【2025年版】犬走りコンクリートとは?費用・デメリット・施工方法を徹底解説

住宅の外周部に設けられる細長い舗装スペースである犬走りは、メンテナンス性や耐久性に優れており、近年DIYや外構工事の選択肢として注目されています。しかし、設置するにあたり、どのようなデメリットなどがあるか気になっている人も多いでしょう。
そこでこの記事では、犬走りコンクリートの概要を説明したのち、施工方法やデメリットなどについてわかりやすく解説します。
目次
犬走りとは?
犬走りとは、住宅の外周を取り囲むように設置する細長いスペースのことを指し、主に次のような材料を敷き詰めることで、土のままだとぬかるみや泥はねを防止します。
- コンクリート
- 砂利
建物の保護や美観向上に貢献する重要な舗装であり、多くの住宅やビルなどの外周に設置されています。また建物以外でも、土木舗装設計において、舗装端部の移動スペースとして犬走りが設けられることがあります。
出典:国土交通省「設計要領(道路編|土工一般)」
実際に国土交通省が公開している「設計要領」には、上記のように、犬走りの設置基準などがまとめられています。
犬走りの主な役割(防汚・防湿・通路など)
犬走りの役割は、建物の基礎を守ること、そして外壁を清潔に保つことです。
たとえば、土壌と基礎との間に緩衝地帯を設けることで、湿気がこもりにくくなりシロアリ対策や結露防止に役立ちます。また、家の周囲を歩きやすくする通路としても機能するため、建物の維持管理(点検など)に役立つのが特徴です。
▼犬走りコンクリートと土間コンクリートの違いを知りたい方はこちら
犬走りを設置するべき家の特徴
犬走りは、主に次のような家に設置すべきだと考えられています。
条件 | 理由・補足 |
建物周囲に土や庭が多い | 雨による泥はねで外壁が汚れやすいため |
基礎高さが低い or 湿気がたまりやすい構造である | 通気性・防湿対策として有効となる |
外壁が白系・明るい色である | 汚れが目立ちやすいため犬走りで保護する |
敷地に傾斜や排水問題がある | 雨水処理・水はけ改善に貢献する |
敷地境界までの距離が近い | 雑草対策や歩行導線として役立つ |
特に雨が多い地域や外構スペースが狭い住宅では、犬走りの効果が発揮されやすくなります。また、基礎部分の結露やカビ対策にも有効で、住宅の耐久性を高める施策として設置されるケースが増えています。
犬走りに使うコンクリートの基本
犬走りにコンクリートを使用する際には、厚みや強度、施工の仕上げ方法を適切に選ぶことが重要です。
ここでは、コンクリートの厚みや強度の基準、さらに砂利との比較までを詳しく解説します。
犬走りコンクリートの標準的な厚みと強度
犬走りに使うコンクリートには、具体的な基準が定められているわけではありません。ただし、一般的なコンクリートの基準で言うと、次の厚みや強度が必要だと考えられています。
- 厚み(最低でも10cm(100mm)程度)
- 強度(21N/mm²(呼び強度21))以上
犬走りは外周部で地盤の影響を受けやすく、重機や人の往来もあるため、最低限の構造強度と厚みが必要です。薄すぎるとひび割れや沈下のリスクが高まります。
また、犬走りコンクリートを打設する際は、ワイヤーメッシュで補強するのが基本です。仕上げ方法も含めて、構造計画を丁寧に行うことで長く安心して使える外構に仕上がります。
犬走りはコンクリートと砂利はどっちが長もちする?
