竹中工務店など6社連携、アルミ建材の水平リサイクル実証事業をスタート

竹中工務店を含む6社の企業連合が、建物解体時に発生するアルミ建材を効率的に回収し、再び同品質の建材として再生利用する「水平リサイクル」の実証事業を2025年4月から開始しました。この取り組みは、建築業界における循環型経済の実現に向けた重要な一歩となります。
6社が共同で取り組む資源循環プロジェクト
明治安田生命保険相互会社、株式会社竹中工務店、三協立山株式会社、株式会社シンワ、株式会社HARITA、有限会社豊栄金属の6社は、竹中工務店が推進する「サーキュラーデザインビルド」の考え方に基づき、アルミ建材の水平リサイクルを実現するための実証事業に着手しました。
このプロジェクトでは、明治安田生命が所有する建物の解体工事から発生するアルミ製カーテンウォールを単独で解体・分別回収し、適切な管理と処理を経て、高品質な原料として製造工程に戻す仕組みを構築します。また、材料の流れを追跡できるトレーサビリティも確保することで、資源循環の透明性を高めています。
なぜアルミ建材のリサイクルが重要なのか
アルミサッシやアルミ製カーテンウォールは、本来リサイクルしやすい特性を持っています。しかし現状では、建物解体時の制約から、これらの貴重な資源が適切に分別されないまま非鉄スクラップとして一括回収されることが一般的です。
回収されたスクラップ材は、多くの場合、国外に流出してしまい、日本国内での資源循環が実現できていません。また、混合スクラップから高純度のアルミニウムを取り出すには、多くの手間とコストがかかるという課題もあります。
「サーキュラーデザインビルド」とは
竹中工務店が提唱する「サーキュラーデザインビルド」は、従来の「スクラップ&ビルド」の考え方を見直し、資源を循環させる新しい建築の在り方を示すものです。このコンセプトは以下の3つの循環を柱としています。
・つくる循環:設計・施工段階でのリユース・リサイクル建材の積極的な採用
・つかう循環:建物や建材を長く使い続けるための取り組み
・つなぐ循環:解体を考慮した設計手法の検討など
今回の実証事業は、「つかう循環」の一環として、解体現場で発生する廃建材を元の建材に戻す取り組みです。
水平リサイクルがもたらす新たな価値
水平リサイクルとは、使用済み製品を原料として、元の製品と同等の品質・用途の製品に再生利用することを指します。この取り組みにより、以下のような効果が期待できます。
・資源の国内循環が促進される
・新たな原材料の使用量が削減される
・製造時のエネルギー消費と環境負荷が低減される
・「持続可能で循環的な製品」という新たな付加価値が生まれる
実証事業の目指すもの
この実証事業では、建物解体時に発生するアルミ建材の水平リサイクルにおける課題を洗い出し、効率的な回収・再生利用の手法確立を目指します。さらに、この取り組みを通じて得られた知見を活かし、他の建材や解体現場にも応用できるモデルの構築を視野に入れています。
6社は今後も連携を強化しながら、循環型社会の実現に向けた取り組みを推進していく予定です。建築業界における資源循環の新たな形として、今後の展開が注目されます。
参画企業の概要
・明治安田生命保険相互会社:東京都千代田区に本社を置き、生命保険業などを展開
・株式会社竹中工務店:大阪市中央区に本社を置き、建築工事の請負、設計、監理などを行う
・三協立山株式会社:富山県高岡市に本社を置き、ビル・住宅用建材の開発・製造・販売などを手がける
・株式会社シンワ:東京都中央区に本社を置き、建物・構築物の解体工事などを専門とする
・株式会社HARITA:富山県高岡市に本社を置き、廃棄物の収集運搬・中間処理などを行う
・有限会社豊栄金属:東京都八王子市に本社を置き、産業廃棄物の収集運搬・中間処理などを手がける
これら6社の専門性を結集することで、建材の製造から解体、リサイクルまでの一貫した流れを構築し、真の意味での循環型経済の実現を目指します。
出典情報
株式会社竹中工務店リリース,解体建物からアルミ建材を回収し水平リサイクルを実現するための実証事業を開始,https://www.takenaka.co.jp/news/2025/04/07/pdf/20250423_Release_recycle.pdf