~3か月程度かかり機会損失が発生する
- 社会保険加入など許可維持条件を満たしている必要がある
更新は「毎年ではなく5年ごと」であるため忘れがちですが、更新漏れによる機会損失・信用失墜により、取り返しがつかない状況に陥ることも少なくありません。
公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない「経営事項審査(経審)」を受けているなら、特に影響が特に大きいため、余裕を持った準備が必須です。
建設業許可の更新の必要書類・準備【福岡・大阪・全国共通】
建設業許可を更新する際には、必要書類の不備で差戻しや遅延が多発するため、早めの準備が必須です。
なお、更新申請をスムーズに完了させるためには、全国共通で求められる書類と、各自治体(福岡県・大阪府)で追加提出が必要な書類を正確に把握することが重要です。
全国共通の必要書類一覧
書類名 | 内容・ポイント |
許可申請書(更新用) | 法定様式第1号等 |
営業所の写真 | 最新の営業所外観・内部 |
営業所の地図 | グーグルマップ等でも可 |
常勤役員等の証明書 | 健康保険証・住民票など |
身分証明書 | 市区町村役場で取得 |
登記されていないことの証明書 | 法務局で取得 |
財務諸表・決算報告書 | 直前1期分 |
納税証明書 | 法人税・消費税の納税証明 |
参考:国土交通省「許可後の手続き」
特に、「決算変更届の提出が完了していないと更新できない」点には注意しなければなりません。
加えて、証明書類は取得から3か月以内のものが必要であるほか、営業所が移転している場合、事前に変更届を提出しておく必要があります。
福岡県・大阪府での追加必要書類と注意点
地域別の違いの一例として、福岡県・大阪府では全国共通書類に加えて、次のような提出物があります。
【福岡県の場合(一例)】
- 営業所周辺の詳細地図(住宅地図レベル)
- 保険加入の確認資料
参考:福岡県庁「許可申請書・確認資料一覧表〔チェックリスト〕」
【大阪府の場合(一例)】
- 役員等の一覧表
- 健康保険等の加入状況
参考:大阪府「建設業許可申請書類(法人用)」
また福岡・大阪ともに電子申請での対応が可能な場合がありますが、書類の事前確認・添付資料の準備が不十分だとエラーが起こりやすいため注意が必要です。
更新費用はいくらかかる?相場と内訳
建設業許可の更新には、行政手数料・準備費用・専門家報酬が発生し、高額になりやすいため、事前に総額を把握しておく必要があります。
以下より、費用に関わるポイントを紹介します。
更新費用の相場(行政手数料+専門家報酬)
まず、行政手数料は建設業許可の更新で必ず発生する費用です。
- 建設業許可の更新手数料(知事許可):50,000円(収入証紙)
- 国土交通大臣許可の場合:50,000円(収入印紙)
参考:国土交通省「許可後の手続き」
全国一律であるため、予算を確保しておきましょう。
また、自社で更新をせず専門家に代行してもらう場合には、専門家報酬が発生します。行政書士等へ更新申請を依頼する際の報酬額は、地域や依頼内容によりますが以下が目安です。
- 相場:8万円~15万円程度
- 決算変更届の未提出がある場合、別途費用(1~5万円程度)がかかることも
書類の不備による差戻しリスクを避けたい場合は、専門家への依頼がおすすめです。
なお、許可更新と同時に経営事項審査を受ける場合、本項の費用とは別に、申請費用が発生する可能性があると覚えておきましょう。
自分で更新する場合の費用比較
自分で更新手続きを行う場合は、行政手数料の5万円+書類準備費用(交通費・証明書類発行手数料)が主なコストです。以下のような費用もかかるため、5万5,000円位を目安にしておくとよいでしょう。
身分証明書取得:300円前後(市区町村役場)
登記されていないことの証明書:300円(法務局)
営業所写真印刷・交通費:1,000円~5,000円程度
なお、自社対応すれば専門家報酬をまるごと節約できます。更新のノウハウがある場合には、自社対応も視野に入れましょう。
建設業許可の更新の流れ|いつから始めるべき?