一般的に、コンクリートの犬走りのほうが砂利よりも耐久性が高く、長持ちします。ただし、次のように目的や敷地条件によっては砂利の方が適している場合もあります。
比較項目 | コンクリート | 砂利 |
耐久性 | ◎(10〜20年) | △(3〜5年ごと補充) |
雑草対策 | ◎(侵入を防げる) | △(防草シート併用が必須) |
施工費用 | △(やや高い) | ◎(低コスト) |
排水性 | △(要傾斜設計) | ◎(雨水を透過) |
外観・美観 | ◯(すっきり) | △(飛散・沈下に注意) |
メンテナンス頻度 | 少ない | 多い |
上表より、コストを抑えるなら砂利、長くメンテナンスを避けたいならコンクリートがおすすめです。またDIYで施工するなら、砂利+防草シートから始めて、将来的にコンクリートに切り替えるという順番をおすすめします。
犬走りコンクリートの費用相場
犬走りコンクリートの費用相場は、施工面積・使用材料・地域差などによって費用が変動しますが、平均的な相場は1㎡あたり7,000〜12,000円前後が一般的です。
以下に、DIY施工の場合も含めて、費用内訳の目安を整理しました。
内容 | プロ施工 | DIY施工 |
材料費(セメント・砂利・水) | 含む | 約2,000〜3,000円 |
施工費(人件費+整地) | 約5,000〜9,000円 | なし(自己作業) |
合計 | 7,000〜12,000円/㎡ | 2,000〜4,000円/㎡ |
なお、DIYは道具購入や体力・時間を要するため、コスパを重視する方は慎重に検討することが重要です。費用を抑えつつ安心の仕上がりを求めるなら、部分的なDIY+プロの併用を検討すると良いでしょう。
犬走りコンクリートの施工方法と流れ【DIYにも対応】
犬走りの施工は、おおまかに6つの工程に分かれます。以下に業者依頼およびDIYに共通する施工の流れを整理しました。
工程 | 内容 | DIYの難易度 |
【1】掘削 | 深さ10〜15cmを目安に土を掘る | 中 |
【2】転圧 | 砕石を敷いてプレートで固める | 高 (転圧機レンタルが必要) |
【3】型枠設置 | 木材で形を整える | 中 |
【4】配筋(メッシュ) | ひび割れ防止の鉄筋を敷く | 中 |
【5】コンクリート打設 | 練り混ぜたモルタルを流し込む | 高 (練り具合・気温に注意) |
【6】表面仕上げ | コテ・刷毛引きで表面を整える | 中〜高 |
犬走りコンクリートの施工は、下地の安定性と丁寧な打設作業が品質を左右します。そのため、DIYで挑戦する際には、道具の手配や工程の予習を念入りに行い、必要であれば一部のみ業者に依頼すると良いでしょう。
犬走りコンクリートのデメリットと後悔ポイント一覧
犬走りコンクリートを設置する際に発生しやすいデメリット・後悔のポイントを整理しました。
デメリット | 内容 |
ひび割れが起きやすい | 下地や施工が甘いと数年で亀裂が発生 |
夏に表面が熱くなる | 素足では歩けないほど高温になることも |
排水性が悪く水たまりになる | 傾斜設計を怠ると雨水が滞留 |
固定構造のためリフォームしにくい | 配管変更や花壇設置に支障が出ることも |
正しく設計・施工すれば高耐久で美観も保てる犬走りコンクリートですが、排水・温度・柔軟性によって、トラブルが起こる場合があります。
施工で後悔しないためにも、設置前には「将来の使い方」「季節性」「改修予定」も見据えた設計を行うことが重要です。
▼コンクリートのひび割れの原因を知りたい方はこちら
犬走りコンクリートに関するよくある質問【FAQ】
犬走りのDIYに必要な道具は?
犬走りをDIYする際には、スコップ・転圧機・バケツ・左官コテ・木枠材・ワイヤーメッシュ・セメント・砂・水などが必要です。特に地盤をしっかり固めるためのプレートコンパクター(転圧機)は、ホームセンターなどで1日単位でレンタルできます。材料は施工面積に応じて適切な分量を事前に計算しましょう。
施工後にひび割れが起きたらどうする?
施工後にひび割れが起きた場合には、補修材(モルタルやコンクリートフィラー)での早期対応が有効です。小さな亀裂であればDIYでも補修可能ですが、構造に影響する深いクラック(ひび割れ)は専門業者への相談を推奨します。
犬走りコンクリートをおしゃれに仕上げるコツは?
刷毛引き仕上げで滑り止めとデザイン性を両立させたり、スタンプコンクリートやカラー舗装材を使うと、ナチュラル・モダンなど住宅外観に合わせた演出が可能です。植栽や化粧砂利との組み合わせもおすすめします。
▼スタンプコンクリートについて知りたい方はこちら
まとめ
犬走りコンクリートは、住宅まわりの防汚・防湿・耐久性を高める重要な外構の舗装です。
特に、雨の多い地域や外壁が汚れやすい住宅では、高耐久なコンクリートでの施工が効果的だと言えるでしょう。外構の美観と実用性を両立させるためにも、専門業者との相談や、実例・一次情報を活用した慎重な計画をおすすめします。