建設業振興基金とは?監理技術者講習・合格発表・キャリアアップ支援を徹底解説【2025年最新版】

建設業振興基金は、施工管理技士・監理技術者といった建設業界で働く技術者の資格取得やキャリアアップを支援する公益法人です。しかし、具体的にどのような支援を提供している団体なのか、よくわからないとお悩みではないでしょうか。

そこでこの記事では、2025年最新版の情報と一次データを踏まえ、建設業振興基金の概要や支援内容、利用するメリット・注意点についてわかりやすく解説します。

建設業振興基金とは?

出典:建設業振興基金公式サイト

建設業振興基金とは、建設業に従事する技術者の資格取得や講習を支援する公益法人のことです。国土交通省の監督のもとで運営されており、次のような支援を提供しています。

  • 施工管理技士試験の実施・合格発表
  • 監理技術者講習の実施
  • キャリアアップシステム(CPD単位管理など)との連携支援

特に、近年の建設業界は人材不足が深刻化していることから、技能者のキャリアアップや技術力の底上げが不可欠です。

そのようななか、令和7年5月時点で、施工管理技士などを含む「監理技術者資格者」の資格保有者数が、全国で約69万人にのぼり、多くの技術者が基金の支援を受けてステップアップしています。

出典:建設業技術者センター「監理技術者資格者証の保有者数」

公共工事の担い手確保を支援する団体であることから、人手不足倒産の発生件数の多い建設業界になくてはならない存在だと言えます。

建設業振興基金が実施する資格・講習・合格発表情報

建設業振興基金は、業界でのキャリア形成に直結する次の支援を提供しています。

  • 資格試験や講習の実施
  • 合格発表の提供
  • キャリアアップ支援

施工管理技士や監理技術者を目指す技術者を対象とした業務に関わる支援です。ここでは、それぞれの支援内容をわかりやすく解説します。

監理技術者講習

監理技術者講習は、監理技術者資格を維持・取得するために開催されている法定講習です。建設業振興基金が年数回開催しており、対象となる技術者は5年ごとに講習を受講しなければなりません。

※未受講の場合、現場配置ができなくなる

【監理技術者講習の概要】

  • 開催会場:全国47都道府県にあり(オンライン受講も可)
  • 受講費用:会場受講(9,500~10,000円)、オンライン受講(9,500円)
  • 受講方法:マイページからの申込
  • 受講後:修了証交付、キャリアアップシステム(CPD単位加算可)

参考:建設業振興基金「監理技術者講習」

監理技術者講習は、キャリアを維持する重要な講習です。工事等に関わる建設企業に必須の講習であるため、申込期間・会場に注意し、早めのスケジュール確保が必要です。

施工管理技士試験(合格発表スケジュール)

施工管理技士試験(1級・2級)は、施工業務に関わる知識や知見をもつことを証明できる試験です。以下に、各級の試験スケジュールをまとめました。

スケジュール1級建築施工管理技術検定
(令和7年度)
2級建築施工管理技士
(令和7年度)
一次検定申込期間2/14~2/282/7~2/28
試験日7/206/8
合格発表日8/227/9
二次検定申込期間2/14~2/28
第一次検定のみの受検申請に限り4/7まで
7/9~7/23インターネット申込は6/25〜7/23
試験日10/1911/9
合格発表日翌年1/9翌年2/6

出典:建設業振興基金「1級 建築施工管理技術検定のご案内」 「2級 建築施工管理技術検定のご案内」

※上記以外にも業種に分けて複数の試験が開催されています。

なお、合格発表は建設業振興基金の公式ホームページ・マイページで確認可能です。

また、上記で整理した建築系の資格ではなく、土木施工管理技士の資格試験について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください▼

キャリアアップシステムとの連携(CPD制度)

建設業振興基金の資格講習・試験結果は、キャリアアップシステム(CCUS)と連携可能です。技術者の資格管理・スキル証明に役立ちます。

まず、キャリアアップシステム(CCUS)は国交省が推進する技能者管理システムのことであり、資格・講習履歴を一元管理することにより、労務管理・評価加点・現場入場管理の効率化を図れます。