建設業許可の更新の手順を一覧化しました。
時期 | やること | 詳細ポイント |
更新期限の確認 | 有効期限・満了日を確認 | 期限の30日前までに申請が必要(建設業法第3条) |
3か月前 | 更新準備開始 | ・決算変更届が提出済か確認(未提出だと更新不可)・必要書類のリストアップ |
2か月前 | 必要書類収集 | ・身分証明書(市区町村役場)・登記されていないことの証明書(法務局)・納税証明書・営業所写真・地図・社会保険等加入状況資料(自治体による) |
1か月前 | 書類最終確認 | ・記載漏れ・誤記の有無をチェック・営業所移転があれば変更届提出 |
期限30日前まで | 申請書提出 | ・管轄の都道府県庁(知事許可)または国交省(大臣許可)へ提出・受理証(受付票)の保管 |
申請後 | 結果待ち | ・不備があれば修正・再提出・許可更新の承認後、新しい許可証交付 |
更新完了後 | 許可証管理 | ・許可番号・有効期限を管理表で更新・経審・公共工事入札資格の更新対応 |
更新準備の遅れで期限ギリギリに駆け込み申請される方も多いですが、不備が見つかると受理されず許可が失効するリスクがあります。
特に、公共工事を受注している事業者は、更新が間に合わないと入札資格を失うため注意が必要です。
建設業許可の更新手続きでよくある失敗例・注意点
建設業許可の更新では、次のようなミスやトラブルが原因で、許可を失い事業がストップするケースも少なくありません。
- 提出書類の不備による差戻し
- 決算変更届未提出による更新不可
- 更新期限切れによる失効
上記のトラブルを防止するためにも、更新期限の3か月前から準備開始を徹底することはもちろん、記入内容のダブルチェックや、第三者チェックを活用しましょう。
また、証明書類の発行日は必ず申請3か月以内のものを用意すること、決算変更届の提出状況を常に把握し、未提出の場合は即対応することを意識して動くことが重要です。
更新期限切れ・失効時の対応
万が一、建設業許可の更新を期限内に行わず失効してしまった場合には、即座に対応しなければ営業継続が困難になります。
特に、公共工事の入札資格を持つ事業者は失効と同時に資格を失うため注意が必要です。
なお、許可が失効した場合には、再度「新規申請」として建設業許可を取り直す必要があります。以下に手順をまとめました。
- 失効を確認する
- 再申請準備を開始する
- 管轄行政庁へ相談する
- 新規許可申請を提出する
- 許可取得後の再体制を構築する
許可申請の審査機関は、通常2~3か月程度かかります。その間は事業が停止し、売上・信用面で大きなダメージを受けるリスクがある点に注意してください。
建設業許可の更新についてよくある質問【FAQ】
建設業許可更新の裏ワザはある?
裏ワザというものはありませんが、更新準備を早めに開始し、行政書士にチェックしてもらうことで書類不備のリスクを防げます。また決算変更届の提出状況を常に管理し、電子申請を活用すれば役所に出向く回数を減らせる点が効率化のポイントです。
建設業許可は毎年更新が必要ですか?
建設業許可の更新は原則5年ごとであり、毎年更新する必要はありません。ただし毎事業年度終了後4か月以内に決算変更届の提出が義務づけられており、この届出を提出していない場合は更新申請ができず失効する可能性があるため注意が必要です。
更新費用を抑える方法は?
更新費用を抑えるためには、自分(自社)で手続きを行うことが有効です。ただし、不備による差戻しリスクがあります。決算変更届の管理徹底で追加費用を防ぐことも有効です。
何日前までに申請すべき?
建設業許可更新の申請は、許可の有効期限満了日の30日前までに受理される必要があります。ただし不備による差戻しリスクを考慮すると、3か月前から準備を開始し、1か月前には申請を済ませておくことが安全です。早めの対応が、公共工事入札資格保持にもつながります。
更新の電子申請はできますか?
福岡県や大阪府など一部自治体では、建設業許可更新の電子申請に対応しています。ただし添付書類の準備が不十分だとエラーで申請できず、結局窓口対応となる場合もあります。電子申請の可否や対応方法は各自治体の公式サイトで事前確認しましょう。
まとめ
建設業許可の更新は5年ごとであり、更新手続きを怠ると許可が失効し公共工事入札資格を失います。
更新の準備は3か月前から始め、決算変更届の提出状況を確認し、必要書類を揃えて不備なく進めることが重要です。スムーズな更新は事業継続と信用維持に直結するため、早めの準備でトラブルを防ぎ、安心して経営を継続できる体制を整えましょう。