(参考:建設業振興基金「建設キャリアアップシステム」

現場管理・キャリア形成・入札加点・評価制度対応がスムーズになるため、建設業務に必要な情報の管理に役立ててみてください。

また、建設キャリアアップシステムについて詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください▼

建設業振興基金の活用メリット

建設業振興基金は、施工管理技士や監理技術者を目指す技術者、そして技術者を雇用する建設会社にとって重要な支援制度です。

ここでは、基金を活用する具体的なメリットを解説します。

【メリット1】資格取得・人材育成で助成金を最大活用できる

建設業振興基金を活用すれば、国や自治体の助成金制度と併用することで、資格取得・講習受講にかかる費用負担の削減が可能です。

まず、施工管理技士・監理技術者の資格取得は、企業にとって必須の内容ですが、受験料や講習費用がかかり、中小事業者ほど負担が大きいのが現状です。対して、基金講習・試験を受講すれば、助成金対象となるケースが多く、人材育成コストを抑えつつ計画的な資格取得が可能となります。

社員の資格取得率を上げるほど、現場配置・入札加点にも直結するため、積極的な活用がおすすめです。

【メリット2】人材確保・採用力向上に役立つ

建設業振興基金の活用で社員の資格取得・スキルアップが進むと、会社としての採用力・現場配置力が向上し、人材確保・定着の問題を解消しやすくなります。

近年の建設業界では、慢性的な人材不足が発生しており、施工管理技士・監理技術者の有資格者はどの現場でも引く手あまたです。そのため、基金を活用し社内で資格取得を促進することで、公共工事の入札条件を満たせるだけでなく、社員のキャリア形成・モチベーション向上にもつながり、人材確保・定着率向上が見込めます。

建設業振興基金の注意点

建設業振興基金は、資格取得・講習受講・キャリアアップに役立つ便利な制度ですが、活用時には必ず以下のポイントを確認しておきましょう。

  • 申込期間・書類提出期限の厳守
  • 勘定科目の正確な処理
  • 領収書・修了証などの保管

基金による講習・試験申込は「期間」が決まっており、申し込み忘れ・提出遅れがあると、資格取得や講習更新ができなくなります。

また、講習費用・受験料の処理は「支払手数料」「研修費」「雑費」などに分かれることがありますが、経理担当者ごとで処理があいまいになりやすく、税務調査時に根拠資料の提示を求められる場合があります。

上記のトラブルを回避するためにも、スケジュール管理表や社内ルール化を行い、経理担当者と現場担当者の情報共有を習慣化しておくと良いでしょう。

建設業振興基金のよくある質問【FAQ】

建設業振興基金の会計処理・勘定科目の取り扱いは?

建設業振興基金への受験料や講習費は「研修費」「支払手数料」で処理するのが一般的です。テキスト代は「消耗品費」扱いになることもあります。税務調査時に領収書の提示が求められる場合もあるため、必ず保存し、経理担当者と処理ルールを統一しておきましょう。

合格発表はいつどこで確認できますか?

施工管理技士試験の合格発表は、例年1~2月頃(試験の種類による)、建設業振興基金公式サイトまたはマイページで確認が可能です。受験番号・生年月日で照会できるため、合格後は速やかに登録講習やキャリアアップシステム連携を進めましょう。

マイページ登録方法は?

建設業振興基金のマイページは公式サイトから登録可能です。氏名・生年月日・メールアドレスなどを入力すれば、5分程度で登録完了します。マイページでは講習申込・合格発表確認・受講履歴などのチェックができます。忘れがちなパスワードも控え、安全に管理しましょう。

まとめ

建設業振興基金は、施工管理技士や監理技術者講習、キャリアアップシステム(CPD対応)などを通じて建設業界でのキャリア形成・人材育成を強力に支援する公益法人です。

基金を活用することで「資格取得・講習受講の負担軽減」「助成金との併用で人材育成コスト削減」「有資格者の採用力向上・入札加点」など、多くのメリットがあります。ただし、申込期間・書類管理・勘定科目処理に注意し、社内で情報共有を徹底することが重要です。